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さすがにそれは知っています

数年前の正月のことである。

帰省した折に、
叔母のところに顔を出すことになった。

母方の叔母である。
母の妹である。

挨拶を済ますと、母は、年末は忙しくて、と、
近所にあるスーパーに買い出しに行った。

付き合おうとしたら、
叔母の相手をせよとのこと。


しばらくして。

なかなか帰ってこない。
徒歩で2~3分の距離である。

さてはなにかあったか?
様子を見に行くことにした。

すると、叔母が。

場所は分かる?
ええ、そこ出て左ですよね。

えーっと。
はい?

名前は、大丈夫?
んー、分かりませんけど‥‥。

場所はなんとなく分かる。
スーパーが乱立するような所でもない。

ほら、なんて言ったっけ‥‥。
まー、大丈夫ですって。

ああ、あれだ、○○子!

って、そりゃあ、
母の名前ですがな。

いやー、さすがに知ってますよ?

ああ、そりゃそうか!

皆で大笑いしたものの、
一抹の不安が‥‥、ねぇ。

大丈夫かな。


帰り道に聞いてみた。

もしかして、痴呆ってやつ?
いや、昔からあんな感じだぞ。

とのこと。

大丈夫かな。


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