想像中・5

 次の日……

 ゆっくり瞼を開き、時間を見ると九時を回っていた。

 ただ、週末で学校が休みである事を知ってる為に、二度寝を始める。

 その瞬間――

『……カタ……カタカタ……ガガガ!!』


「何っ!? またなの!?」

 昨日より大きくなった地震に私は(上布団にくるまっても危ない)と思い、パジャマのまま頭にクッションを乗せて外に出る。

(これ、どうなってるの?)

 外で見た光景は、空に小さな青黒い渦巻きがあり、地上にある建物がそこに吸い込まれている光景。遠くから見てる為に小さく見えたのかもしれない。

 その力は地面の揺れからでも察するほど。

「あんなの、あれ……天変地異?」

 周囲を見渡してみるが、人の気配すら感じない。まるで町から人間が消えたかのように。

 私はあの渦の中心から逃げる事にした。とてつもなく嫌な予感がするからだ。

 衣服を着替える時間を考えず、そのまま走り始める。もちろん早くない、そして今だけはまだ追いつきそうもない、だから後ろを見ながら走る。

 でも、渦の広がりが早く見える。そこに私が気が付くと慣れない『走る』と言う行為を今以上に必死になる。

 五分くらい走り、疲労感が足と体力に出てきた。しかし、それ以上の速さで渦が迫ってきていよいよ後ろ向きでも恐怖が伝わるほどになってきた。

「い、嫌……だれか、助けてっ!!」

 助けを乞う私が思いつく相手、それは……

「麻耶っ!!」

 正二が後ろから自転車で麻耶の横で止める。

「後ろに乗れ! 早くっ!」

 正二が言うよりも体が動き、後ろに乗ると正二の両肩にしがみつき、おもいっきり走り始めた。

 十分くらい走ったところで自転車を止めて、正二が一息入れる。その頃には渦から離れていた。だが、ゆっくりも出来る程ではない。

 私は怖くて正二の両肩をより強く持ち、そして震えてる……

「麻耶。大丈夫か?」

「――うん。ありがと」

「少し落ち着いたら、すぐ移動するよ?」

「えっ?」

 正二から『移動』って言葉に家の方を振り返る。目に入るのは、私の家らしいものが吸い込まれていくところだった。それは遠くでも――解る。

(吸い込まれる……家が)

 私はそれを眺めてると正二が叫ぶ。

「麻耶! 行くよ! 裏山道まで」

 そう言うとまた、自転車を動かす。けど――裏山道、って?

 聞くより今は、正二の両肩に捕まるまでが精一杯だった。

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今日はここまで。明日、形に出来るかどうか……

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