周礼22

天官冢宰22
#天官と冢宰と言う役職についての章

冪人:掌共巾冪。祭祀,以疏布巾冪八尊,以畫布巾冪六彝。凡王巾皆黼。
#冪人 (べきじん):冪人は巾冪(きんべき)を管理しています。祭祀の際には、疏布(そふ)で作られた八尊の巾冪、六彝が絵で描かれた巾冪を用います。王たちが身につける巾冪はすべて黼(く)という布で作られています。

 「巾冪(きんべき)」は、中国の古代宗教や儀式における特別な布の一種です。巾冪は、祭祀や儀式の際に使用され、神聖視されるものとされています。

 巾冪は通常、特定の形状やデザインで作られた布であり、神聖な象徴や宗教的な意味を持ちます。これらの布は特別な材料や色彩で作られ、儀式において重要な役割を果たすものとされています。

 巾冪は、王朝や宗教のシンボルとして使用され、祭祀や神聖な儀式の際には重要な役割を果たすため、その製作や使用には特別な規則や儀式が伴います。また、巾冪は王や高位の官僚、神職などの身につける服飾品としても使用されました。

 「黼(く)」は、中国の古代宗教や儀式における特別な布地の一つです。黼は、主に王や高位の官僚、神職などの身につける巾冪(きんべき)として使用されました。

 黼は非常に重要な布地であり、その特徴は黒色であることです。古代中国では、黒色は尊厳や威厳を表す色とされ、王権や神聖さを象徴する色とされていました。
 
 周王朝の王や高位の官僚は、儀式や公的な行事の際に黼の巾冪を身につけました。黼は王権の象徴として重要視され、その着用は王権の威厳や尊厳を示すものとされました。

宮人:掌王之六寢之修。為其井匽,除其不蠲,去其惡臭。共王之沐浴。凡寢中之事,掃除、執燭、共爐炭,凡勞事。四方之舍事,亦如之。
#宮人 (きゅうじん):王の六つの寝所の手入れを担当します。その井戸を清め、不浄なものを取り除き、悪臭を消します。王と共に入浴します。寝所の中でのことは、掃除や照明をつけ、共に暖炉の炭を扱います。あらゆる労働に従事します。また、四方の建物の世話も同様です。

 周王朝において王様の寝室が6つあった理由にはいくつかの説があります。

五行思想:
 周王朝では、宇宙の要素を表す「五行思想」が重要でした。この考え方によれば、世界は木、火、土、金、水の5つの要素で構成されており、各要素は特定の方位や性質を持ちます。寝室の数が6つあるのは、これらの五行要素に「中心」を加えたものとされ、宇宙の調和を象徴していたと考えられます。

周辺の諸侯への配慮:
 周王朝は多くの諸侯国からなる連邦制国家であり、王様は各地の諸侯との関係を重視しました。寝室の数が6つあることで、周辺の諸侯が王様を訪れた際にも適切な待遇ができるように配慮したとも言われています。

非常事態への備え:
 王様の寝室が複数あることで、非常事態や災害時に備えることができました。例えば、火災や侵入者などが1つの寝室に発生した場合でも、他の寝室に退避できるため、王様の安全を確保することができました。

 これらの要素や考え方に基づいて、周王朝の王様の寝室は6つあったと考えられています。ただし、具体的な理由については歴史的な文献に明確な記述がなく、一部推測や解釈に依存していることを注意してください。

掌舍:掌王之會同之舍。設梐枑再重。設車宮,轅門。為壇壝宮,棘門,為帷宮,設旌門。無宮,則共人門。凡舍事,則掌之。
#掌舍 (しょうしゃ):王の会同の建物を管理します。柱や壁を再度補強します。車宮と轅門を設けます。壇壝宮(だんがいきゅう)や棘門(きょくもん)を作り、帷宮(へいきゅう)や旌門(せいもん)を設けます。もし建物がない場合は、共人門を使用します。あらゆる建物の管理を担当します。

車宮(しゃきゅう):
 王の車が保管される宮殿のことを指します。ここでは王の乗車や行事のために用意された場所です。

轅門(えんもん):
 車宮や宮殿の入り口にある門のことを指します。通常、豪華な装飾や彫刻が施されており、王の威厳と権威を象徴します。

壇壝宮(だんがいきゅう):
 儀式や祭祀のために築かれる特別な宮殿です。ここでは祭壇が設置され、神聖な儀式や供物の捧げられる場所となります。

棘門(きょくもん):
 宮殿や要塞の出入口に設けられる門です。通常、木や竹で作られた防御的な障壁や柵が備えられています。

帷宮(へいきゅう):
 儀式や行事の際に設けられる特別な場所で、幕やカーテンで仕切られたエリアを指します。ここでは王や高位の人物が重要な役割を果たす場所となります。

設旌門(せっけいもん):
 王や高官の訪問や行事の際に設けられる門です。ここでは旗や標識が掲げられ、来訪者を迎える場所となります。

共人門(きょうにんもん):
 宮殿や建物の一般的な出入口であり、一般の人々や役人が通行するための門です。王の臣下や一般の人々が出入りする場所となります。

幕人:掌帷、幕、幄、帟、綬之事
#幕人 (まくじん):帷(かたびら)や幕(まく)、幄(あん)、帟(し)や綬(じゅ)などの管理を担当します。

帷(かたびら):
 厚手の幕やカーテンを指します。建物内の一部を仕切るために使用され、視線を遮る役割を果たします。また、特別な場所や王のいる場所を区切るためにも使われました。

幕(まく):
 薄手の幕やカーテンを指します。建物の内外を仕切るために使用され、風や光を遮る役割を果たします。また、儀式や行事の際に特別なステージや舞台を作るためにも使われました。

幄(あん):
 テントや仮設の屋根を指します。主に野外での行事や宿営のために使用され、人々を雨や日差しから守る役割を果たします。

帟(し):
 幕やカーテンの一種で、特に重要な場所や祭壇を囲むために使用されました。神聖な場所や神聖な儀式の範囲を示すために使われました。

綬(じゅ):
 儀式や行事の際に使用される飾り帯やリボンのようなものを指します。特に高位の人物や王族が身に着け、その地位や権威を象徴する役割を果たしました。

凡朝覲、會同、軍旅、田役、祭祀,共其帷、幕、幄、帟、綬。大喪,共帷、幕、帟、綬。三公及卿大夫之喪,共其帟。
#朝覲(ちょうぎん)、会同(かいどう)、軍旅(ぐんりょ)、田役(でんえき)、祭祀(さいし)において、帷(かたびら)、幕(まく)、幄(あん)、帟(し)、綬(じゅ)を共に使用します。大喪(だいそう)の場合も、帷、幕、帟、綬を共に使用します。また、三公(さんこう)や卿、大夫(けいたいふ)の喪の場合も、帟を共に使用します。

朝覲(ちょうぎん):
 王や君主が臣下や官僚などとの会見を行う行事です。王様が朝廷で臣下の進謁(しんえつ)を受け、政務や重要な事項について相談や指示を行います。

会同(かいどう):
 王や君主が高位の官僚や重要な役職者と会談や協議を行う行事です。政策や統治に関する重要な決定や意思疎通を図るために行われました。

軍旅(ぐんりょ):
 軍事行動や遠征などの軍事活動に関連する行事です。王様が軍勢を視察したり、軍の出撃や戦略について会議を行ったりします。

田役(でんえき):
 土地や農業に関連する行事です。王様が農地や灌漑施設を視察し、農民や農業官僚と協力して農業生産や農業政策について話し合います。

祭祀(さいし):
 宗教的な儀式や祭りを行う行事です。神聖な場所で神々への崇拝や供物の捧げ物を行い、豊作や平和、神聖な秩序の維持を祈るために行われます。



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