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ぼやき

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意味もなくぼやくよ。
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東京の雨はやまない。

七ヶ月弱、おそらく日本でも屈指の田舎の島に住んでいた。虫や鷹の声、風の冷たさやたくさんの音に包まれた生活だった。思っていた以上にあの場所に身体が馴染んでいたんだなと、帰ってきて、島のカケラのようなものを感じる。

島ではとにかく人が少なかったので、移動や行動が他人に左右されることはないし、島の雰囲気もあってゆるりと過ごす毎日だった。久々に東京に出てみると、人が多いのはもちろんだが、他人の歩くペース

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日常がグレーに変わるとき。

先日、東京に行った。
今回は1人の散歩の時間ではなく、人に会いに。
お世話になっている人たちに挨拶しに行ったんだ。
人に会いに、人が多く集まる場所に向かう。
そんなことは随分と久々で今回の東京は特に疲れた。

人に会うことで生まれる疲れっていうのは
結構不思議で「ガツン!」とはこない。
むしろ徐々に身体や感情に染み渡る様に、
数日かけていつの間にか僕の調子を狂わせる。

 身体が動かなくな

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最上の一杯を。

俺は珈琲が大変好きで、よく喫茶店に行く。
旅先でももっぱら散歩と称して喫茶店を巡っているし、行く先々で店の雰囲気を"味わう"のが好きだ。

あげようと思えば素晴らしい店々の名前をあげることもできるが、それは別の機会に譲るとして、俺が一番好きな珈琲は、どうしたって「自分が淹れた」一杯になってしまう。
こう書くとナルシシズムを感じるかもしれないが、それだけではない。

珈琲を飲むだけでなく、"味わう"

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祈り

僕の母親は毎朝、祈りを捧げる。相手は仏。

別に仏教徒というわけではないけれど、
実家に帰ってくるといつも見る日常的な光景。
それが母の祈りなんだ。

昔、どのくらい昔かは覚えていないけど、
何を祈っているのかを聞いたことがある。
「家族の安全を毎日祈ってるんだよ」と言っていた。
いや、もう仰っていたと言っても良いかもしれない。

母の人柄がこの朝の祈りに滲み出ているようで、
息子とし

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分断された技術たち

いま、クッキー工場で働いている。
毎日せっせと完成する前の、未熟なクッキー達と
向き合って、形を整えてやったり、一つ一つの材料を
確認したりと、まあ率直に言えば超がつくほどの”単純作業”だ。

ところで、大学は経営学部にいたのだけど、
授業に積極的に出なかった俺でも、まあ少なからず
経営学部生らしく、「経営管理」とかそんな言葉は知っている。
テスト勉強で必要だったから覚えた。

その中で工

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Mamas in factory.

Mamas in factory.

工場にはたくさんのお母さんたちがいる。
僕は彼女たちの振る舞いに力強さを見つけた。

あるお母さんの話。
工場の作業でお菓子の箱を洗浄することになった。
初めてのことだったので丁寧に一つ一つやっていた。
大きな洗浄機にお菓子の箱を入れていると、
「それはこうした方がラクよ。」
「洗い終わった箱を取り出すのはこうするの!」と
元気よくやり方を教えてくれる。

その彼女の手さばきといったら、早いの

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