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棚卸しすること

 とある土曜日はお昼前までベッドで横たわっている。
梅雨時故、前日は大雨だったが天気はすっかり晴れて、お天気体調不良の頭痛もすっかり落ち着いているようだが、1週間の疲れは残っている。予定を気にせずに寝転がっていられる土曜日の安心を感じて、寝る姿勢を何度も変える。今日の予定はどうしようかと考えながらごろごろしているが、途中から明日の予定はどうしようかと脳内スケジュール帳から今日を除いて考え始めている。

 今の部屋に引っ越して来てから1年半、かなり時間は経っているが部屋はまだ片付け中である。インテリアコーディネートを考えて家具や掃除道具、フラワーベースやオブジェなどを買い、実家からとりあえず持ってきた不用なものは捨てたりもした。物が溢れているわけではないが、片付いてもいない。「片付けが苦手な人は、まず物に住所を与えてあげると良い。」と、かなり断片的な記憶であるが、テレビに出てきた片付け名人のような人のアドバイスだけを記憶しているから、彼女なりに物をグループ分けし、床に紙を敷きその上に用途別に仕分けて物を置いてみる。すると「AにもBにも属する」というような曖昧な物を沢山もっていることに気づくのだが、そこからグループ分けは止まってしまうのだ。物の住所を決める段階までなかなか至らない。仕方なく、紙の上のAとBの間に少しスペースを作り、曖昧なものたちをそのスペースに置いて並べる。これを繰り返すと、床がフリーマーケットのビニールシートの上のようになってしまう。この悩ましい作業を少しずつ進めて月日が流れ、今の片付いていない部屋に至っているのでたる。

 今日ふと考えるのは、部屋にある物を棚卸ししたらどうかということだ。「AにもBにも属する」ような曖昧な物を、今一度どちらの属性が強いのか自分なりで良いのでジャッジし、しっかり管理したらどうだろうと考える。今、この部屋の中で必要な作業は、この棚卸しだ。

 いざ棚卸しをすることに決めると、手と体よりも先に頭が動いていく。頭の動きに手と体がついてこないということも起きる。アレはAで、コレはB、曖昧だったソレはAの用途のほうが多いだろうからAに移動させて、するとアッチのアレもAの仲間になるから持ってこよう、、、、。これを繰り返していく途中で、立ち上がったり屈んだりを地味に繰り返して立ちくらみを起こし、心臓がドキドキし始めて、一旦ベッドのヘリに腰を下ろして休憩する。休憩している間も部屋をキョロキョロと見渡して、アレがCでコレがD、そうするとAとDが纏まるから、Dは無くして全部Aに、、、と頭で振り分けているが、手と体がついていかない。そして気がつくと日曜日の18時頃になっているのだ。

 来週の土日は天気の良い日に港区あたりへ出かけるが、それ以外予定はない。来週の土日こそは棚卸しを終わらせよう。このようにして誰も訪ねて来ない部屋では、翌週へ棚卸しが延期される。棚卸しは大切だ。物を管理するためには必要な作業だ。その大切な棚卸しを、早く終えてしまいたいと思いながらも、深夜に手が動くわけでもなし、月曜の明け方へ突入していくのだ。

 月曜が始まると、また頭の中では今週末のやるべき事を考え始める。やるかやらないか、やれるかやれないかは、いつも彼女次第。

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