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個人的に気になったニュース10選[02/21〜02/27]

❶携帯値下げ攻防戦1「料金はゼロでいい」

 第四のキャリアとして携帯業界に新規参入した楽天が、NTTドコモが打ち出したデータ容量20ギガバイトで月2980円の新プランの対抗措置について議論中、三木谷代表の鶴の一声で1ギガまで無料という常識を破るプランが爆誕。もちろん、各キャリアともそれに対応してさらなる値下げ措置をとるはずで、この攻防が終着するのか。
 菅首相の肝煎りで進んでいる携帯料金の値下げ。ポーズだけじゃなくて、本当に官邸からかなりの圧力がかかっているのだとか。確かに海外での料金というのは本当に安いので、日本はこれまでかなり特殊な方法で儲けてたんだろうな、と思う。一番不要なのは携帯ショップで、使いもしないプランを申し込まれるぐらいなら自分で調べてやったほうがいい。そういうコストを切っていくことになるのだろう。

❷東芝・GE、洋上風力で提携

 東芝とGEが、洋上風力発電の機関部分「ナセル」の共同生産のための提携を進めている。東芝は、石炭火力発電の撤退による余剰人員をあてるとみられる。日本勢はこれまで同分野では規模が小さいため収益化がうまくいかず、日立製作所や日本製鋼所は生産から撤退。三菱も、販売のみで現在製造はしていない。
 脱炭素を受けて、再生可能エネルギーへの注目が集まっているけれど、その中での太陽光発電というのはあまり聞かない。やはり洋上風力が有力視されているのだろうか。ここでもやはり規模の経済が働くので、中途半端な参入ではコスト面でも先行する欧州・中国に勝てないのだろう。政府の肝煎りということで、これで投資が集まればいいのだけれど。

❸アマゾン、インド政府に秋波

 米Amazonはインド国内で、自社製品の製造を行うことを発表。鴻海系の会社に生産委託をしているが、チェンナイの工場に生産ラインを確保。生産コスト減を図るための措置というよりは、外資に厳しいインドのネット通販市場の規制をやわらげることが狙いにありそうだ。
 巨大な市場でありながら、なかなか排他的で参入が厳しいインド。特に、IT関連はTikTokが規制されたり、ツイッターが圧力を受けるなど、なかなか厳しい話をよく聞く。Amazonは製造拠点をインドにも設けることで融和を測ろうとするけれど、正直Amazonの端末ってそんなに出ている印象はないから、そんなのでうまくいくかな? という気も。でも、最初から諦める姿勢ではないんですね。

❹データセンターの地政学

 最近、北総鉄道・京成電鉄の千葉ニュータウン中央駅が、データセンターの建設地として注目されている。地盤もしっかりしているこの地域では、巨大なデータセンターが次々と立ち始めている。現在、主要なネットサービスはクラウドを介して提供されているが、その実態はサーバーが並べられたデータセンター。当然、物理的に存在しているものなので、地政学的なリスクも存在する。
結局、GAFAと呼ばれる企業の最大の強みは、世界中にデータセンターを持っている、ということになるとのことだ。データセンターが、先行した巨大IT企業の差別化のための先行投資になっているわけだ。アイデアや技術ももちろんだが、データセンターの配置を見ることで、各社の戦略を見ることができるかもしれない。

❺ワクチン接種に経済学生かせ

 東京大学マーケットデザインセンターは、新型コロナウィルスワクチン接種に関して、マーケットデザインという学問の観点から自治体向けに助言をしている。米国では、対象者を職業分類などにより厳格に区分したせいでミスマッチが増え、多くのワクチンが廃棄された。同じことを繰り返さないためにはどうすればよいのか?
 ワクチンが日本に着いた段階で終わり、ではなく、本当に日本国民という大集団に接種を完遂させるためには、やるべきことがまだまだ山積みだという話。当然副作用などもあるなかで、無駄なく接種を完了させるための手法が問われる。ここまでの知見を生かす場面であると同時に、マーケットデザインそのものが大きく進歩しそうな「社会実験」でもありそうですね。

❻対ミャンマー新規ODAは見合わせ

 日本政府は、クーデターの起きたミャンマーへのODA新規案件を見合わせる検討に入った。 新規にODA交渉を進めることは、軍事制圧した国軍を正式な政府と認めることに繋がり、国際世論の目を気にしての対応となる。検討を進めてきた案件としては、ヤンゴン近郊に建設するハンタワディ国際空港の建設などがある。日本は拘束されているアウンサン・スーチー氏の早期復帰を促す。
 ミャンマーへの投資は、これを期に一時停止するだけでなく、政情不安から今後も長い期間にわたって停止しそうだ。もっとも、ミャンマーへのODAは「無償提供」ではなく、「借款」なので、「支援」の名のもと、同国政府を借金漬けにしているにすぎない。この隙間に中国が猛攻してきそうな気配。

❼減る新卒人口、改革迫る

 主要企業の21年春入社の内定者数は前年春に比べ1割程度減ったが、22年卒の採用は、前年から大きく悪化せず、踏みとどまる見通し。22年卒の採用を「減らす」企業が11.6%の一方で、「増やす」企業は7.7%あった。背景には、27年には110万人を割り込む、少子高齢化による「若者減少」がある。
 新型コロナにより新卒採用は控える企業が多くなるかと思いきや、より採用に積極的な企業も多いとのこと。ただし、現時点では「採用予定」にすぎないので、実際にどの程度の人材を採用したかは要注目だ。若者の減少によって新規採用に力を入れる会社は増えているが、一方で即戦力を求めるところも多く、「できる人材」にオファーが偏る、というのはありそうだ。

❽コロナ検査、岩盤を壊せ

 2月22日、宇都宮市に「新型コロナウィルス モニタリング調査」として、道行く人々にPCR検査を呼びかける動きが政府主導であった。法律に基づく個人負担なしの検査は感染者などに限られるが、「動向調査」の名目ならば健康な人にも提供できる、という理屈のようだ。
 確かに一年前、「無意味なPCR検査は混乱を生む」として批判されていたが、想定よりも長期化するコロナ禍において、「感染していない」ことを証明することには明らかに意味がある。もちろん、一因にすぎないとは思うが、オリンピックの開催に影響が出るとして、無駄に検査を控えてきた、という背景はないだろうか。確かに検査はそれ自体は利益を生まないが、検査のインフラが整えば開ける未来もあるだろう。

❾香港民主派を徹底排除 中国、選挙制度見直し 

 3月5日から開催される、中国の人民代表大会において、香港の選挙制度についての抜本的な見直しを検討。民主派をはじめとする、中国共産党に反抗する勢力を一掃する意味をこめて、「愛国者による統治」を掲げる。「愛国者」の基準は以前よりも厳しくなり、共産党に反対する勢力はすべて排除される見通しだ。
 民主派は香港市民の60%を占めると言われてきたが、そのすべてを封じ込める狙いがある。その影響は広範囲におよび、愛国者でないとみなされれば、公務員や教師の資格を剥奪することもありうるとのこと。香港メディアによると、警察が1月に国家安全法違反容疑で逮捕した民主派52人は26日、警察署に28日に出頭するよう通知を受け取った。国家安全法で起訴され、そのまま収監される可能性が指摘される。

➓日本勢、脱・石炭火力の風圧

 三菱商事は、ベトナムで計画中の「ビンタン3」という石炭火力発電所の計画から撤退する方針を固めた。また、三井物産はインドネシアでの火力発電所の権益を売却する意向を示すなど、火力発電からの撤退が相次いでいる。銀行や投資家も、同事業を「座礁資産」と位置付けて圧力を強めている。
 石炭発電所については、日本の技術力が生きる分野として、積極的に輸出に取り組んでいたけれど、ここにきて急速にブレーキが強まっている感じ。もちろん、CO2排出など課題はあるものの、排出量を減らす技術などで世界をリードしていると思っていたが、当然そんなに甘い世界ではないということだろう。見切りが早いというよりも、すでに遅すぎたとみるべきか?

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