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カレーが飛んだ

カレーが飛んだのだ。

皿に盛られた状態ではない。
そりゃそうだ。

とはいえ、
見てみたい気もしないでもない。

  ~ 🍛

こんな感じか。

‥‥。

いや、まぁ、
それほどでもないか。


レトルトカレーである。

温めて、盛ろうとして、
レトルトパウチを開けたら。

ぴっ

擬態語ならそんな感じだ。
マンガ脳ってやつだろうか。

音がしたのかしないのか。

しているとは思うが、
聞き取れるレベルかどうか。


直径で2~3ミリ。

それが5滴ほど。

皿の端に1滴。
皿を飛び越えて3滴。

4滴は拭き取った。

問題は残る「1滴ほど」である。

どんなわけか、
頭頂部あたりにその感触があった。

ああ、いまになって思えば、
皿の付近と頭だけとは考えがたい。

その間にも飛び散っている可能性がある。
そう考えるのが自然だろう。

上下、左右、前後。
三次元。

実際のところ、目視不能な、
大小様々なカレーが散らばったに違いない。

なんてこった。


改めて現場を確認する。

とりあえず見当たらなかった。
服にもその形跡は見当たらない。

偏りが凄かった、としておこう。


ともあれ、食べよう。

食べる。
おいしい。

ごちそうさま。


さて。

頭上のそれである。

鏡を見た。
見当たらない。

頭頂部付近と感じた。
角度も難しい。

よく見えない。

ティッシュを1枚。
軽く押しあててみる。

まっ白なままである。
谷間にでも入ったか。

もう少し強めに、
ゴシゴシとやってみる。

少しシワになっただけで、
ティッシュは白いままだった。


出かける予定がある。

髪はもっさりしている。
そのままという訳にはいかない。

シャワーを浴びている時間もない。

開き直る。

意を決してのブラッシング。
カレーの油分は広がった、のか。

まぁ、見た目では分からないだろう。

匂いは、カレーの香りは‥‥、
ああ、部屋がカレーのそれで満ちている。

判別不能である。

まぁ、なるようになるか。


で。

結局、何事も起きなかった。

あるいは、鼻の良い人なら、さり気なく漂う
スパイシーな香りに気づいたのかもしれないが。

いや、まぁ、
それよりも、あれか。

加齢臭のほうか。



ひどいオチだ。


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