黄帝内経素問集注(上古天真論1-3)

翻訳

黄帝は言った。「年を取って子供のいない人は、才能と力が尽きているのだろうか。それは天命なのだろうか。」
(陰陽(いんよう)とは、万物の始まりと終わりであり、男性と女性、陰と陽、気と血に関する話題である。それぞれには自然の摂理による始まりと終わり、盛りと衰えがあり、それぞれの天命がある。才能と力、精力も同様である。)

岐伯は言った。女子は7歳になると、腎の気が盛んになり、歯が生え替わり、髪が伸びます。
(「更」は平声で、「長」は上声です。7は少陽の数です。女性は本来陰の体質ですが、陽の数を得ることもあります。陰の中にも陽が存在します。人は生まれた初め、まず腎から始まります。女子は7歳になると、腎の気が最も盛んになります。腎は骨を主宰します。歯は骨の一部ですので、歯が生え替わるのです。血液は腎の液体であり、髪は血液の余剰ですので、髪が伸びるのです。陰陽の道に従えば、孤立した陽は生じず、単独の陰も成長しません。陰の中には陽があり、陽の中には陰があります。それゆえに、天は乙(おつ)となり、水を生み出し、地は二(じ)となり、火を生み出します。離(り)は女性を表し、坎(かん)は男性を表します。これらはすべて陰と陽が交換する道です。したがって、女性は陽の数を得る一方で、男性は陰の数を得ます。)

二七(14歳)になると、天癸(てんき)が至ります。任脈が通り、太衝脈が盛んにな歳ります。月経は時期に従って下ります。そのため、子供ができます。
(天癸は、天乙が生み出す癸水のことです。衝脈と任脈は奇経脈に属します。これらの脈は両方とも下腹部の内胞から始まり、腹部を上行していきます。経血の海となります。女性は胞胎を育む役割を担っています。月は陰を象徴し、女性も陰の存在です。月は一か月で一周し、満ちては欠けるのです。そのため、女性も一か月ごとに経血が時期に応じて下って排出されます。欠けた後は再び満ちるのですから、初生の時点で男性と女性は精を構成しているため、子供ができる可能性があります。体が虚弱な状態では、受胎しやすくなるためです。)

三七(21歳)になると、腎の気は平均化します。そのため、本当の歯が生えて最大限に成長します。
(「長」は上声です。腎の気は腎臓が生み出す気です。気は精から生じます。そのため、先天的に天癸が至り、その後腎の気が平均化し、腎の気が充実します。その結果、本当の歯が生えてきます。本当の歯とは、根っこの部分まで成長した歯のことです。)

四七(28歳)になると、筋肉と骨が強固になります。髪も最大限に伸びます。体は盛んに成長し、健壮です。
(腎臓が骨髄を生み、髄が肝臓を生み、肝臓が筋肉を生みます。これは母子の相互による生じる関係です。女性が28歳になると、精と血の盛り最大の時期になります。そのため、筋肉と骨が堅くなり、髪が最大限に伸びるのです。血液と気が盛んであると、皮膚が充実し、肉体が温かくなります。それゆえに、体は盛んに成長し、健壮となるのです。)

五七(35歳)になると、陽明脈が衰え、顔が焦げ始め、髪が抜け始めます。
(陽明脈は顔に栄え、髪の生え際に沿って流れます。そのため、陽明脈が衰えると、顔が焦げてきて髪が抜け始めます。気は陽を象徴し、血管は陰を象徴します。そのため、女性は脈において先に衰えを示し、男性は気において先に衰えを示す傾向があります。また、足の陽明脈について言及します。衝脈と任脈が臍(へそ)から上行していきます。衝脈と任脈が虚弱になると、陽明脈も虚弱になります。)

六七(42歳)になると、三陽脈が上半身で衰え、顔全体が焦げてきて、髪が白くなり始めます。
(三陽脈は頭部全体に広がっています。三陽脈が衰えると、顔全体が焦げてしまいます。血管の状態は顔の色に影響を与えます。血管が衰えると、髪が白くなるのです。)

七七(49歳)になると、任脈が虚弱になり、太衝脈が衰えて少なくなります。天癸(てんき)は枯渇し、地道が通らなくなるため、体が崩れ、子供ができなくなります。
(地道とは、下半身の経絡のことです。『三部九候論』によれば、「下部地」とは足の少陰のことです。天癸は腎に蓄えられていますが、天癸が枯渇すると、足の少陰の下部の経絡が通らなくなります。また、太衝脈と任脈が虚弱になるため、体の形が衰え、子供ができなくなるのです。)

原文

帝曰:人年老而無子者。材力盡邪。將天數然也。
(陰陽者。萬物之終始也。此複論男女陰陽氣血。有始有終。有盛有衰。各有自然之天數。材力、精力也。)

岐伯曰:女子七歲。腎氣盛。齒更髮長。
(更平聲長上聲七為少陽之數。女本陰體。而得陽數者。陰中有陽也。人之初生。先從腎始。女子七歲。腎氣方盛。腎主骨。齒者骨之餘。故齒更。血乃腎之液。髮乃血之餘。故髮長也。按陰陽之道。孤陽不生。獨陰不長。陰中有陽。陽中有陰。是以天乙生水。地二生火。離為女。坎為男。皆陰陽互換之道。故女得陽數。而男得陰數也。)

二七而天癸至。任脈通。太衝脈盛。月事以時下。故有子。
(天癸、天乙所生之癸水也。衝脈任脈、奇經脈也。二脈並起於少腹之內胞中。循腹上行。為經血之海。女子主育胞胎。夫月為陰。女為陰。月一月而一周天。有盈有虧。故女子亦一月而經水應時下泄也。虧即複生。故於初生之時。男女構精。當為有子。虛則易受故也。)

三七腎氣平均。故真牙生而長極。
(長上聲腎氣者。腎臟所生之氣也。氣生於精。故先天癸至。而後腎氣平。腎氣足。故真牙生。真牙者。盡根牙也。)

四七筋骨堅。髮長極。身體盛壯。
(腎生骨髓。髓生肝。肝生筋。母子之相生也。女子四七。精血盛極之時。是以筋骨堅。髮長極也。血氣盛則充膚熱肉。是以身體盛壯。)

五七陽明脈衰。面始焦。髮始墮。
(陽明之脈榮於面。循髮際。故其衰也。面焦髮墮。夫氣為陽。血脈為陰。故女子先衰於脈。而男子先衰於氣也。再按足陽明之脈。並衝任挾臍上行。衝任脈虛。而陽明脈亦虛矣。)

六七三陽脈衰於上。面皆焦。髮始白。
(三陽之脈。盡上於頭。三陽脈衰。故面皆焦。血脈華於色。血脈衰。故髮白也。)

七七任脈虛。太衝脈衰少。天癸竭。地道不通。故形壞而無子也。
(地道、下部之脈道也。三部九候論曰:下部地。足少陰也。癸水藏於腎。天癸竭。是足少陰下部之脈道不通。衝任虛。是以形衰而無子也。)


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