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個人的に気になったニュース10選[01/24〜01/30]

❶宇宙・空にネット「基地局」 

 米スペースXやソフトバンク、楽天などは、宇宙に人工衛星を打ち上げたり、航空機を飛ばしたりしてネット接続のための基地局とする動きを進める。スペースXは、12000基の衛生を張り巡らせる計画で、20年末までに900基の設置が完了。コストや法整備の課題は多く、撤退しているベンチャーもあるが、基地局が手薄な新興国などへの展開を計画している。
 正直なところ、世間で騒がれている「5G」については、通信速度が速くなることが謳われているものの、現状の通信速度で普段使いでは十分すぎるほどなので「そんなに速度を速くすることで劇的に変わるのか?」という感じがする。一方で、こうした「そもそもネットがないエリアに、ネットをもたらす」動きは、橋がかけられたり道路が作られたりするのと同じで、純粋にインフラの拡充という感じがする。基地局を普通に設置するよりもコストはかかりそうだけれど、世界中がネットで覆われたら何が起きるか、というのは見てみたいですね。

❷河野カードの光と影

 現政権で最重要の役割である「ワクチン担当」として、河野太郎規制改革相が任命された。20年9月に首相に就任してから、日本学術会議の問題でも期待し、それに続いての要請となる。河野カードは、成功しても失敗しても結果は首相自身に跳ね返る。防衛相時代、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の計画停止を突然、打ち出したが、根回しが不十分で、現在でも代替案は示されていない。
 個人的には、言っていることもなんかおかしいし、SNSを中心に若者人気をとろうとしている感じもあまり好きではない(ネットでも、やること言うことすべてが礼讃されているのも気になる)。なんでこんなに重要な役割を担うことが多いのかなと考えていたのだが、「空気の読めなさ」が、鉄砲玉としてはちょうどいいのかもな、と思った。周囲からの評判はそんなによくはないようだけれど、それぐらいでないと改革は難しい。菅首相の目線で見れば、とりあえず命じたことは一生懸命やる存在として、使いやすいのかもしれない。大きな失言やスキャンダルがなければいいですね。

❸ソフトバンクG、英アーム売却へ 実現へ独禁法の壁高く

 ソフトバンクグループは2020年9月、英半導体設計大手アームを、米エムビディアに売却すると発表。売却額は約4兆1000億円の見通し。
 孫正義が16年にアームを買収した際に、「CPUの設計に関わることができる」と喜んでいたのが印象的だったので、この売却はなかなか衝撃的だった。一方で、半導体の需要が高まっている昨今において、なぜこの状況で売却するのか不思議だった。でも、調べてみると、エムビディアにアームを売却する際に、現金で支払われるのは120億ドルで、残りの215億ドルがNVIDIAの株式で支払われるとされている。その結果、ソフトバンクグループはNVIDIAの発行済み株式の約6.7〜8.1%を保有する見込みで、NVIDIAの大株主の1社となる見通し。つまり、アームをエサにして半導体大手のエムビディアにも噛むことができるわけで、これが狙いなのかもしれない。どういう場面でも、感情に動かされることなく、冷静にその場その場の最適解を選んでいく姿勢は、冷徹なビジネスマンという感じですごいな、と。

❹TSMC、半導体再値上げ

 主に車載用の半導体不足を受け、大手半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)が最大で15%程度の値上げを検討していることがわかった。ルネサスエレクトロニクスなどはすでに日本の自動車メーカーなどに値上げ要請をしているが、供給元である台湾企業からの値上げが実施されるようであればさらなる値上げをせざるをえない、とみられている。ただ、生産している台湾企業側も、現在工場をフル稼働で回転されているようで、値上げは実施するものの、短期間での増産は厳しい見通しだ。
 今までは力関係では自動車メーカーのほうが強かったのか、年一回あった交渉では自動車メーカー側から半導体メーカーに向けて値下げ交渉をしていたのが、いまは需給関係が逆転し、半導体メーカー側から値上げ要求をされている、という。需給の波が激しく、投資がかさむこの半導体への投資は、もともと欧米日などが先行して発祥したものの、現在は台湾企業や韓国企業がメインとなっている、という。

❺コロナ治療薬候補「イベルメクチン」、治験検討

 東京都が、抗寄生虫薬である「イベルメクチン」の新型コロナウィルスに対する治験を実施する検討をしていることがわかった。現在、重症患者が多いため、感染者数が落ち着いてから治験を開始する見通し。これまで、細胞を使った実験で同薬品が新型コロナウィルスの増殖を抑える、ということは判明している。アフリカなどで寄生虫の治療目的で数十億人規模で投与されているが、深刻な副作用の報告はあがっていない。
 最近、本格的にファイザーやアストラゼネカ製のワクチンが開発・運用されはじめたおかげで、既存の治療薬を転用する形の治験が滞っている印象があったのだけれど、まだそれらのワクチンの供給や有効性が本当に実証されたわけではない以上、セカンドオプションとして検討し続けられなければならないと思う。米トランプ大統領にも投与されたレムデシビルは、治療に効果がみられなかったとして、11月20日、使用を推奨しないとのガイドラインがWHOからでている。

❻ワクチン接種 初の訓練

 厚生労働省と川崎市は、新型コロナウィルスのワクチン接種会場の訓練を合同で実施し、標準的な体育館で一日300人程度の接種が可能であると確認をした。訓練によって、実際に接種するにあたっては想定よりも医師の問診に時間がかかるなどの問題も浮き彫りになった。当然、会場自体がクラスターになっては元も子もないので、いかに「密」を避けて接種を行うかが課題となる。
 ワクチンの確保があるのは大前提なのだけれど、その次の段階として、軍事用語で言うところの「兵站」、つまりロジスティクスの、泥臭い段階を克服しなければならない。もちろん先行してワクチン接種を開始している各国の状況を参考にすることも必要だけれど、実際にやってみて、どういったものが不足しているのかを確認することで、必要なものも見えてくるはず。個人的には、医師の確保などの課題もさることながら、1万カ所を予定する「基本型接種施設」に購入する冷凍庫や、物流などをどのように仕組むつもりなのかが気になる。

❼EV量産、競争激しく

 EV業界で先行するテスラは、EV車の年間販売台数を20年比で倍の100万台とする見通し。新型コロナウィルスの影響でEV自動車界全体では販売台数減となるなか、いち早く回復した中国市場などの需要を取り込み、20年は上場後初の通期黒字に漕ぎ着けた。業界で首位を走っているが、各自動車メーカーも続々と市場に参入してきており、予断を許さない状況に変わりはない。また、中国ではすでに価格競争もはじまっており、主力の「モデル3」の3割の値下げに踏み切ったという。独フォルクスワーゲンは、今後5年間でEVとソフトウェア開発に7兆8000億円を投資する見通し。日本勢も、トヨタは20年代前半に世界で10車種以上を展開する予定。
 テスラほど評価のアップダウンの激しい会社はないと思うが、いまは株価にも現れている通り「バブル」な状況なのだろう。とはいえ、倒産の危機はひとまずは克服した状況といえるので、次のステージに向けて準備する時期なのかな、と思われる。

❽アップル、コロナ下の最高益

 米アップルの業績は、2020年10月〜12月の売り上げば、四半期としてははじめて1000億ドル(10兆4000億円)の大台を超えた。高速規格の5Gに対応した「Proモデル」が好評で、利益を押し上げたとのこと。コロナ禍におけるリモート需要の取り込みも成功し、iPadやMacなどの販売増につながった。
 どんな会社でもそうだけれど、業績がいいときに次なる手を打つ必要がある。特に、CEOであるティム・クック氏が述べている通り、iPhoneはすでに全世界で10億台近くが使われているので、今後の伸びはそうは期待できない。現時点での収益の柱はiPhoneに大部分を依存しており、コンテンツ部門はまだはじまったばかりで、競合に追いつくのはまだ時間がかかりそうとのこと。現時点においてAppleは巨大な企業ではあるが、かつて自分たちがIBMなどを打ち負かしたときのように、新興企業にいずれはやられるのでは、と思える。

❾企業業績、強弱一段と

 二度目の緊急事態宣言を受け、鉄道や外食では最終損益が落ち込む企業が目立つ一方で、電子部品や海運で想定以上の回復がみられる。表面的にはコロナを収束させた中国のスマートフォン関連企業からの需要が増えている企業もある。一方で、鉄道や航空など、人が移動する業界は壊滅的な業績だ。株価は回復を見通して全体的に割高となっているが、期待が先行して業績との解離が目立つ企業も多い。
 マスコミの報道をみていると、飲食やホテル業界など「冷え込んでいる」業界ばかりがフォーカスされているが、実際のところはリーマンショックなどの頃と比較すると、業績が伸びているところも多く、「バブルがはじけた不況」とはまた状況が違うと感じている。このコロナをチャンスとみている会社も多い。どちらかといえば、新旧プレイヤーの交代というか、本来もっと時間をかけて起こる新陳代謝が早くなったイメージだ。むしろこの波にうまく乗っかっていける企業がどんどん増えてくればいいな、と思う。

➓東京からの転出40万人 昨年4.7%増

 近年は東京への一極集中の状況が続いていたが、東京から出ていく転出者の合計が40万人を超え、2014年から比較すると最大になった。また、7月から12月までは、転入よりも転出のほうが多くなった。コロナで収入が減ったり失業したりして近隣の県への移住を余儀なくされた人がいるほか、東京で仕事を続けながら、「もっと環境のいい場所に移住したい」と考える人も増えたという。
 テレワークが比率として以前よりも増えたことで、新橋にある電通やソフトバンクなどの大型オフィスビルの売却なども相次いでいる中で、東京から地方へ人が移動する動きが加速している。テレワークという言葉は存在していたものの、それが徹底される必然性がなかった中で、急にテレワークをすることが当たり前の世界に変わった。それとともに、必ずしも東京で仕事をする必要がなくなった人も増え、この動きになるのは当然だろうな、と思う。コロナが収束したあとも、東京のオフィスに人が戻ることはなくなるのだろうか?

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