周礼19

天官冢宰19
#天官と冢宰と言う役職についての章

醫師:掌醫之政令,聚毒藥以共醫事。凡邦之有疾病者、疕瘍者造焉,則使醫分而治之。歲終,則稽其醫事,以制其食:十全為上,十失一次之,十失二次之,十失三次之,十失四為下。
#醫師 :醫師は政令を掌握し、毒薬(毒は今でいう人を殺す劇物ではなく、薬効がある薬のことを指します)を集めて医療に貢献します。国内に病気や傷を抱える者が現れた場合、医師はそれを分けて治療します。年の終わりには、医療の成果を評価し、食事を制限します。十全が最上であり、十分の一を失った場合は次に、十分の二を失った場合はその次、十分の三を失った場合はその次、そして十分の四が最下です。(おそらく治療の成功率のことを示しているのだと思います)

食醫:掌和王之六食、六飲、六膳、百羞、百醬、八珍之齊。凡食齊視春時,羹齊視夏時,醬齊視秋時,飲齊視冬時。凡和,春多酸,夏多苦,秋多辛,冬多咸,調以滑甘。凡會膳食之宜,牛宜稌,羊宜黍,豕宜稷,犬宜粱,雁宜麥,魚宜菰。
#食醫 :食醫は王の六つの食事、六つの飲み物、六つの食事法、百の珍味、百の調味料、八つの珍味を管理します。食事は春の時節に調和し、スープは夏の時節に調和し、調味料は秋の時節に調和し、飲み物は冬の時節に調和します。調和には、春は酸味が多く、夏は苦味が多く、秋は辛味が多く、冬は塩味が多く、滑らかな甘味で調整します。会食に適した食材は、牛には籾米、羊には黍、豚には黍、犬には黍、雁には小麦、魚には蓮根です。

周王朝時代の六食(りくしょく)、六飲(りくいん)、六膳(りくぜん)、百羞(ひゃくしゅう)、百醬(ひゃくしょう)、八珍(はっちん)は、王に提供される特別な料理や飲み物のことを指します。これらは周の王権を象徴し、王の高い地位と贅沢な生活を反映しています。

「六食」は、王に毎日提供される6つの食事を指します。これには主食や主菜、副菜、スープ、デザートなどが含まれます。六食は栄養バランスが考慮され、王に必要な栄養素を提供するために細心の注意が払われました。

「六飲」は、王に提供される6つの飲み物を指します。これには水、茶、スープ、果汁、薬膳の湯などが含まれます。六飲は王の健康と快適さを促進するために選ばれ、季節や状況に応じた飲み物が提供されました。

「六膳」は、王に提供される6つの食事の組み合わせを指します。これには主食や主菜、副菜、スープ、デザート、特別な薬膳料理などが含まれます。六膳は王の味覚を楽しませるだけでなく、栄養摂取と健康維持のためにバランスよく構成されました。

「百羞」は、王に提供される100種類の珍味や高級な料理を指します。これには珍しい食材や贅沢な調理法を用いた料理が含まれます。百羞は王への最高の贈り物として用意され、その豪華さと独特な風味が特徴でした。

「百醬」は、王に提供される100種類の調味料やソースのことを指します。これには醤油、酢、塩、香辛料、特別な調合されたソースなどが含まれます。百醬は料理に風味や深みを与え、王の食事をより豊かなものにしました。

「八珍」は、王に提供される8つの貴重な食材や高級な料理を指します。これには滋養強壮や健康効果が期待される食材や料理が含まれます。八珍は王の体力や精神力を向上させ、長寿と繁栄を象徴するものとされました。

凡君子之食,恒放焉。
#君子の食事は常にこれに従います。

疾醫:掌養萬民之疾病。四時皆有癘疾,春時有痟首疾,夏時有癢疥疾,秋時有瘧寒疾,冬時有嗽、上氣疾。以五味、五穀、五藥養其病。以五氣、五聲、五色視其死生。兩之以九竅之變,參之以九藏之動。凡民之有疾病者,分而治之;死終,則各書其所以而入于醫師。
#疾醫 :疾醫は万民の病気を管理します。四季にはそれぞれ病気があります。春には頭痛があり、夏にはかゆみや発疹があり、秋にはマラリアや寒さによる病気があり、冬には咳や呼吸困難があります。五味、五穀、五薬でそれらの病気を管理します。五つの気、五つの音、五つの色で生死を判断します。九つの穴の変化を組み合わせ、九つの臓器の動きを参照します。一般の人々が病気にかかった場合、それを分けて治療します。死亡した場合は、その理由を書いて医師に報告します。

「五味」(ごみ)は、食物や薬物の味覚の基本的なカテゴリーを指します。中国の伝統医学で用いられる概念であり、五つの基本味覚である酸、苦、甘、辛、塩を指します。

酸(さん): 酸っぱい味を表します。例えば、レモンや酢などが酸味のある食品です。
苦(く): 苦い味を表します。例えば、ゴーヤやホップなどが苦味のある食品です。
甘(かん): 甘い味を表します。例えば、砂糖や果物などが甘味のある食品です。
辛(しん): 辛い味を表します。例えば、唐辛子やワサビなどが辛味のある食品です。
塩(えん): 塩味を表します。例えば、食塩や海藻などが塩味のある食品です。

「五穀」(ごこく)は、五つの主要な穀物を指します。これには米、麦、粟、黍、稷(きび、むぎ、あわ、きび、しょく)が含まれます。五穀は中国の伝統的な食生活で重要な役割を果たし、栄養摂取の基盤となる穀物です。

「五藥」(ごやく)は、五つの主要な薬物や薬草を指します。これには人参、麻黄、甘草、柴胡、大黄(にんじん、まおう、かんぞう、さいこ、だいおう)が含まれます。五藥は中国の伝統医学や薬膳において使用され、それぞれ特定の効能や薬理作用を持っています。

「五氣」(ごき)は、中国の伝統医学や自然哲学における概念で、五つの基本的な気質やエネルギーの要素を指します。これらの五つの氣は、宇宙や人体の中でバランスが取れることで健康や調和をもたらすとされています。
以下に五氣の代表的な意味と対応する要素を示します:

木気(もっき): 成長、拡散、柔軟性を表す気であり、木の特性に関連します。風や木のエネルギーを象徴し、肝臓や筋肉に関連付けられます。
火気(かき): 熱、活力、情熱を表す気であり、火の特性に関連します。太陽や火のエネルギーを象徴し、心臓や血液に関連付けられます。
土気(どき): 安定性、根付き、忍耐力を表す気であり、土の特性に関連します。地のエネルギーを象徴し、脾臓や筋肉組織に関連付けられます。
金気(こんき): 清浄、収束、硬さを表す気であり、金属の特性に関連します。空気や金属のエネルギーを象徴し、肺や皮膚に関連付けられます。
水気(すいき): 流動性、冷却、静けさを表す気であり、水の特性に関連します。水や液体のエネルギーを象徴し、腎臓や体液に関連付けられます。

「五聲」(ごしょう)は、音の五つの基本的な質を指します。これらの五つの声は音楽理論や伝統的な漢字の読み方にも関連しています。
以下に五聲の代表的な意味と対応する要素を示します:

宮(きゅう): 基本音、根源的な音を表します。土気に関連し、守護や安定性を象徴します。
商(しょう): 呼吸、上昇、明るさを表します。木気に関連し、成長や活力を象徴します。
角(かく): 空間、変化、柔軟性を表します。火気に関連し、情熱や創造性を象徴します。
徵(ちょう): 知識、調和、調整を表します。金気に関連し、洞察力や調和を象徴します。
羽(う): 上昇、自由、軽やかさを表します。水気に関連し、柔軟性や流動性を象徴します。

「五色」(ごしょく)は、五つの基本的な色を指します。これらの五色は、自然界や陰陽思想と関連付けられています。
以下に五色の代表的な意味と対応する要素を示します:

青(せい): 成長、木、若さ、生命力を表します。木気に関連し、健康や活力を象徴します。
赤(せき): 活力、情熱、興奮を表します。火気に関連し、活力や情熱を象徴します。
黄(おう): 明るさ、陽気、活気を表します。土気に関連し、安定感や健康を象徴します。
白(はく): 清潔、純粋、調和を表します。金気に関連し、洞察力や調和を象徴します。
黒(こく): 隠蔽、秘密、静寂を表します。水気に関連し、冷静さや内省を象徴します。

「九竅」(きゅうきょう)は、中国の伝統医学や仙道思想における概念で、人体の九つの重要なエネルギーポイントや開口部を指します。これらの九つの竅は、気やエネルギーの流れを調節し、身体や精神の調和を促すとされています。
以下に九竅の代表的な意味と対応する部位を示します:

神庭(しんてい): 頭頂部の穴であり、身体と宇宙のエネルギーの交流点とされます。
太淵(たいえん): 口の中の穴であり、言葉や呼吸のエネルギーの出入り口とされます。
神藏(しんぞう): 脳の中心部の穴であり、心のエネルギーの本源とされます。
気舍(きしゃ): 胸の中央にある穴であり、気や呼吸のエネルギーの貯蔵庫とされます。
鳳凰(ほうおう): 乳首の穴であり、生命力や創造力の源とされます。
神道(しんどう): 臍(へそ)の穴であり、生命力や消化力の源とされます。
倉庫(そうこ): 股間の穴であり、生殖力や性的エネルギーの源とされます。
骨穴(こつけつ): 膝の裏の穴であり、筋肉や骨のエネルギーの集積地とされます。
気府(きふ): 足の裏の穴であり、地に根ざしたエネルギーの源とされます。

これらの九竅は、身体や精神の調和を促進するために重要な役割を果たします。各竅が正常に機能し、エネルギーが自由に流れることで、健康とバランスが維持されるとされています。

「九藏」(きゅうぞう)は、中国の伝統医学における概念で、人体の九つの重要な臓器や内蔵を指します。これらの臓器は、身体の機能やエネルギーの調節、体液や物質の生成などの役割を担っています。
以下に九藏の代表的な意味と対応する臓器を示します:

肺(はい): 呼吸や気の循環を担当し、気の生成と排出を調節します。
心(しん): 血液の循環や情緒の調節を担当し、意識や感情を制御します。
肝(かん): 血液の貯蔵と流れの調節、気の滞りの解消を担当します。
脾(ひ): 食物の消化と栄養の吸収、体液の生成を担当します。
腎(じん): 水分代謝や排泄、生殖機能の調節を担当します。
心包(しんぽう): 心臓を保護し、心のエネルギーの調節を支援します。
胆(たん): 肝臓と関連し、胆汁の生成と排出を調節します。
胃(い): 食物の消化と一時的な貯蔵を担当します。
大腸(だいちょう): 残留物の排出と水分の吸収を担当します。

これらの九藏は、身体の調和と正常な機能を維持するために重要な役割を果たしています。各臓器は相互に関連し、エネルギーと物質のバランスを調節することで、健康と調和を促進します。

瘍醫:掌腫瘍、潰瘍、金瘍、折瘍之祝藥劀殺之齊。凡療瘍,以五毒攻之,以五氣養之,以五藥療之,以五味節之。凡藥,以酸養骨,以辛養筋,以咸養脈,以苦養氣,以甘養肉,以滑養竅。凡有瘍者,受其藥焉。
#瘍醫 :瘍醫は腫れ物、潰瘍、切り傷、骨折に対して薬を使って治療します。瘍を治療するためには、五つの毒で攻撃し、五つの気で養い、五つの薬で治療し、五つの味で制御します。薬は酸味で骨を養い、辛味で筋肉を養い、塩味で血管を養い、苦味で気を養い、甘味で肉を養い、滑らかな味で体の孔を養います。傷を抱えている場合は、その薬を受け取ります。

「五毒」(ごどく)は、ここで言及されている文脈では、瘍(よう)や潰瘍(かいよう)、金瘍(きんよう)、折瘍(せつよう)などの治療に使用される毒性のある薬物を指しています。これらの薬物は、瘍や潰瘍などの皮膚病や傷口の治療に用いられることがあります。

以下に、文中で言及されている「五毒」の具体的な意味と対応する要素を示します:

酸毒(さんどく): 酸の性質やエネルギーを持つ有毒な薬物を指します。主に骨を強化するために使用されます。

辛毒(しんどく): 辛い味や性質を持つ有毒な薬物を指します。主に筋肉を強化するために使用されます。

咸毒(かんどく): 塩味や性質を持つ有毒な薬物を指します。主に血管を強化するために使用されます。

苦毒(くどく): 苦い味や性質を持つ有毒な薬物を指します。主に気を強化するために使用されます。

甘毒(かんどく): 甘い味や性質を持つ有毒な薬物を指します。主に肉を強化するために使用されます。

これらの「五毒」は、瘍や潰瘍などの病状を治療する際に使用される薬物の一部です。それぞれの毒性成分は、特定の目的や治療効果を持っているとされています。伝統的な医療理論では、これらの薬物を適切な方法で使用し、病状を治癒させるために利用されてきました。

獸醫:掌療獸病,療獸瘍。凡療獸病,灌而行之以節之,以動其氣,觀其所發而養之。凡療獸瘍,灌而劀之,以發其惡,然後藥之、養之、食之。凡獸之有病者、有瘍者,使療之;死則計其數以進退之。
#獣醫 :獣醫は動物の病気と傷を治療します。動物の病気を治療する場合は、薬液を使って管理し、動物の気を活性化させ、発病の状態を観察しながら養います。傷を治療する場合は、液体を注入して浄化し、悪いものを排出した後、薬を投与し、養い、食べさせます。動物に病気や傷がある場合は、治療します。死亡した場合は、数を計算して生死を報告します。


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