想像中・6

 初めて正二君と出会った山よりさらに奥、山頂にある公園で原付を止めた。
 周囲に滑り台とかの遊具はない。しかし、丸太が重ねて並んでたり、木材で出来たイスなどある。
 時間があれば落ち着きそうな場所だが、今はその余裕もない。

「正二君、ここで何かするの?」

「麻耶……まだ、思い出せない?」
 えっ? 何を?
 そんな考えをちらつかせてる中、正二君が椅子の奥にある大木の方に向かって歩いていく。
 大木の前で止まると、私の方に振りむく。

「僕はここで『最初』、麻耶と出会ったんだよ」

「どうして今、そんな話を?」

「あの渦はこの場所全てを飲み込む。そう、『壊す』とか『荒らす』じゃ終わらない。だから、『今の麻耶』に話しておきたくて……」
 今の私? どういう――っ! (ズキン!) 頭が……痛いっ。


『ふーん、いい場所じゃない。さすが〇〇世界ってだけあるじゃない』
『ちーがーう! 私は麻耶。ま・や。今日から貴方は――』
『ほら、こっちこっち!早く来ないと捕まるよ!』


(何? これ……こんなの知らない)

 始めて見るはずのビジョンなのに覚えてる、気がする。

「……どうやら風がいよいよここまで届きそうだね。思い出せなくて残念だよ、麻耶。でも君だけは『帰れる』よ」

「帰る? って? 待って。私はこの町で――」

「麻耶、君はここにもういるべきじゃない」

 正二君が目を瞑り、落胆したかのように右手を顔に当てながら言う。

「どうしてそんなこと言うの? 嫌いになったの?」

「こっちに来て、麻耶。あの風から逃げる為に。生きてほしい。お願いだ」

「嫌っ! 私は正二君とこれからも居たいっ!」

 私の話を聞かず、正二君の近くにある1本の木に平手を当てると、近くの地面から一人分のガラス状のカプセルみたいなのが出て、ドアが開くと同時に私の袖を掴み、カプセルの中に入れられるとドアが閉まる。

「思い出せなかったみたいだから簡単に言うけど、ここは『VR恋愛ゲームの世界』なんだよ」

「!?」
 あ…… そっか。私、思い出した。
 現実から逃げる為。そして異性の欲望が、『好き』って言葉を別の意味に溶けてしまい、絶望してVRゲームに逃げたんだ。そして、正二君は――そう、彼は……『NPCの一人』。
 人気になる事が無かったゲーム、『フレンドリィ・サークル』ってタイトルを見つけて、ゲームが目的ではなく、『理想』を求めていたんだ。
 そして現実世界の今日、ゲームの終了前に正二君を助けたくてINする予定だったのに、緊急メンテナンスのタイミングに入ってそれで――

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今日はここまで。

EDまでがもう少しのように思えて駄作になりつつある下手っぷりである。

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