周礼30

地官司徒2
#地官と司徒という役職についての章

大司徒之職:掌建邦之土地之圖,與其人民之數,以佐王安擾邦國。
#大司徒の職務:国の土地の図を作成し、その人々の数を把握し、王が国を安定させるのを助ける。

 中国の周王朝における大司徒は、重要な役職の一つでした。大司徒は、土地の管理、国内の人民統計、法律と行政の執行など、王朝の中央政府における重要な職務を担っていました。以下に、大司徒の主な職務と役割をいくつか挙げます

1,土地の管理と土地の地図作成:大司徒は国内の土地を管理し、その地図を作成・維持する役割を担っていました。土地の測量や境界の確定など、土地に関する重要な情報を提供しました。

2,人口統計:大司徒は国内の人口統計を担当し、人民の数を把握しました。人民の数や属性を知ることは、税収や徴兵などの政策立案に重要な情報となりました。

3,法律と行政の執行:大司徒は国内の法律と行政の執行を監督しました。不正行為の取り締まりや紛争解決、治安の維持などがその主な任務でした。

4,王室の補佐:大司徒は王室に対して重要な補佐役であり、国政の重要な意思決定に参与しました。王の信頼を得て、国家の安定と発展に貢献しました。

大司徒になるためには、中国周王朝時代には、一般的に次のようなステップがありました:

1,学問と知識の習得:儒教の教えや史書の学習など、当時の教養を身につける必要がありました。地理、測量、行政の知識も重要でした。

2,官吏としての経験:地方や中央政府の官職に就いて経験を積むことが求められました。官僚制度に基づく昇進のステップを踏む必要があります。

3,賞罰と評価:政府の上層部による賞罰や評価が行われ、能力や功績に基づいて昇進する機会が与えられました。

4,王室の信頼:王室や皇帝の信頼を得ることが重要で、忠誠心と実績を示すことが大司徒に就任するための鍵となりました。

これらのステップを踏み、政府の中枢で重要な地位に就くことができれば、大司徒の職に就くことができました。

以天下土地之圖,周知九州之地域廣輪之數,辨其山林、川澤、丘陵、墳衍、原隰之名物;而辨其邦國都鄙之數,制其畿疆而溝封之,設其社稷之壝而樹之田主。
#天下の土地を地図に表し、九州の地域を広く周知し、山林、川沼、丘陵、古墳、原野、湿地などの名物を識別する。そして、各国の首都や農村の数を把握し、領土を制定して区分し、社稷(国家の神々)を祀るための神壁を設け、農地の管理者を任命する。

 上記の文脈では、「九州」は中国の地理的区分であり、「九州之地域廣輪」は中国の周代(紀元前周王朝)の時代において、中国の領土を九つの州に区分したことを指しています。

 九州(きゅうしゅう)は、中国の古代の地理的区分であり、現代の日本の九州とは異なります。中国の九州は、主に黄河流域と長江流域に存在し、古代中国の政治的・文化的な中心地でした。これらの九州は、それぞれが独自の文化や特徴を持っていました。

 具体的な九州の名前や範囲は時代によって異なりますが、一般的には「冀州」「兗州」「青州」「徐州」「荊州」「揚州」「豫州」「梁州」「雍州」などが含まれました。

 したがって、上記の文脈における「九州之地域廣輪」は、中国の周代における九州の地域全体を指す表現です。

各以其野之所宜木,遂以名其社與其野。
#それぞれの野原に適した木々を植え、そして社と野に名前を付けました。

以土會之法辨五地之物生:
#土地の特性による五つの地域の生物を区別します

一曰山林,其動物宜毛物,其植物宜阜物,其民毛而方。
#一つ目は山林であり、その動物は毛皮のものが適しており、植物は繁茂したものが適しています。その民は毛深くて堅実です。

二曰川澤,其動物宜鱗物,其植物宜膏物,其民黑而津。
#二つ目は川と湿地であり、その動物は鱗を持つものが適しており、植物は油を含むものが適しています。その民は黒くて湿潤な土地に適応しています。

三曰丘陵,其動物宜羽物,其植物宜核物,其民專而長。
#三つ目は丘陵であり、その動物は羽毛のものが適しており、植物は果実の堅果が適しています。その民は専心で長寿です。

四曰墳衍,其動物宜介物,其植物宜莢物,其民皙而瘠。
#四つ目は墳墓や荒野であり、その動物は甲殻を持つものが適しており、植物は豆のような果物が適しています。その民は色白でやせています。

五曰原隰,其動物宜祼物,其植物宜叢物,其民豐肉而庳。
#五つ目は平原や湿地であり、その動物は裸のものが適しており、植物は茂みのようなものが適しています。その民は豊かで太っています。

因此五物者民之常,而施十有二教焉:
#このため、五つのことが人々の常となり、そして十二の教えを施しました

一曰以祀禮教敬,則民不茍。
#一つ目は祭礼によって敬意を教えることで、人々は傲慢になりません。

二曰以陽禮教讓,則民不爭。
#二つ目は陽(明)の礼儀によって譲り合うことを教えることで、人々は争わなくなります。

三曰以陰禮教親,則民不怨。
#三つ目は陰(冥)の礼儀によって親しさを教えることで、人々は怨みを抱きません。

四曰以樂禮教和,則民不乖。
#四つ目は楽(音楽)の礼儀によって和を教えることで、人々は乖離(いぶか)つかなくなります。

五曰以儀辨等,則民不越。
#五つ目は儀礼や分別によって越えてはならない境界を示すことで、人々は過度な行為をしなくなります。

六曰以俗教安,則民不愉。
#六つ目は風習を教えることで、人々は安らかに暮らします。

七曰以刑教中,則民不虣。
#七つ目は刑罰を教えることで、人々は犯罪を犯しません。

八曰以誓教恤,則民不怠。
#八つ目は誓いを守ることで、人々は怠けることなく努力します。

九曰以度教節,則民知足。
#九つ目は節度を教えることで、人々は満足することを知ります。

十曰以世事教能,則民不失職。
#十つ目は世の中の事柄を教えることで、人々は適切な職務を果たします。

十有一曰以賢制爵,則民慎德。
#十一つ目は賢者によって位を制御することで、人々は徳を重んじます。

十有二曰以庸制祿,則民興功。
#十二つ目は庸者によって俸給を制御することで、人々は功績を興します。

以土宜之法辨十有二土之名物,以相民宅而知其利害,以阜人民,以蕃鳥獸,以毓草木,以任土事。辨十有二壤之物而知其種,以教稼穡樹蓺。以土均之法辨五物九等,制天下之地征,以作民職,以令地貢,以斂財賦,以均齊天下之政。
#土地に応じた法則を用いて、十二の土地の名物を区別し、民の住居によって利益と害を知り、人民を豊かにし、鳥獣を繁殖させ、草木を育て、土地の仕事を適任者に任せる。また、十二の土壌の物を区別し、その種類を知り、農耕や木々の栽培などを教える。土地均衡の法則によって、五つの要素を九つのレベルに分け、天下の土地徴収を規制し、人々の職務を設定し、地方の貢物を命じ、財産税を徴収し、天下を均等に統治する政策を制定する。

以土圭之法測土深、正日景,以求地中。日南則景短多暑,日北則景長多寒,日東則景夕多風,日西則景朝多陰。日至之景,尺有五寸,謂之地中:天地之所合也,四時之所交也,風雨之所會也,陰陽之所和也。然則百物阜安,乃建王國焉,制其畿,方千里而封樹之。
#土地測量のために土圭(どけい)の法を用い、太陽の光を正確に測り、地中を求める。太陽が南にあるときは景色が短くて多くの暑さがあり、北にあるときは景色が長くて多くの寒さがあります。東にあるときは夕方に多くの風が吹き、西にあるときは朝に多くの陰りがあります。太陽が真南に達した時の景色は、地中までの距離が五寸(約12.5センチメートル)であり、天地の境界、四季の交わり、風雨の発生、陰陽の調和を表します。したがって、百物が豊かで安泰であり、王国を築くために畿を制定し、千里の広さに樹木を植えるのです。

 「土圭の法」は、古代中国で土地の測量や地形の調査を行うための測量器具や方法を指す用語です。中国の古代から使われていた測量器具の一つであり、主に土地の面積や地形を測定する際に使用されました。

 土圭は、L字型の棒状の器具で、一辺が長く他の一辺が短い直角三角形の形状をしています。この土圭を使用して、三角法などの基本的な測量技術を用いて、地点間の距離や角度を測定し、地形図や地図を作成することが行われました。
 
 古代中国では土地の測量が重要で、税収や灌漑、土地の分配など、様々な社会的な目的に利用されました。土圭はそのような土地の測量を行う際に重要な道具として用いられました。また、土圭の法とは、土圭を使った測量の方法や手法のことを指すこともあります。


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