見出し画像

「明日」の話

明日、今日よりも好きになれる・・・

その歌い出しの最初の三文字にどれほどの思いを込めているのかと思っただけで、私も泣いてしまった。
これまでの「軌跡」への思いを、愛しい日々を、ひとつも取り残さないように、身体中のありったけの空気に乗せて絞り出すような歌。

明日—— その一語がこんなに重くて、大切に思える歌声を聞いたことがない。もう、彼の「明日」も、彼との「明日」もやってこない。

城田優が歌う「キセキ」。
つけたままになっていた歌番組。
夕方、ニュースで知った三浦春馬の訃報があまりにも悲しくて、ショックを受けていたところで、それを見た。
その事実から、あまりにも時間がなさすぎる。
近しい関係だった城田優は、きっと、歌える心理状態ではなかったことだろう。
でも、逆に、それは、「今できること」だったのかもしれないとも思った。
それは、弔いであると同時に、問いかけでもあり、感情のやり場だったのではないかと。

彼が、なぜ?
この訃報を聞いて、たくさんの人がまずそう思ったことだろう。
私も、そう思った。
あれほどの容姿、仕事のキャリアも実力もある。
丁寧に言葉を選んで話すし、人にも好かれていそうだし。

去年の夏は「TWO WEEKS」を毎週楽しみにしていて、歌番組で主題歌を歌っていた時も、歌もさることながら、ダンスの上手さと間奏で見せる一瞬の笑顔がたまらなくて、動画も探して、何度も見た。

少し古いドラマだと「ラストシンデレラ」。これも、本当に好きなドラマで、垣間に見せる色気ときれいな笑顔にすっかり虜になり、放送当時は録画したものを、毎週何度も繰り返し見て、幸せな気分をもらっていた。

ミュージカル「キンキーブーツ」も、次に上演されることがあったら、絶対に観に行きたいと思っていたのに。

9月に始まるドラマも楽しみだった。
途中まででもいいから、見たい。
でも、最後まで見たくなっちゃうんだろうな。

きっと、彼を守ってくれる人もたくさんいたと思う。
それでも、守り切れないほどの何かがあったんだね。
城田優の歌のことを知った子どもが
「こんなに思ってくれる友達もいたのに、なんで死んじゃったんだろう。話せばよかったのに。」と言っていた。
きっと、今、彼の周りの人たちも「なんで話してくれなかったんだろう」というやりきれなさと向かい合っていることだと思う。

「そうは言っても、友達と自分は別の人間だからね。友達が乗り越えられることでも、自分には無理なこともあるし、それぞれの環境もあるしね。違いを改めて感じることで、一層孤独を感じてしまうこともあるんだよ。友達だからこそ、言えないこともあるのよ。」
そう答えたけれど、ただの一般人の私ですら、私に言ってくれたら、あなたの魅力、たくさんたくさん語ったのに。「明日」は、今日とは違う日だよ、大丈夫だよと伝えたのに・・・などということすら浮かんでしまったくらいだもの。

実際にそばにいた人たちがどれほどの気持ちでいることか・・・
今は、ただ存分に、悲しませてあげて欲しいと願う。

私も、しばらく、この悲しみを引きずることだろう。
残念。本当に残念。もっともっとあの笑顔を見たかった。
エンタメが必要な理由をちゃんと教えてくれる貴重な一人だったと思う。
ありがとうね。