周礼56

春官宗伯15
#春官と宗伯という役職についての章

喪祝:掌大喪勸防之事。及辟,令啟。及朝,御柩,乃奠。及祖,飾棺,乃載,遂御。及葬,御柩出宮,乃代。及壙,說載除飾。小喪,亦如之。掌喪祭祝號。
#喪祝 (もしゅう):大きな葬儀における手順や作法のこと。そして、その準備。また、道を開ける儀式や出発の合図。そして、朝になり、遺体を棺に納め、その後、供物を捧げる。次に、祖先の霊を迎えるために棺を飾りつけ、車に載せ、葬儀場へ移動。そして、葬儀の儀式が行われ、遺体を墓地へ運び、最終的に棺から遺体を取り出し、墓穴に納め、飾りつけを取り除く。小さな葬儀も同様の手順で行われ、喪祭の儀式名や呼びかけ方も含まれます。

王吊,則與巫前。掌勝國邑之社稷之祝號,以祭祀禱祠焉。凡卿、大夫之喪,掌事而斂飾棺焉。
#王が喪に服す場合、巫(祭祀の司祭)の前で儀式を行います。これは祭祀の儀式において行われることが示唆されています。社稷(国家の神々)の祭祀を担当し、国や都市の繁栄を祈るための祭りの儀式を行います。祭壇を設け、祭祀の儀式を通じて神々に祈りや祭りを捧げ、福徳を祈願します。諸侯や大夫(高位の貴族)の喪がある場合、彼らの葬儀における事務全般を担当し、遺体を安置し、棺を飾りつける役割を果たします。

甸祝:掌四時之田表貉之祝號。舍奠于祖廟,禰亦如之。師甸,致禽于虞中,乃屬禽;及郊,馌獸,舍奠于祖禰,乃斂禽。禂牲、禂馬,皆掌其祝號。
#甸祝 (ほしゅう)は農作物の収穫の祝いを担当する役職。四季ごとの農作物の成果を神々に捧げる儀式の祝詞を唱える役割を担います。この儀式では、田畑の成果を感謝し、その祝詞を唱えます。神々や祖先への供物を祭壇や祖先の廟に捧げる儀式を行う。神々への供物だけでなく、祖先へも同様の儀式を行います。師(教え手や指導者)が甸の儀式を行う際、鳥を神聖な場所(虞中)に持って行き、祭りを行う。その後、その鳥を神に捧げる。郊祭(国家全体の祭り)の際、献上される獣肉を祖先の廟に捧げ、その後に供物を納める。献上された獣肉を後にはぎ取る。牛や馬などの大きな犠牲を捧げる際、その祝詞を唱える役割を担います。また、馬も同様にその儀式を行います。

詛祝:掌盟、詛、類、造、攻、說、禬、禜之祝號。作盟詛之載辭,以敘國之信用,以質邦國之劑信。
#詛祝 (そしゅう)は、誓いや呪い、儀式における諸々の祝詞を担当する。これには国家間の同盟の誓いや敵意の表明、類似性を持つものの結びつき、特定のものを創り出すこと、攻撃的な行動をする際の祈り、儀式の説明、神聖な事象に関する祝詞、神託に対する感謝の意を含む。
盟約や詛儀式における宣言文を作成し、その文言によって国の信頼性を示し、他国に対して信を保証する。また、他国との関係を強化するための手段として、諸々の国家間の約束を交わす。

盟: 盟約や誓いを立てることを指します。国家間の同盟や協定、または個人同士の誓約などが含まれます。
詛: 詛咒(呪い)をかけることです。神聖な儀式において、特定の対象に対する呪いや神の怒りを表明する行為です。
類: 類似性を持つもの同士を結びつけることを指します。共通の特性や性質を持つものを結びつけ、一体感を表現します。
造: 物事を創り出すことを意味します。特定の対象を作り出す儀式や行為を指すことがあります。
攻: 攻撃的な行動を行うために神の加護や助力を祈ることを指します。戦争や攻撃に関連する祭りで行われることがあります。
說: 儀式や祭りの内容を説明することです。神聖な出来事や儀式の意義を人々に伝える役割を果たします。
禬: 神聖な事象や神託に対する感謝の意を示す行為です。神からの啓示や神託を受けた際に、感謝の意を示すために行われます。
禜: 神々に対する祝福や祈りを捧げることです。幸福や繁栄を神に願う儀式的な行動です。

司巫:掌群巫之政令。若國大旱,則帥巫而舞雩。國有大災,則帥巫而造巫恒。祭祀,則共匰主及道布及蒩館。凡祭事,守瘞。凡喪事,掌巫降之禮。
#司巫 (しふ)は、巫(神職)たちの指導や行動を統制し、組織化する責任を持ちます。複数の巫たちをまとめて統率し、儀式や祭祀における指導的な立場です。国家が大旱(大干ばつ)に見舞われた場合、司巫は巫たちを指導し、雩(特別な雨乞いの儀式)を行います。雩の儀式は、雨を祈って行われ、巫たちが踊りながら神々に祈願します。国家に大きな災害が発生した場合、司巫は巫たちを組織して、巫恒(災害を鎮める儀式)を執り行います。巫恒は、神々に災害の解決を祈願する儀式です。祭りや祭祀が行われる際、司巫は祭壇を主宰し、道布(祭祀の儀式の布地を飾る)や蒩館(祭壇を装飾する施設)の整備も行います。祭祀の進行を管理し、神聖な空間を作り出します。祭りの儀式全般を監督し、神聖な秩序を保ちます。また、葬儀の儀式では、死者の魂を導くための巫降(降神の儀式)を主導します。

男巫:掌望祀、望衍,授號,旁招以茅。冬堂贈,無方無算。春招弭,以除疾病。王吊,則與祝前。
#男巫 (なんふ):「望祀」は未来への祈りや願いを捧げる儀式を指し、「望衍」は病気や災難を避けるために祈ることを意味します。男巫は、これらの儀式の主宰者として、神々への祈りや供物の捧げ方を指導し、儀式における祝詞を授けます。また、「旁招以茅」では、神聖な茅(蘆)を使って神々を招く儀式を行います。冬の間に行われる堂(建物)での祭りで、贈り物を捧げる儀式を指します。この儀式では、方向や数え方に拘束されずに贈り物を神々に捧げます。春に行われる招弭(神々を呼び寄せる)の儀式で、疾病を除くことを祈るために行われます。男巫は神々を呼び寄せ、病気を祓うための祭りを主導します。王が喪に服す場合、男巫は祝前(祭祀の司祭)と共に儀式を行います。神聖な儀式を通じて、故人の魂を送り、喪家を励ます役割を果たします。

女巫:掌歲時祓除、釁浴。旱暵則舞雩。若王后吊,則與祝前。凡邦之大災,歌哭而請。
#女巫 (にょふ)は、歳時(一年の中での季節ごとの節目)に行われる浄めや悪縁を祓う儀式を担当します。釁浴は身体を清める儀式であり、新たな一年を神聖な状態で迎えるための行動です。旱魃(大旱)や暑さによる影響がある場合、女巫は雩(特別な雨乞いの儀式)を舞いながら行います。雩の儀式は雨を祈って行われ、女巫たちが踊りながら神々に祈願します。王の妃(王后)が喪に服す場合、女巫は祝前(祭祀の司祭)と共に儀式を行います。故人の魂を送り、喪家を励ます役割を果たします。邦(国)に大きな災害が発生した場合、女巫は歌や嘆きの声を上げながら、神々に祈願や救済を求める儀式を行います。この儀式は災害を除くための祈りを捧げるものです。


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