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個人的に気になったニュース10選[02/07〜02/13]

❶ネット中傷 光る「人の目」

 IT関連企業の「GMOタウンwifi」は、書き込まれたコメントに対し、「問題あり」だとされるコメントを抽出し、いったん非表示にしてから、人の目で見て問題なしと判断すればそれを解除する、という取り組みを行っている。
 ネット上の誹謗中傷コメントは、AIを使って広く抽出をするものの、文脈によって意味合いが変わったりするため、前後のコメントなどをみて、最終的には人の手で判断しているのだという。「清く心地いいインターネット」を実現するためには必要な手段かもしれないが、不快なコメントがあっても「ネットとはそういうものだ」と割り切れるマインド、そして自分で「不要だ」と感じたコメントを自らブロックする、あるいはインターネットそのものから距離をおくなど、「自衛」の手段を各自が持つほうがより民主的でいいな、とは思う。

❷走行機能、ソフトで更新 トヨタ・日産が導入

 トヨタ自動車と日産は、車に搭載したソフトウェアの更新だけで走行機能をアップデートする車両を21年度から市場に投入する。インターネットを介してソフトウェアのアップデートを行う技術は、「OTA(over the air)」と呼ばれる。これまで、日系メーカーは、走行に関わらない機能のアップデートのみにとどまっていた。
 米テスラが車機能のアップデートをソフトウェアベースで行うことに対し、「走るスマホ」だと表現されたけれど、この流れは他の自動車メーカーも追随する模様。ただ、もちろんネット接続されたソフトウェアだと、ハッキングをされるおそれもある。スマホのハッキングと違い、自動車は重量の重い金属製の車体が走行する「凶器」になりうるので、万一の事故の際には、尋常じゃない被害が出ることだろう。セキュリティコストは各社、かなり跳ね上がることと思われる。

❸東日本大震災10年 検証・復興事業(2) 沈下やまぬ水産加工 

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市のとある水産メーカーは、震災当時に破綻を回避するため申請した「グループ補助金」のうち、自己負担金(申請額の25%)や設備の維持費がかさみ逆に財務を圧迫していると嘆く。「時を戻せるなら土地を更地にして、いまの状況に合った設備をつくる」とも。2年半かけて現状復帰を果たすも、取引先だったスーパーなどはすでに他社メーカーとの取引に移行してしまっており、売り上げは当時の6割程度にとどまる。
 東日本大震災は10年に一度ぐらいの頻度で起きる「大災害」だけれど(その中でも規模が大きいが)、公的に補助金を過剰に補助した結果、自己負担金や維持費用などがかさみ逆に被災者を圧迫している、という話。もちろん、人間は神ではないので「何が最適か」というのはわからない。でも、こういう教訓は、コロナでの支援金についても、生かせる部分は多いのではないだろうか。

❹経済学は自然を救えるか

 経済学を学ぶ学生なら、資本や労働などの「生産要素」を市場に投入し、経済効果を「産出」する仕組みについてはよく理解しているかもしれない。が、これらは、現在の豊かな「地球の資産」によって実現されていることで、たとえば金星では、地球と同じように資本を投下しても、それに見合うような効果は期待することができない、ということを忘れがちだ。
 SDGsの取り組みもそうだけれど、ここ数年で、急速に「環境負荷」に対する政策や、経済的アプローチがフォーカスされるようになったと思う。それだけ関心が高いことのあらわれだろう。もちろん、その中の主要なファクターは、EV車の普及や、持続可能なエネルギーのことだったりするのかもしれないが、そもそも人類が活動するためには「豊かな地球」が不可欠なことは確かだ。今後、いまの社会が浪費している、大きなツケを払っていくことになるのだと思う。

❺サムスンは変われるか 先端技術、今や「守る側」

 韓サムスンの時価総額はトヨタの二倍以上となり、名実ともにアジアを代表する企業となったが、一方で、その技術力をねらって、中国からの人材の引き抜きなども起こっているという。製造技術を中国に売り渡そうとしていたとして、逮捕される者も相次いでいる。技術の流出を防ぐべく、「国家情報院(国情院)」の内偵が暗躍する。
 なんだか山崎豊子の小説に出てきそうな、生き馬の目を抜く韓国企業と中国企業の技術争い。「日本の過去に学べ」と、まるで日本が蚊帳の外なのが切ない。しかし、こういう形で外国の企業に引き抜かれても、エッセンスだけ抜き取られたら使い捨てられるわけで、どういう形が技術者にとっての幸せか? は、簡単に答えが出るものでもなさそうだ。

❻スマホを「修理する権利」 環境配慮、「長く使う」機運

 従来、スマートフォンメーカーは利用者に製品の修理をさせることを忌避する傾向にあったが、欧州議会は「修理する権利」を奨励する決議を採択した。「修理しやすいスマートフォン」の販売を伸ばす意向だ。フェアフォンなどの新興メーカーは、部品の提供のみならず、交換のマニュアルまで提供し、支持を集めている。欧州では、77%の市民が「スマホは交換するよりも修理したい」と思っているという。
 アップル製品は伝統的に顧客に製品の内部をいじらせることを好まず、部品もすべて純正のものを使うことを求めるなど、この手の動きはポリシーに反すると思っていたが、さすがに圧力を受けて少しは軟化する方向で動いているようだ。でも、リペアして売る動きが当たり前になると、当然最新の機種の売れ行きに影響するわけで、収益との両立が迫られるだろう。

❼50万円EV、中国で急加速 上海汽車、販売台数トップに 

 中国で50万円程度の廉価な小型EV車が伸びている。一回の充電では100数十キロしか走れないモデルがほとんどだが、日常使いでは支障がなく、十分だと評価されている。上海汽車集団はこの分野のヒットにより、2020年の新エネルギー車販売台数が中国トップとなった。
 米テスラが先行しているEV業界だけれど、中国メーカーが現在は競合になっていて、性能を抑えた廉価版や機能を抑えたバージョンで市場をつかんでいる。テスラも最終的にはより廉価な大衆モデルに移行するとしつつも、中国市場は一筋縄ではいかない模様。中国はガソリン車では世界的には存在感がなかったけれど、「新しいルール」のEV業界では貪欲にシェアを狙ってくるだろう。

❽(社説)市場みすえ農産物輸出拡大を

 2020年の農林水産物と食品の輸出額は8年連続で最高を記録し、9223億円と前年比で1.1%増加した。香港向けに、生で食べられる鶏卵の輸出が伸びたほか、米国の家庭向けに薄くスライスした牛肉を輸出するなど、コロナに対応した販売方法の見直しなどが奏功した。これまでは国内で余ったものを輸出にまわしていたが、輸出先の国のニーズに合わせるスタイルに改善している。
 日本はほぼすべての品目において、農産物は輸入に頼っているが、日本国内で生産している農産物はレベルが高く、海外に輸出するポテンシャルも非常に高い、ということを忘れてはならない。特にアジアが裕福になってきた近年においては、日本から輸出するビジネスをもっと中心に据えるべきだろう。

❾菅政権、対応後手に

 森喜朗元首相が東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長を辞任する意向を固めた。国内外で強まる批判のうねりに菅政権の危機意識は薄く、調整役不在もあり対応は後手に回った。海外メディアは発言を「性差別的だ」と報じ、欧州各国の大使館はツイッターで批判した。また、五輪会場で観客の誘導などをするボランティアや聖火ランナーに辞退者が相次いだ。
 事実かは定かではないが森元首相はオリンピック関連業者から多額の献金を受け取り、それを原資に献金することで自民党に内でもいまだ強い影響力をもっている、という。もう80歳を超えた人が、いったいどういう意図で権力を誇示したがるのかは謎だが、党内の政治力という点では、菅首相はやりづらいのかな、という感じがする。

➓抗ウイルス、素材に新潮流 コロナで高まる衛生意識

 東洋紡は空調フィルターなどに使う不織布を開発、抗ウイルス効果のある製品を投入する。住友化学や三菱ケミカルも2021年内にスーパーや飲食店の間仕切りに使うアクリル板を発売する予定だ。抗ウイルス性素材が新たな製品ジャンルとして広がりそうになっている各社が投入するのは薬剤などの力でウイルスの活動を止める効果がある素材だ。
東洋紡が4月に発売する不織布「エアリア」は、表面に抗ウイルス性のある薬剤を接着した。
 今までこうしたグッズは「抗菌使用」などと謳ったものがくることが多かったけれど、いまの時代は「抗ウィルス仕様」になるんだな、と。よくはわからないが、こうした基礎技術を粛々と開発していた人々は、いまは脚光を浴びているのでは?

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