周礼21

天官冢宰21
#天官と冢宰と言う役職についての章

凌人:掌冰政。歲十有二月,令斬冰,三其凌。春始治監,凡外內饔之膳羞,監焉。凡酒、漿之酒醴亦如之。祭祀,共冰監。賓客,共冰。大喪,共夷盤冰。夏,頒冰掌事。秋,刷。
#凌人 (りょうじん):氷を支配する者。1年の12月になると、氷を切り取り、そのうち3分の1を凌として取り置きます。春になると、監(かん)の下で監督が外部および内部の食事を管理し、特別な料理を作ります。酒や飲み物も同様に処理します。祭りの際にも、氷の監督が関与します。客人や宴会においても、氷が共有されます。大きな喪に際しては、氷の盤も共有されます。夏には、氷の管理者が役割を果たし、氷の取り扱いを指示します。秋には、氷を洗い清めます。

周王朝時代の中国では、氷を保管する方法はいくつかありました。以下に代表的な方法をいくつか挙げます。

1,凍結貯蔵庫(冰窖(ひょうこう)):
氷を地下に埋めることで冷却し、長期間保存するための貯蔵庫でした。これは地下の低温や湿度を利用し、氷を溶かさずに保存する効果がありました。

2,地下水蔵庫(地下井):
地下に掘った井戸や水蔵庫に氷を保存する方法です。井戸や水蔵庫は地下の水源からの冷気が流れ込み、氷を長期間冷やすことができました。

3,氷室(冰室):
広い部屋や建物の一部を氷の保存用に設けたもので、氷を集めて保管していました。氷室は通気性を考慮し、風通しの良い場所に設けられることが多かったです。

4,地下氷蔵(冰地室):
地下に掘った部屋やトンネルで、氷を保存していました。これは氷を直接地下の冷気に触れさせることで、長期間の保管を可能にしました。

これらの方法は、周王朝時代に氷を効果的に保管するために利用されました。氷は貴重な資源であり、暑い季節や特別な行事などで使用されるため、効果的な保存方法が重要でした。

籩人:掌四籩之實。朝事之籩,其實麷、蕡、白、黑、形鹽、膴、鮑魚、鱐。饋食之籩,其實棗、栗、桃、乾橑、榛實。加籩之實,菱、芡、栗、脯。羞籩之實,糗餌、粉栥。凡祭祀,共其籩薦羞之實。喪事及賓客之事,共其薦籩羞籩。為王及後、世子共其內羞。凡籩事,掌之。
#籩人 (りんじん):四つの籩(りん)の内容を管理する者。朝の儀式における朝事の籩には、麦、稗(ひえ)、白米、黒米、形塩、麦の麸(ふ)、鮑(あわび)、鱈(たら)の身が入っています。饋食の籩には、干し柿、栗、桃、干し柿の酢漬け、榛(はしばみ)の実が入っています。加籩には、菱(ひし)、芡(ずい)、栗、蜜餞(ひじつ)が入ります。羞籩には、餅や粉菓子が入ります。祭りの際には、共有の籩に薦(すす)で包まれた特別な料理が入れられます。喪事や招待客の接待では、薦で包まれた籩が共有されます。王や後継者、世子(せいし)も同じ籩の中身を共有します。籩に関連することは、籩人が管理します。

周王朝時代の「籩(りん)」は、特別な料理を盛り付けるための容器やかごを指します。これらの籩は一般的に竹や木などの自然素材で作られ、蓋や取っ手がついていることがあります。籩は特別な行事や儀式、宴会などで使用され、その中には重要な食材や料理が盛り付けられていました。

醢人:掌四豆之實。
#醢人 (かいじん):四つのあえもの内容を管理する者。
(補注)文中では豆となっていますが、醢と言う字は「あえもの」と言う意味があり、日本で言う付け合わせや副菜的なものと考えられます。また、食材の内容にヒルやノミもありますが、これに関してはAIのみではわかりませんでした。

朝事之豆,其實韭菹、蚳醢,昌本、麋臡,菁菹、鹿臡,茆菹、麇臡。
#朝事之豆には、以下のような内容が含まれています。

韭菜の菹(ひりょう): 韭菜を漬けた漬物です。韭菜は野菜として一般的で、そのまま食べる他にも漬物として利用されました。

蚳(ち)醢(あえもの): 小エビや甲殻類を醤油や調味料で調理した料理です。蚳は小さなエビの一種で、その風味と塩味が料理に特徴を与えます。

昌本(しょうほん): 昌盛な状態にある米のことです。新鮮で美味しい米を指しています。

麋臡(びれい): 麋(み)の肉のことで、鹿の仔鹿のことです。この肉を使用した料理を指しています。

菁菹(せいひょう): 菁菜(せいさい)を漬けた漬物です。菁菜はツルムラサキ科の植物で、漬物として食べられることがありました。

鹿臡(ろくり): 鹿の肉のことです。鹿肉は貴重な食材であり、高級な料理とされました。

茆菹(もうひょう): 茆(もう)の葉を漬けた漬物です。茆はイグサ科の植物で、漬物に利用されました。

麇臡(くんり): 麇(くん)の肉のことです。麇は鹿に似た動物で、その肉は特に珍重されました。

饋食之豆,其實葵菹、蠃醢,脾析、蜱醢,蜃、蚳醢,豚拍、魚醢。
#饋食之豆には、以下のような内容が含まれています。

葵菹(きさい): 葵(あおい)菜を漬けた漬物です。葵菜はアオイ科の植物で、その葉や茎を食用に利用することがありました。

蠃(へん)醢(かい): 蠃(へん)はヒルの一種を指します。ヒルを醤油や調味料で調理した料理です。

脾(ひ)析(せき): 豚の背肉のことです。脾析は豚の脂身や肉を利用した料理です。

蜱(ひ)醢: 蜱(ひ)はノミの一種を指します。ノミを醤油や調味料で調理した料理です。

蜃(しん): 蜃(しん)は干潟や浅瀬に生息する貝類を指します。蜃を料理に利用したものです。

蚳醢(ちかい): 蚳(ち)は小さなエビの一種を指します。このエビを醤油や調味料で調理した料理です。

豚拍(とんぱい): 豚の脂身のことです。豚の背脂などを利用した料理です。

魚醢(ぎょかい): 魚を醤油や調味料で調理した料理です。

加豆之實,芹菹、兔醢,深蒲、醓醢,箈菹、雁醢,筍菹、魚醢。
#加豆之實には、以下のような内容が含まれています。

芹菹(せりのぬた): 芹(せり)を刻んで和えた漬物です。芹は野菜として利用され、風味豊かな漬物として楽しまれました。

兔醢(とざえもん): 兎(うさぎ)の肉を醤油や調味料で調理した料理です。兎肉は柔らかく上品な味わいがあり、特別な行事や儀式の際に供されました。

深蒲(しんぽ): 深い湖や沼地に生育する植物で、その葉や花蕾を利用した料理です。香り豊かで風味があります。

醓醢(すずりあえもの): 醓(すずり)はイワシやニシンなどの魚のことを指します。これらの魚を醤油や調味料で調理した料理です。

箈菹(むらさきのぬた): 箈(むらさき)はツルムラサキ科の植物で、その葉を利用した漬物です。箈菹は特別な行事や儀式の際に提供されました。

雁醢(がんかい): 雁(がん)はガン科の鳥のことを指します。雁の肉を醤油や調味料で調理した料理です。

筍菹(たけのこのぬた): 筍(たけのこ)を刻んで和えた漬物です。筍は季節の食材であり、風味豊かな漬物として楽しまれました。

魚醢(ぎょかい): 魚を醤油や調味料で調理した料理です。魚の風味を生かした料理で、豊かな旨味が特徴です。

羞豆之食,酏食、糝食。
#羞豆之食には、以下のような内容が含まれています。

酏食(いしょく): 酏(い)は古代中国の醸造飲料で、主に麦や米を原料として作られました。酏食は酏を使った料理や食品を指します。酏は醸造工程を経て作られるため、発酵した特有の香りと味わいを持ちます。

糝食(さんしょく): 糝(さん)は古代中国の発酵食品で、大豆や穀物を原料として作られました。糝食は糝を使った料理や食品を指します。糝は発酵させることで風味と栄養価が高まり、塩味や甘味を持つ食品として楽しまれました。

凡祭祀,共薦羞之豆實,賓客、喪紀亦如之。為王及後、世子共其內羞。王舉,則共醢六十甕,以五齊、七醢、七菹、三臡實之。賓客之禮,共醢五十甕。凡事,共醢。
#凡ての祭りや儀式では、共有のあえものが提供されます。賓客や喪の儀礼でも同様です。王やその後継者、世子(せいし)も同じあえものをたべます。王が出席する場合は、醢(あえもの)を60甕(かめ)共有し、五齊(ごせい)、七醢、七菹、三臡(りん)を使用した料理を用意します。賓客の礼儀では、醢を50甕共有します。全ての場面で醢は共有されます。

五齊(ごせい):
五つの異なる料理を組み合わせた組み合わせ料理を指します。具体的な内容は文脈によって異なる場合がありますが、一般的には異なる材料や調理方法を持つ五つの料理が一緒に提供されることを意味します。

七醢(しちかい):
七つの異なる醤油ベースの調味料を指します。これらの調味料は、醤油に他の材料や調味料を加えて作られ、各々異なる風味と味わいを持っています。

七菹(しちふ)
: 七つの異なる野菜の漬物を指します。これらの漬物は、主に野菜を漬け込んで発酵させたもので、風味と保存性を高めるための調味料が加えられます。

三臡(さんりん):
三つの異なる肉料理を指します。具体的な内容は文脈によって異なる場合がありますが、一般的には異なる種類の肉や部位を使用した三つの料理が含まれます。

これらの用語は、周王朝時代において特定の行事や儀式において使用される特別な料理の種類や組み合わせを表すものです。具体的な料理内容や組み合わせは、時代や地域によって異なる場合があります。

醯人:掌共五齊、七菹,凡醯物。以共祭祀之齊菹,凡醯醬之物。賓客,亦如之。王舉,則共齊菹醯物六十甕。共後及世子之醬齊菹。賓客之禮,共醯五十甕。凡事,共醯。
#醯人 (かいじん):共五齊、七菹を管理する役割を持ち、醯(かい)に関する料理を取り扱います。祭祀の際に共有される齊菹(せいふ)や醯(かい)の調味料などを管理し、賓客にも同様に提供されます。王が出席する場合は、齊菹と醯物を60甕(かめ)共有します。また、後継者や世子にも同様に醯と齊菹を提供します。賓客の礼儀では、醯を50甕共有します。全ての場面で醯は共有されます。

醢人と醯人の違い

醢人(かいじん)と醯人(かいじん)は、古代中国における役職や役割を指す言葉です。以下にそれぞれの違いを説明します。

醢人(かいじん):
醢人は、「醢(あえもの)」という料理や調味料に関連した役割を担当する人物を指します。醢は、魚や肉を醤油や調味料で調理した料理や薬味です。醢人は、醢の調理や管理、提供に関わり、祭祀や儀式、宴会などの特別な場で使用される醢料理を取り扱います。

醯人(かいじん):
醯人は、「醯(かい)」という調味料や料理に関連した役割を担当する人物を指します。醯は、主に米や麦を原料に発酵させて作られる調味料や飲料です。醯人は、醯の製造、管理、提供に関わり、儀式や宴会、特別な行事などで使用される醯料理を取り扱います。

 醢人と醯人は、古代中国の料理文化において異なる調味料や料理の管理や提供を担当する役割です。醢人は醢に関連し、魚や肉の料理や薬味を扱います。一方、醯人は醯に関連し、発酵調味料や飲料を扱います。両者は食材や調理方法、使用用途が異なるため、役割も異なります。

鹽人:掌鹽之政令,以共百事之鹽。祭祀,共其苦鹽、散鹽。賓客,共其形鹽、散鹽。王之膳羞,共飴鹽,後及世子亦如之。凡齊事,煮鹽以待戒令。
#鹽人 (えんじん):鹽(塩)の政令を管理する役割を持ち、様々な事柄において鹽を共有します。祭祀の際には苦鹽(くえん)や散鹽(さんえん)を共有し、賓客には形鹽(けいえん)や散鹽を提供します。王の膳羞には飴鹽(えんえん)が共有され、後継者や世子にも同様に提供されます。齊の儀式では、鹽を煮て戒令を待つことが行われます。

苦鹽(くえん):
苦鹽は、「苦い鹽」という意味です。これは、鹽に苦味が感じられるような特徴を持った鹽を指します。具体的には、鹽の製造過程で微量の苦味成分が含まれることで、鹽に苦みが感じられる場合があります。苦鹽は祭祀や特別な儀式の際に使用され、その特徴的な味わいが重要な要素とされました。

散鹽(さんえん):
散鹽は、「粉末状の鹽」という意味です。これは、鹽を細かく挽いたり粉末状にしたものを指します。散鹽は、鹽を細かく分散させることで、料理や調理において均一に鹽味を加えるために使用されます。また、散鹽は調味料としても使用され、料理や食事の際に塩味を調節するために利用されました。

形鹽(けいえん):
形鹽は、「形状のある鹽」という意味です。これは、鹽を特定の形状に加工したものを指します。具体的には、魚や鳥、動物などの形を模した鹽や、装飾的な形状を持つ鹽などが含まれます。形鹽は主に儀式や特別な行事の際に使用され、装飾や象徴的な意味合いを持った要素として重視されました。

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