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220831【23歳と33歳の夏休み】

今から10年ちょっと前、大学生だった時に「神聖かまってちゃん」というバンドに出会った。なんだろ、ネット界隈で見つけたのかな。のっけからで失礼しますが、自傷行為をしながらライブをやっている映像を観て、「なんだ、こいつらは。」と思ったのだ。そして、楽器は何もできないし歌も音痴な自分なのに、「こういうのを“ロック”って言うんだよ。」とサークル内に普及させようとしたが、当時のAKB48の勢いには勝てなかった。こっちだって、神曲たちなのに。

それでも、ベタに代表曲「ロックンロールは鳴り止まないっ」をカラオケでシャウトしていた。そして、一般に認知が広がったのは、ドラマ「モテキ」で歌われるシーンがあったからでは、と勝手に推測する。

自分のサークルでは、モテキが流行っていた。流行っていたというか、毎週金曜日深夜のお楽しみで、どうせ予定も何もない大学生が、少し広いし、テレビもでかい、学生一人暮らしカーストの高いヤツの部屋に集まって、缶チューハイを飲みながら観るだけの定例イベントがあった。モテキを観た後は、朝までドンジャラをして、腹が減ったら、絶対に美味しくないんだけど、味覚機能がマヒしている大学生が汁まで飲み干す豚骨ラーメンを夜明けに食べるのだ。本当にここの豚骨は豚骨なのか疑問に思ったが、ニンニクとショウガを入れてしまえば、ある程度イケる味になるからラーメンは不思議だ。

少し話がズレてしまったが、モテない・イケてないダメダメ大学生の巣窟なる大学祭実行委員会だったから、テレビの中にでも、仲間を求めるのはよく分かる。そして、皆さまにも分かってほしい。

自分が田舎に帰省した際には、「東京でこんなバンドを仕入れたぞ。」というわけは無いが、カラオケで披露して、地元でくすぶっている戦友たちもファンになってくれた。別に自分はインフルエンサーでは無いのだが。

そうそう、「ぺんてる」って曲も好きで、これまたカラオケでシャウトしていたのは22歳、社会人になる直前の自分であった。

2011年の2月、今はなきSHIBUYA-AXにて、初めて当該バンドのライブを観たのだが、モッシュピットでぐちゃぐちゃになりながら、汗をかいてひたすら踊っていた。狂喜乱舞という言葉を使うのは、安いかもしれないが、当時の自分からしたら結構特別なエクスペリエンスだったのは間違いない。恥ずかしながら、女の子と2人で来たのに、その女の子と再会をするのは、公演が終わった2時間半後だった。

まあ、イチャイチャなことは無く、一緒に踊り狂って、ビール飲んでじゃあね、の仲である。ワタクシは一応、好青年である。間違えないでほしい。

そのライブはツーマンライブであり、もう一組出演者が居て、初めて観たのだが、改名前、また早見あかりが脱退する前の「ももいろクローバー」だった。この時期のももクロを生で観ている、って、後々モモノフになる皆に話すと、「貴重だよ、それ。」と口を揃えて言ってくる。自分の中の一番の楽しみが神聖かまってちゃんで、その前がアイドルかぁと思ったが、べらぼうに楽しかった。エビぞりするアイドルなんて知らなかったから、っていうのもあった。薄っぺらいのだが、「走れ!」という曲にもエールをもらった。

あぁあ、大学卒業して、社会人になりたくないなぁ、嫌だなぁと思ったそのライブ後の3月に東日本大震災が発生したことも、ここに書いておく。「無駄に生きるな、今を生きろ。」と誰からか、メッセージが入ってきた。

そして、社会人になっての23歳。神聖かまってちゃんの「23才の夏休み」を聴きながら、営業車で北関東を回っていた。一応、ニッチな業界ではあるが、業界トップの企業に就職した。これは半分自慢であり、酒のつまみのための話だが、入社式では、新入社員代表として、役員の前でスピーチをした。このスピーチは、ある程度台本があり、助かったのだが、新入社員研修後、配属時には、本社物流倉庫で行なわれた全体朝礼の時、いきなり社長室の室長から、「お前、なんか喋ろ。」と言われ、800人もいるスタッフの前でスピーチさせられたことがあった。

それだけ、期待されているんだなぁと思いながら、その会社を2年で辞めたことは、またどこかで書こうと思う。23歳、夏休みは、ほとんどなかった。形上の「夏季休暇」というものはあったにせよ、何をしていたっけと、頭をかしげる。当時、自分には彼女が居たのに、旅行なんてしなかったし、デートも曖昧なものだった。まあ、あんまり良くないお付き合いをしていたからかもしれない。

これは、自分のイメージを反することになるが、別に隠すことでもないし、自分は大いにネタにしている。

当時、3股をしていたのだ。「器用ですね。」と言われるが、器用じゃないのだ。誰も望んでないが、続きを書く。別に青春解体新書なるものではない。

自分には当時、東京と、新潟、そして社内に彼女が居た。順に書き出してみる。酷く簡潔に。一人目、東京の子。大学のサークルで知り合った同期の子。大学1年生で付き合いだし、別れたりくっついたりしながら、社会人になっていた。自分は就職したが、彼女は夢を追うため、ディズニーランドでバイトをしており、とあるアトラクションでキャストをしていた。そこでは、早口で超絶長いセリフを嚙まないでスラスラと話していた。そのエピソードを当時聞いてて、すげえなぁと思ったし、ちょっと自慢の彼女である。また、その件でディズニー芸人とのツーショット写真が芸人さんのブログにも載っていた。33歳の夏休み、結婚して、幸せに暮らしているのだとか。

二人目、新潟の子。就職活動時代に出会い、自分が新卒で入った会社の説明会でたまたま一緒だった子。その時に「これはひょんなご縁ですね。」と添えて、それからデートをしてみたののの、大学4年時にフラれている。ただ、社会人になってから、再度デートを重ね、付き合うことができた子。今でも思う、「付き合いたかった子と付き合えた。」というのは、この子が自分史の中で最高峰かもしれない。まあ、そんなに絶世の美女ではございませんが。33歳の夏休み、何をしているんだろう。もう、連絡取ってないや。

三人目、社内の子。新卒入社の同期で同い年。国公立大学卒業。お互いに、別に恋人が居ながらの割り切った関係で社内恋愛をした。落ち着いているようで、毒を吐くし、自分から前に出ることも好きなようで、当時流行っていた美人時計に出ていた。33歳の夏休み、まだ独身で、同じ会社で働いているとか。

誰もが得をしない彼女のラインナップを書いて、次に何を書こう、と思ったが、特に濃い思い出は無いのだ。3人中2人が同じ名前であり、対する彼女に向けての呼び名や、「あんなことがあったね。」、「ここの店、美味しかったよね。」という点で間違えることが何回かあり、怪しい、と思われていただろうなぁ。まあ、うち一人はお互いに股をかけていたから、良いんだろうけど。

3人のうち、一番接点があったのは、社内の子であった。ただ、会社内では誰にも話さず、隠したままの交際が、何かスリルがあって楽しかった、というのは、変態な私なりの楽しみだった。たまに、出張先から本社に電話をした際、彼女が出ることは何度もあったが、「おっすー」なんて言わず、「○○さんにお取次ぎお願いします。」と恋人間の会話なんてまったくしなかった。

社内恋愛の彼女との関係は、自分が新卒で入った会社を辞めたから、ゆっくりとネタバレが始まって、「え、付き合っていたの?」という反応と「あはは、そうだったのよ。」というのがオチ。3人の彼女を並べてみても、23歳の時、彼女たちと、原液のカルピス並みに濃い思い出は無かった。

この3人の彼女の前で「あるてぃめっとレイザー!」なんてシャウトできないし、なんせ、仕事に拘束される時間が長かった。それが、入社して丸2年で会社を辞める一つのきっかけでもあった。

20代の中盤から後半にかけて、毎年のように夏は音楽フェスに複数回行っていたが、23歳の時、毎月のように長い長い出張で、週末のお楽しみは無かった。SNSでアップする、戦友や友人たちの夏休みの投稿が羨ましかった。音楽フェスに河川敷でバーベキュー。ううん、アウトドアは嫌いだけど、夏のレジャー、社会人なりたての2年間は何もなかったなぁ。

23歳、その夏の最長は9泊10日の出張だったとここで記しておく。辞めた年の1月は、仕事始めはゆっくりだったが、成人の日の祝日明けから、13泊14日という、出張というか、ロングジャーニーだった。その頃、もっぱら3人の女の子たちとたまに会って、毎日のように携帯メールをして、「今度、温泉でも行こうね。」と保証が何もないデートプランを伝えていた。

いくら出張が長くても、「これだけは。」という楽しみは戦友と過ごしていて、「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」は観に行ったし、神聖かまってちゃんのライブツアーには参戦した。その際、初めて神聖かまってちゃんのライブに行くヤツがいて、ダイブしてきたボーカルのの子を触ることができて、感動していた。あぁあ、23歳、あの時に戻れるなら、どうしようかな。まあ、あの時の激務を23歳の時に経験しておいて良かったとは思っている。20代は25歳くらいからが一番楽しかった。ほんのりでも、社会人になって数年、少しは気持ちの余裕と、経済的余裕が生まれて、自分の思うようにお金を使えた、ということにしておく。

さてさて、33歳の夏休みにピンを刺す。23歳の頃に想像していた33歳とは違った。まあ、23歳の時に33歳の自分を想像していなかっただろうけど。

23歳になった時、「23歳になっちまったー」とは思わなかったが、33歳になった時、「33歳になっちまったー」とは思うね。まだ、子どもなのよ、ハートが。まあ、その時より、自分の時間があったりはするかな。新卒の会社で働いていた時より、土日は休めています。あと、もう少し、年収ほしいな。新卒時代より、200万円くらいは上がっているのだろうけど。そして、この駄文を書きながら、今度行くカラオケでは神聖かまってちゃんを歌って、少し泣きたいのだ。

33歳、人生に疲れてないけど、日々疲れやすくなった。

あと、23歳の時より、色んな言葉を知って、ルールを知って、少しだけでもビジネスを知って、理不尽な社会を知って、それなりに女を知って。あ、お酒を飲む量は格段に増えた。健康と不健康の狭間を綱渡りでどっこい生きております。

もう一回売れろ、神聖かまってちゃん。あと、昔付き合っていた彼女たち、もし会った際は、やさしくして。

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