黄帝内経素問集注(陰陽應象大論篇5-3)

翻訳

帝曰:私は上古の聖人が人間の体の構造を論じ、臓器と経絡、経絡と脈管が分かれていること、六合が相互に連結し、それぞれの経絡に従って気穴が発生し、それぞれに名前があることを聞いています。また、谷と川が骨に属していて、それぞれ起源があり、分けられていること、そして四季の陰陽が経絡を完全に支配し、外と内が相互に対応していることを知っています。これらのことは信じられるのでしょうか。
(帝は人間の臓腑と体の形状が四季の陰陽と相互に関連していることを指摘し、上古の聖人だけが天地と結びついて人間の形態を理解できたと述べています。だから、岐伯は天の五方位、五気、五色、五音と、地の五行、五味について説明し、人間の五体、五臓、五竅、五志に適応させることができると言っています。六合とは、十二経絡の結合を指します。例えば、足太陽経と足少陰経が一つの合になります。足少陽経と足厥陰経が二つ目の合になります。足陽明経と足太陰経が三つ目の合になります。手太陽経と手少陰経が四つ目の合になります。手少陽経と手厥陰経が五つ目の合になります。手陽明経と手太陰経が六つ目の合になります。それぞれの経絡が正しく連続しているため、気穴が発生します。気穴とは、経絡の気が通じる穴のことで、一年に対応する365の穴があり、それぞれが特定の場所と名前を持っています。谷とは、大きさによって分かれた肉の部分で、骨に連結して生じるものです。分部とは、皮膚の分割のことを指します。皮膚の部分は浮絡に分かれており、三陰三陽に分けられ、順番と逆順に配置されています。四季の陰陽は経絡の継続を規定しており、外と内が表と裏を持っています。)

岐伯は答えた:東方は風が生まれます。
(風は東方の春の気です。したがって、風が生じます。)

風が木を生みます。
(寅と卯は木に属します。春の気が木を生じます。)

木が酸を生みます。
(五行の中で、地は陰の五味を生み出します。)

酸が肝を生みます。
(陰が五味から生じるので、酸が肝を生じます。これは、外部の五臓と筋骨皮肉が四季と五行の気味を受け入れて相互に生じ合っていることを意味しています。外と内が相互に対応しているということです。)

肝が筋を生み、筋が心を生みます。
(肝の精気が筋を生み、筋の精気が心を生みます。内部の五臓は五行の気を結びつけ、相互に支え合っています。)

肝が目を支配します。
(肝の気が目に通じています。肝の調子が良いと目は五色を識別できるため、目は肝によって支配されます。)

それが天では玄であり、人間では道となり、地では化となります。化は五味を生じ、道は智を生じ、玄は神を生じます。
(前述のように、天の五方五氣と、人間の五臓五体、地の五味五行は陰陽の変化の結果であり、天と地の関連性を示しています。天は六つの気に属し、地は五行に属します。人間は五臓を持ち、五つの気によって喜怒哀楽恐の五つの感情を生じます。これらが天地の変化を体現しています。)

神は天では風、地では木、体では筋、臓では肝です。
(天元紀大論によれば、陰陽は測り知れない神秘なものとされ、天では風となり、地では木となります。天では熱となり、地では火となります。天では湿となり、地では土となります。天では燥となり、地では金となります。天では寒となり、地では水となります。これにより天は気、地は形となり、形と気が相互に影響しあって万物が生じるとされています。これが陰陽の変化であり、天では風、熱、湿、燥、寒となり、地では木、火、土、金、水となります。体では筋、脈、肉、皮毛、骨となります。臓では肝、心、脾、肺、腎となります。声では呼、笑、歌、哭、呻となります。変動では握り、憂え、噦る、咳き込み、ふるえるとなります。竅では目、舌、口、鼻、耳となります。色では蒼、黄、赤、白、黒となります。味では酸、苦、甘、辛、塩となります。音では宮、商、角、徴、羽となります。志では喜、怒、憂、思、恐となります。これらはすべて陰陽が応じて現れる神秘な変化のことです。)

色においては蒼であります。
(薄青色であり、東方の木の色となります。)

音においては角です。
(角は木の音であり、調和して長い音となります。)

声においては呼です。
(呼びかけることを呼と言います。志においては怒りを示すため、声を発します。)

変動においては握りとなります。
(変動とは、臓の気が経俞経絡で変動することを指します。握りは拘りや緊張を象徴し、筋の状態を示すものです。)

竅においては目が主となります。
(目は肝の官であります。)

味においては酸です。
(木の味となります。)

志においては怒りとなります。
(肝は将軍の官であるため、志は怒りを示すことがあります。)

怒りは肝を傷つけます。
(志が過度になると、肝が反して体を傷つけます。)

悲しみは怒りを上回ります。
(悲しみは肺の志であり、情に勝る情を持つことがあります。)

風は筋を傷つけます。
(風は自分を生むものでも、傷つけるものでもあります。)

燥は風を制します。
(燥は西方の金の気に属し、四季五行の気は相互に生じ合うものです。)

酸は筋を傷つけます。
(自分を養うものであっても、同時に傷つけることもあります。)

辛味は酸を制します。
(辛味は金の味であり、そのため酸を制することができます。金は木を制します。)

南方は熱を生じます。
(南方が夏の季節を主導するため、熱が生じます。)

熱は火を生じます。
(火は熱を生み出すことから、天の熱から火が生じるとされます。陰陽の変化の謎に満ちています。)

火は苦味を生じます。
(炎上すると苦味が生じ、火は苦い味を持ちます。)

苦味は心を生じます。
(苦味は心の味であり、味は陰の属性を持ち、臓もまた陰の属性です。したがって、味が臓を生じます。)

心は血を生じます。
(血は中焦の汁であり、心神を奉じて赤く変化するもので、血は神気を表します。)

血は脾を生じます。
(元の臓に由来して、相生し合う臓を生じます。)

心は舌を主とします。
(心の気は舌と通じており、心が調和していれば五味を知ることができます。したがって、舌は心の主官です。)

それが天では熱であり、地では火、体では脈、臓では心です。
(風、寒、暑、湿、燥、火、天の陰陽です。木、火、土、金、水、火、地の陰陽です。人間には五つの臓があり、喜怒哀楽恐の五つの気を相互に生じます。これらは人間の陰陽です。天は形を成す象を持ち、地は形を成すものです。人間は天と地の両方に参与する存在です。最初に体を述べ、その後に臓を述べるのは、人間が天地の生気を持ち、外から内へと作用することを意味しています。)

色においては赤です。
(南方の火の色となります。)

音においては徴です。
(徴は火の音であり、調和して美しい音となります。)

声においては笑いです。
(心の志が喜びを持つと、声を発して笑います。)

変動においては憂いとなります。
(心だけが俞穴にないため、変動は志にあります。心の気が肺と共になると憂いとなります。)

竅においては舌が主となります。
(舌は心の官であります。)

味においては苦です。
(火の味となります。)

志においては喜です。
(心の中で調和して楽しむと喜びます。)

喜が心を傷つけます。
(喜び過ぎると、心の志が自ら傷つけられます。)

恐怖が喜を上回ります。
(恐怖は腎の志であり、水が火を制します。)

熱が気を傷つけます。
(熱があると気が逃げてしまい、熱が気を傷つけます。)

寒が熱を制します。亢害が相互に存在することで、陰陽五行は自然に成り立っているのです。苦が気を傷つけます。
(苦味は火の味であり、気を傷つけます。)

塩が苦を制します。
(塩は水の味であり、苦味を制します。)

原文

帝曰:余聞上古聖人。論理人形。列別臟腑。端絡經脈。會通六合。各從其經。氣穴所發。各有處名。溪谷屬骨。皆有所起。分部逆從。各有條理。四時陰陽。盡有經紀。外內之應。皆有表裡。有信然乎。
(帝言人之臟腑形身。與天之四時陰陽。外內相應。惟上古聖人。能論理人形。與天地參合。是以岐伯論天之五方五氣五色五音。地之五行五味。以應人之五體五臟五竅五志也。六合、謂十二經脈之合也。足太陽與足少陰為一合。足少陽與足厥陰為二合。足陽明與足太陰為三合。手太陽與手少陰為四合。手少陽與手厥陰為五合。手陽明與手太陰為六合。各從其經正而相通也。氣穴者。經氣所注之穴。有三百六十五穴。以應一歲。而各有定處。各有定名也。溪谷者。大小之分肉。連於骨而生起也。分部者。皮之分部也。皮部中之浮絡。分三陰三陽。有順有逆。各有條理也。言天地之四時陰陽。盡有經緯紀綱。應人形之外內。皆有表有裡也。)

岐伯對曰:東方生風。
(風乃東方春生之氣。故主生風。)

風生木。
(寅卯屬木。春氣之所生也。)

木生酸。
(地之五行。生陰之五味。)

酸生肝。
(陰之所生。本在五味。故酸生肝。此言內之五臟。外之筋骨皮肉。皆收受四時五行之氣味而相生。故曰:外內之應。皆有表裡也。)

肝生筋。筋生心。
(肝之精氣生筋。筋之精氣生心。內之五臟。合五行之氣。而自相資生也。)

肝主目。
(肝氣通於目。肝和則目能辨五色。故目為肝所主。)

其在天為玄。在人為道。在地為化。化生五味。道生智。玄生神。
(承上文而言。在天之五方五氣。在人之五臟五體。在地之五味五行。皆陰陽變化之為用也。陰陽變化之道。其在天為玄。玄、幽遠也。玄生神。神者。陰陽不測之謂。是以在天為六氣。而在地為五行也。其在人為道。道者。陰陽五行不易之理也。道生智。智者。五臟之神志魂魄。因思慮而處物。是以人之五臟。生五神。化五志也。其在地為化。物生謂之化。化生萬物。而五味之美。不可勝極也。)

神在天為風。在地為木。在體為筋。在臟為肝。
(按天元紀大論曰:陰陽不測謂之神。神在天為風。在地為木。在天為熱。在地為火。在天為濕。在地為土。在天為燥。在地為金。在天為寒。在地為水。故在天為氣。在地成形。形氣相感而化生萬物矣。此陰陽不測之變化。是以在天則為風為熱為濕為燥為寒。在地則為木為火為土為金為水。在體則為筋為脈為肉為皮毛為骨。在臟則為肝為心為脾為肺為腎。在聲則為呼為笑為歌為哭為呻。在變動則為握為憂為噦為咳為栗。在竅則為目為舌為口為鼻為耳。在色則為蒼黃赤白黑。在味則為酸苦甘辛鹹。在音則為宮商角徵羽。在志則為喜怒憂思恐。此皆陰陽應象之神化也。)

在色為蒼。
(薄青色。東方木色也。)

在音為角。
(角為木音。和而長也。)

在聲為呼。
(呼、叫呼也。在志為怒。故發聲為呼。)

在變動為握。
(變動、臟氣變動於經俞也。握者。拘急之象。筋之証也。)

在竅為目。
(目者。肝之官也。)

在味為酸。
(木之味也。)

在志為怒。
(肝者。將軍之官。故其志在怒。)

怒傷肝。
(用志太過。則反傷其體矣。)

悲勝怒。
(悲為肺志。以情勝情也。)

風傷筋。
(能生我者。亦所能害我也。)

燥勝風。
(燥屬西方之金氣。四時五行之氣。有相生而有相製也。)

酸傷筋。
(能養我者。亦能傷我也。)

辛勝酸。
(辛為金味。故能勝酸。金勝木也。)

南方生熱。
(南方主夏令。故生熱。)

熱生火。
(夫火生熱。今以在天之熱而生火。正陰陽不測之變化。)

火生苦。
(炎上作苦。火生苦味也。)

苦生心。
(苦、心之味也。味為陰。臟亦為陰。故味生臟。)

心生血。
(血乃中焦之汁。奉心神而化赤。故血者神氣也。)

血生脾。
(由本臟之所生。而生及相生之臟。)

心主舌。
(心氣通於舌。心和則能知五味。故舌乃心之主。)

其在天為熱。在地為火。在體為脈。在臟為心。
(風寒暑濕燥火。天之陰陽也。木火土金水火。地之陰陽也。人有五臟。化五氣以生喜怒悲憂恐。人之陰陽也。在天成象。在地成形。人則參天兩地者也。先言體而後言臟者。人秉天地之生氣。自外而內也。)

在色為赤。
(南方之火色也。)

在音為徵。
(徵為火音。和而美也。)

在聲為笑。
(心志喜。故發聲為笑。)

在變動為憂。
(心獨無俞。故變動在志。心氣並於肺則憂。)

在竅為舌。
(舌者。心之官也。)

在味為苦。
(火之味也。)

在志為喜。
(心中和樂則喜。)

喜傷心。
(過於喜。則心志自傷。)

恐勝喜。
(恐為腎志。水勝火也。)

熱傷氣。
(熱則氣泄。故熱傷氣。)

寒勝熱。有亢害則有承製。陰陽五行之自然也。苦傷氣。
(苦乃火味。故亦傷氣也。)

鹹勝苦。
(鹹為水味。故勝苦。)

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