見出し画像

「契約締結にかかる期間が1週間から最短3分に」電子サイン化のメリットとは?

新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークや在宅勤務などのオフィスに出社しない働き方が広がっています。その一方で、書類の押印のために出社を余儀なくされるという、日本特有の「ハンコ文化」による課題も出てきました。そのような背景から、紙の契約書に押印・署名する代わりに、デジタルな契約書に電子サインをして取引先とやりとりする「電子契約」が注目されています。

ヤフーは、2017年ごろから電子契約を推進しており、2019年9月からは取引先との契約の捺印(なついん)や署名を電子サインに順次切り替えています。今回は、電子サイン導入のメリットなどをご紹介します。

電子サインとは? そのメリット


電子サインとは、紙に押印・署名する代わりに、PCやスマートフォン上でPDFなどの電子ファイル上で契約への同意証跡を電子データとして保存する仕組みです。

メールアドレスで本人確認を行い、ブラウザ上で署名を行いますので、インターネットがつながっている場所であれば、いつでもどこでも署名ができます。メールアドレスさえあればスマートフォンからでもサインできるため、時間と工数を大幅に削減できることもメリットです。

・締結までの時間を短縮できる
・紙の契約書の捺印手続きが不要になるため、捺印のための出社する必要がなくなる
・PCやスマートフォンなどで対応できるため時間と場所の制約を受けない
・印刷、製本、郵送、保管などの手間・費用がかからない
・契約書をデータで保管するため、紛失・漏洩(ろうえい)リスクが低くなる

画像3

これまで1~2週間かかっていた契約書のやりとりが最短3分で完了


ヤフーの場合、押印プロセスを電子サイン化しているため、契約書の内容合意から社内決裁に至るまでのプロセスは従来通りです。社内決裁を得た契約データでないと電子サインできないルールになっています。

契約書の印刷と製本は、慣れている人がやれば短時間でできますが、郵送にかかる時間は減らせません。紙の契約書に押印する場合、まず契約書が先方に届くまでの時間、そして先方が捺印して戻す時間がかかります。そのため、双方の捺印が終わって原本を回収するまでには、国内企業で2週間程度、海外企業だと1カ月以上かかってしまいます。
電子サインであれば先方のメールアドレスさえあれば一瞬で届き、最短だと3分くらいで手続きを完了できます。

以下は電子サインで手続きを完了するまでの一例です。複数回のクリックで署名が完了します。どのメールアドレスがいつ、どのようなアクションをしたかが証拠として完了証明書に記録されますので、サイン済みのPDFとセットで保管していただくことで手続きが完了します。

1)文書への電子的な署名を求める電子メールを受信
2)文書にアクセス
3)文書全体を確認してから、署名(活字体での記入、マウスなどによる手書きなど)
4)関係者全員が文書への署名を完了したことを確認する電子メールが届き、完了

ヤフーから捺印をお願いした場合、電子サインを利用するにあたり取引先で必要なものは実は何もありません。弊社から先方に電子サインを送る場合、先方のメールアドレスさえわかればそのまま手続きが可能です。ライセンス登録や費用、専用アプリケーションのインストールは不要です。

画像2

ヤフーが電子サインにスムーズに移行できた理由は「ハンコの一括管理」

なかなか電子サイン化できない理由の一つに、企業規模が大きい会社ではハンコが200~300個あり、それらすべてを電子サインに切り替えることがすぐには難しいということがあるようです。
また、各部署がそれぞれハンコを持ち、管理部門がばらばらであることも、電子サイン導入のハードルになっているのではないかと思います。そのような場合は、それぞれの部署で電子サインの利用方法を習得しなければならず、導入時の教育コストがかかります。

ヤフーでは、もともとハンコの数がそれほど多くなかったこと、契約書を取り扱う部署でハンコを一元管理していたことで、その部署内の教育だけで電子サインに切り替えることができたので、教育コストもミニマムに抑えることができ、電子サインへのスムーズな移行を可能にしたと感じています。

電子サインの導入を検討するときに心がけるとよいこと

ヤフーが使っている「DocuSign」は、基本的に外国、欧米ではすでに主流なシステムだったので、海外の取引先との契約でスムーズに進められるというメリットから選びました。また、アクセス権限の制御を行って複数の部門で利用できたり、「Salesforce」を入れていればDocuSignをオプションで追加できたりするなど、機能やシステム連携が豊富なことも選定の理由です。
私たちが電子サイン化を検討したとき、ベンダーはまだ3社でしたが、この2年くらいでベンダーが増え、10社くらいになっています。ベンダーの選定をされる際には、取引先にどのような企業が多いのか、必要な機能がそろっているかなどを確認した上で検討していただくとよいと思います。

【関連リンク】
ヤフー、民間取引先との契約手続きの「100%電子サイン化」に着手(プレスリリース)