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技術書典7の被チェック数予想まとめ

技術書典7の被チェック数の予想屋をやっていましたyagitch(やぎっち)です。この記事では予想屋としての結果まとめと、考えたことなどについて書いていきます。サークル参加者向けです。

結果から見る予想精度

サークル参加者のツイートや直接聞き取った結果を総合すると、最終の被チェック数ほどには実売が至らなかったサークルが多数でした。ここでいう実売とは新刊・既刊関係なくサークルの出したすべての本(電子版含む)の頒布数を足し合わせた数です。中には「被チェック数予想の通りにして完売しました(or 適度に残りつつ全員に行き渡りました)!」という嬉しいサークルさんの声も複数聞いたのですが、全体として見ると少数派のようです。

私の被チェック数予想は技術書典6のときの弊サークルの時系列データを元にしたものですので、技術書典6と技術書典7の間にあるトレンドの変化に弱い構造になっています。そして技術書典7では2フロア化・入場チケット導入・推し祭り導入という新しい試みが来場者数と被チェック数の変化に大きく影響を及ぼしたため、トレンドが見事に変わり、予想精度もその直撃を受けました。

技術書典5→6が単純に拡大傾向であり、大手から小規模サークルに至るまで完売が続出する状況だったことから、技術書典6→7も同じように拡大するという印象を抱いた方は多かったと思います。実際私もそうでした。ですから被チェック数予想にさらに印刷部数を上乗せして強気に持ち込む(私のような)サークルも多かったのではないでしょうか。しかし結果は散々なものになり、在庫の箱を何個も抱えて泣いている(私のような)サークルは多いです。

「被チェック数と同じだけの来客が見込める」というサークル参加経験者たちの肌感覚の印象は、技術書典5〜6の頃だけに見られた一時的な状況だったのだと思われます(それ以前の事情は私は分かりません)。チェックしつつ買わない人と、チェックしなかったけど買う人がプラスマイナスで均衡して結果的にそうなっていただけで、イベント規模の単純拡大局面が終わるとそこに変化が生まれたのでしょう。この情報を被チェック数予想とともに拡散したのは私であり、責任の一端を感じます。

とは言え、予想を開始した初回にしては、実際に助けられたの声が多く私としてはおおむね満足しています。

フィードバック結果

次回も諸条件に変化がなく、予想として出せるような状況であれば被チェック数予想を引き続き出したいと思います。それに向けて今回はイベント後にみなさんの協力で、時系列データの提供を多数いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

これらの時系列データから切り出した最終被チェック数と実売の関係について、ちょっと統計を取ってみました。(ブログ記事等の公開情報から拾ったデータも含めています)

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サンプル数:60(全体の9.4%)

これは最終被チェック数と実売をそれぞれ軸にして散布図にしたものです。斜めの補助線は「最終被チェック数=実売」のラインです。この線より左側は最終被チェック数を実売が上回っているサークル(うれしいサイド)、逆に右側は最終被チェック数の方が上回っているサークル(しょんぼりサイド)です。だいたい半数ずつのサークルが各サイドに位置していますが、私が思っていたよりも分散が大きいです。なお、頒布物に完売が含まれるサークルもあることにご注意ください。(その場合はよりしょんぼりサイドに出やすいです)

最終被チェック数に対しての実売の比率を出してみましょう。60サンプルすべてを平均すると92.6%でした。中央値は84.1%でした。同数(=100%)とまでは至りませんでしたが、これだけ見るとなんとなく「最終被チェック数と同じだけの来客が見込める」に近い感じはします。ただ、体感を総合して考えれば、以前ほどに当てはまるサークルの数が多いとは言えないと思います。

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比率の分布についてグラフにしたのがこれです。80〜100%、100%〜120%が高いのは分かるのですが、40〜60%がこの区切り方では最頻になっています。これが体感で「最終被チェック数ほど実売が出なかった」という声が大きい理由だと思います。上振れしすぎている人と下振れしすぎている人がそれぞれ多すぎるのだと思います。

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各フロアごとに色を付けてみると、いろいろ騒がれている3階問題の本当のところがわかるかもしれません。最終被チェック数が400未満の中小サークルに限っては補助線の右側(しょんぼりサイド)がほとんどになっています。

比率の平均を各フロアごとに分けて出すと、
・2F 平均値:111.5% 中央値:99.3%(サンプル数:30)
・3F 平均値:73.6% 中央値:68.1%(サンプル数:30)
と、明暗が分かれていることが分かります。

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比率の分布をみても、2Fの最頻が80〜100%に対して、3Fの最頻は40%〜60%です。なので3Fで在庫が予想外に余ってしまったサークル主の人数が多く、3階問題の声を上げる人が多いという事情が分かります。

なお、この分析はあくまで私個人が独自に入手したデータを元に行っているものですので、正確性はそれなりですし、公式アンケート結果だと別の結論になる可能性もあります。この情報だけで何かを判断することは推奨しません。

初めての方に成功体験を持って欲しい

私がなぜこのような予想屋をやっているかというと、単純なデータへの興味と「初心者を執筆沼に沈めるため」です。私はかねがね技術書典のイベントと、執筆者コミュニティのオープンな雰囲気に魅力を感じており、できれば今後も開かれた状態で新しい人に入ってきて欲しいと考えています。そのため初心者の方が「こんなことやるんじゃなかった」と思わないよう、技術書典やその他のイベントへの参加ノウハウを公開するなどの様々な取り組みをしており、予想屋はその一つです。

初めて参加する方が印刷部数を決めようという時に、手がかりになる情報というと実質的に被チェック数しかないわけです。経験者なら自分の過去の経験と、トレンドや自ジャンルの立ち位置が分かっているのでそれらを考慮すれば良いですし、そちらの方がおそらく予想精度が高い。でも初めての人にそれを考えろというのは無茶です。なので予想精度が劣るにしても被チェック数から機械的に予想値を出した方が親切であると私は考えています。

被チェック数がさほど強力な情報ではないという意見はたびたび目にしますし、私もそう思います。前節の分析でも分散は大きいものでした。でもそういうことじゃないのです。初心者でも格差を感じずに参入できて、1回目の参加は成功体験を持ってもらって「またやってもいいかな」と思って欲しいのです。なので予想屋は今後も続けたいですし、それで助かる人を助けてゆきたいと思うのです。

本当はもっと情報が欲しい

実のところ、サークル参加者が印刷部数の確定に際して手がかりにできる情報が少ないのはよくないと思っています。できれば被チェック数だけではなく、サークルページのアクセス状況や時系列変化など、さまざまな情報を総合してそれぞれの判断で印刷部数が決められるようになればよいと思います。私の情報はいつかいらなくなると思いますし、運営の工夫もそのような方向に進んでいってほしいなと思います。

なお、引き続き時系列データを募集しています。

どうぞよろしくお願いします。

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