周礼27

天官冢宰27
#天官と冢宰と言う役職についての章

典婦功:掌婦式之法,以授嬪婦及內人女功之事齎。凡授嬪婦功,及秋獻功,辨其苦良、比其小大而賈之,物書而楬之。以共王及後之用,頒之于內府。
#典婦功 (てんぷこう):掌婦式(しょうふしき)の法を以って、嬪婦(ひんぷ)や内人(ないじん)の女性たちに、有用な技術を教えることを目的としています。嬪婦の活動や秋獻(しゅうけん)の内容については、評価、比較し、記録に残します。これらの記録を王や後の世代が利用できるように、内府(ないふ)で公表されることとなっています。

「嬪婦(ひんぷ)」とは、古代中国の宮廷や貴族社会において、王や皇帝の側室として仕える女性のことを指します。嬪婦は、後宮(こうきゅう)と呼ばれる王宮内の女性たちの階層の中で、比較的高位に位置します。
 嬪婦は、美しい容姿や才能、高貴な家柄などを持つ女性が選ばれて王や皇帝に嫁ぐか、あるいは後宮に入ることがあります。彼女たちは特別な教育を受け、礼儀作法や宮廷の儀式、文化、芸術などを学びます。また、後宮における上下の序列や儀礼など、厳格な体制の中で生活します。
 嬪婦たちは、王や皇帝にとっての寵愛を受けることがあり、子供を産むことや皇位継承に影響を与えることもありました。一方で、後宮内での権力争いや嫉妬、陰謀などもしばしば起こり、彼女たちの生活は複雑かつ厳しいものでした。
 なお、嬪婦は宮廷の中で高位に位置する女性ですが、皇后や貴妃(きひ)といった更なる上位の称号を持つ女性たちがいることもあります。

「秋獻(しゅうけん)」は、古代中国の宮廷や貴族社会において行われていた、特別な季節の贈り物や献上物を指します。具体的には、秋の季節に収穫されたり生産されたりした豊かな産物や珍しい品物を、王や皇帝などの高位の人物に献上する行事です。

 秋獻は季節の恩恵に感謝するとともに、統治者への忠誠を示す行為であり、また国家の繁栄や安泰を祈願する意味も含まれています。このような贈り物は、高貴な身分の者からのものが多く、珍しい宝石や美しい工芸品、高級な食料品などが含まれることがありました。

典絲:掌絲入而辨其物,以其賈楬之。掌其藏與其出,以待興功之時。頒絲于外內工,皆以物授之。凡上之賜予,亦如之。及獻功,則受良功而藏之,辨其物而書其數,以待有司之政令、上之賜予。凡祭祀,共黼畫組就之物。喪紀,共其絲纊組文之物。凡飾邦器者,受文織絲組焉。歲終,則各以其物會之。
#典絲 (てんし):絹織物を管理し、品物を見極め、その価値を記録することを担当します。絹織物の保管と提供を管理し、必要な時に使用できるようにします。外部や内部の工人には、物品と技術を教えて授けます。また、上位者からの贈り物も同様に扱います。献上物がある場合は、優れたものは受け取り、保管し、物品を記録し、官庁の命令や上位者からの贈り物を待ちます。祭祀の際には、黼畫(こくかく)と呼ばれる装飾品の制作を共同で行います。喪儀の際には、絹織物で飾りつける文様の制作を共同で行います。また、国家の器物を飾る際には、文織絲(ぶんしし)と呼ばれる絹織物を受け取ります。年の終わりには、各自が持ち寄った物品を共有します。

典枲:掌布緦縷紵之麻草之物,以待時頒功而授齎。及獻功,受苦功,以其賈楬而藏之,以待時頒。頒衣服,授之,賜予亦如之。歲終,則各以其物會之。
#典枲 (てんこう):麻や草などの素材で作られる布や細い糸を管理し、時期に応じて功績を与えるために用意します。また、献上される功績がある場合には、苦労した功績を受け取り、その価値を評価して記録し、適切な時期に授与します。衣服を公布し、授ける際にも同様に行動します。贈り物がある場合にも同様に扱い、その価値を評価して記録し、適切な時期に授与します。年の終わりには、各自が持ち寄った物品を共有します。

內司服:掌王后之六服;褘衣、揄狄、闕狄、鞠衣、展衣、緣衣、素沙。辨外內命婦之服;鞠衣、展衣、緣衣,素沙。凡祭祀、賓客,共後之衣服;及九嬪、世婦凡命婦,共其衣服;共喪衰,亦如之。後之喪,共其衣服,凡內具之物。
#內司服 (ないしふく):王后が身に着ける6つの衣服(褘衣、揄狄、闕狄、鞠衣、展衣、緣衣、素沙)を管理します。外部と内部の女性に命じられた服についても区別し、鞠衣、展衣、緣衣、素沙の衣服を管理します。祭祀や賓客の際には、後宮の女性が着る衣服を共同で制作します。また、九嬪(きゅうひん)や世婦(せいふ)などの王室の女性にも服を共同で制作し提供します。喪の際には、喪服を共同で制作し、王室内の様々な物品も共同で準備します。

褘衣(ふい):
 冬季に着用する重い外套やコートのような衣服です。寒冷な季節に暖かさを提供するために用いられました。

揄狄(ゆうてき):
 儀式や公的な行事で着用する正装のことを指します。格式高く、威厳のある服装であり、特別な場面で使用されました。

闕狄(けってき):
 皇后や貴妃が儀式や祭祀の際に着用する厳かな礼服です。格式が非常に高く、重要な儀式や祭りに参加する際に用いられました。

鞠衣(きゅうい):
 特別な祝賀行事や宮廷の公式な場で着用される装飾的な衣服です。華やかで美しいデザインが特徴です。

展衣(てんい):
 広がりのある袖や裾が特徴的な衣服で、豪華な装飾が施されています。特別な機会や祝賀行事に用いられました。

緣衣(えんい):
 幅広い帯や装飾がついた衣服で、普段の宮廷生活に適した衣装です。

素沙(そしゃ):
 地味な色合いや装飾のない、シンプルな衣服を表します。日常的な使用に適した衣装で、格式の低い場面で着用されることが多かったです。

縫人:掌王宮之縫線之事,以役女御,以縫王及後之衣服。喪,縫棺飾焉,衣翣柳之材。掌凡內之縫事。
#縫人 (ぬいと):王宮において縫い糸の仕事を担当し、女御(じょぎょ)たちを助けて王や後の世代の衣服を縫う役割を持ちます。喪の際には、棺に飾りを縫い付け、喪服に柳の材料を使って縫製することも担当します。宮廷内の縫製に関する仕事を全般的に担当します。

染人:掌染絲帛。凡染,春暴練,夏纁玄,秋染夏,冬獻功。掌凡染事。
#染人 (せんにん):絹や布を染色する仕事を担当します。染色には季節ごとに異なる方法があり、春には淡い色を染め、夏には赤紫や黒を染め、秋には赤を染め、冬には特別な献上物を染める役割を持ちます。宮廷内の染色に関する仕事を全般的に担当します。

追師:掌王后之首服,為副、編、次,追衡、笄,為九嬪及外內命婦之首服,以待祭祀、賓客。喪紀,共笄绖亦如之。
#追師 (ついし):王后の髪型とその装飾品を担当します。髪飾りや髪編み、次々と重ねる頭巾(衡)、髪笄(かつらくし)など、王后や九嬪(きゅうひん)や外部や内部の命婦(めいふ)が祭祀や賓客の際に身につける髪型や装飾品を制作します。喪の際には、髪笄や髪緒(ふけり)も共同で制作します。

屨人:掌王及後之服屨,為赤舄、黑舄,赤繶、黃繶,青句,素屨、葛屨,辨外內命夫命婦之命屨、功屨、散屨。凡四時之祭祀,以宜服之。
#屨人 (とつにん):王や後宮の人々が身に履く靴を制作する仕事を担当します。赤い靴や黒い靴、赤い紐や黄色い紐、青い装飾、素材で作られた靴や葛の靴など、外部や内部の命婦や命夫(めいふ、めいぶ)が身につける靴を制作します。また、功績に応じて与えられる功績靴や散屨(さんと、特別な儀式や祭祀に用いる靴)も作成します。四季の祭祀の際には、適切な靴を用意します。

夏采:掌大喪以冕服復于大祖,以乘車建綏復于四郊。
#夏采 (かさい):大規模な喪の儀式において、王族が着る冕服(もんぷく、特別な式典で着用する儀式の服装)や、大祖(だいそ、先代の先祖)を祭る儀式の衣服を管理をします。また、四郊(しこう、都市周辺の地域)に巡行して建綏(けんすい、地域の安定を祈る儀式)を行う時も王族に共に乗車して付き添います。


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