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映画の話『ラーゲリより愛を込めて』

難しいことは書きません。
書けません。

というか、結構かまえて劇場に行ったんですよ。
重くて難しい話なのだろう、と。
友達は「しばらく気持ちが落ちて食欲湧かなかった」
と言っていたので、観ること自体を迷っていました。

結論。
愛の話でした。

戦争の悲惨さを伝える作品は、他にもあると思います。
日本人なら、日本において、
どのように「その日」がやって来て、
「その日」の後をどうやってもがいてきたか・・・

ただ、日本以外で起きていた日本人の戦争、
「終戦」を迎えてもなお
何年にも渡って続いていた戦争のことは、
描かれても、これほど話題になる作品になることは
無かったのではないでしょうか。
そういったことでも、意味がある一本だと思います。

もちろん、この作品で「過酷さ」は描かれています。
でも、それよりも主人公山本の愛情、希望、絶望こそが
メインテーマであり、「戦争」は背景です。
メッセージとしては戦争はいけないことだというよりも、
人が生きるためには、希望を見つけ出すことが
何よりも大切であるというごく当たり前だけれど、
絶望に支配されてしまう過酷な状況下において、
どこにそれを見つけ出せばよいのか、
希望を見失った後に、人はどこまで踏ん張れるか・・・
歯を食いしばりながら、それでも笑える日を諦めない。
そういう映画だったように思えました。

戦争としての話であれば、
この映画の宣伝番組で、実際に拘留されていた方のお話の方が
もちろん、胸に迫るものはありました。

私の感想は。

ニノってジャニーズなんだよなぁ・・・と改めて、
その演技の素晴らしさを感じました。
ジャニーズだから、という言い方はおかしいのかもしれません。
所属事務所がそこなだけで。
レッスンだって、入所してからずっと受けているわけで。
でも、本業「アイドル」なのになぁ。とは、やはり思ってしまいます。
だからこそ、「アイドル」というのは、どの分野においても、
いつ声をかけられても良いように、オールマイティに
歌もダンスも演技も、およそ「芸能」というもの全般に対応できるよう
努力をしているのでしょうね。
もちろんその質と量はそれぞれでしょうし、才能もある。
「アイドルのわりに」すごい、のではないのです。決して。
普通に、俳優として、すごいと思います。

あと、中島ケンティが予想外のキャラで、
これまたよかったです。
あのまっすぐさ、明るさが、希望に繋がる。

疑問だったのは、安田さんの役。
山本が結局許すことは、まさに山本という人を表すためには大切。
それでも山本も安田さんも、そこ、そんなにもう拘りなく
やっていけるものなの?
日本に戻ってメッセンジャーをする時に、
そこ、家族にはどういう思いでいるわけ?と思ってしまいました。
もう少し、二人の葛藤があってもよかったような・・・

周りでは鼻水グジュグジュで泣いている人が結構いました。
私は、クロと最後の北川景子に泣かされそうになりましたが、
涙がこぼれる、まではいきませんでした。

奥智哉くんが長男役で出ているのですが、
透明感のある美しい少年になっています。
セリフは少ないけれど、やたらと存在感はあるのです。
ラストシーンに続くために、その存在感が必要なのでしょうね。
でも、奥くんが歳を取ったら寺尾聡に??
ってしばらく混乱しましたが。
映画の公式サイトでは、出演者が多すぎるからか、
名前を見つけることができずに残念です。
探し方が悪いのかしら。

というわけで。
いい映画、と言ってよいのか表現には悩みますが、
戦争の悲惨さを伝える、というよりも
戦争では、こういうことも起きている、ということを
改めて考えさせられる映画でした。