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#044. 石問石黙

石に刻むのなら。

良い石を選ぶべきである。どんな石が良いかは知らぬが。ふむ。石のことは石屋に聞けということか。そういえば大叔母の嫁ぎ先が石屋だった。生きていれば120歳くらいか。

先祖のことである。だが父は何故か語りたがらない。少しずつ引き出し続けてようやく曽祖父の代が明らかになってきた。その先はと問えば石に聞けという。

いや、嘘。そんなもったいぶってはいない。墓石のことである。そんなわけで帰省の際に少々不純な墓参り。

む。これか。
ふむ。なるほど。

まるで読めん。

なにやら文字が刻んであるのは分かる。そこから先はきれいに掃除してなにかひと手間書けないと読めそうにない。そこまでしようとは思わない。

一説によるとどこぞの平家の血が流れているらしい。清々すがすがしいまでの胡散うさん臭さである。なにもかも失われてしまっている。ちょっと残念ではあるが、まぁ、ちょっとだけだ。

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