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山古志デジタル村民について(Nishikigoi NFT 3rd Saleに寄せて)

私がたまに話題にしている新潟県、山古志地域の取り組み「デジタル村民」ですが、この度、第三次Nishikigoi NFTの募集≒第三次のデジタル村民募集が行われます。

折角の機会なので、私が理解している範囲でご紹介を。認識齟齬があるかもしれませんが、文責私で。関係者の皆様、なにか間違いや補足があればご指摘ください。

1. 山古志デジタル村民とは

端的に言うと、山古志地域の有志が発行する「Nishikigoi NFT」というデジタルアートを保有している人です。デジタルアート(のデータ)は、ウォレットとよばれるパソコンやスマホから管理できる仕掛けの中で管理・保有されます。

2. NFTとは

NFTとはNon Fungible Token=代替不可能なトークン(証明書)だそうです。例えば版画師が物理的な版画を1000部印刷して売ろうとすると、それが本当にその作者のものであることを証明するなんらかの印をつけ、なんならシリアルナンバーを付けたりしますが、それをデジタル上でやろう⇒ネットワーク上で唯一の存在であることが証明できるNon Fungible Takenをアートに紐づけて売ろうということです。ただ売るだけではなくて、その後、市場的なところで所有権の譲渡(流通)が簡単にできるということがポイントで、持っている間に市場からの評価が変わると値段が上がったり下がったり(時には価値がゼロになったり)します。技術的にはブロックチェーンが云々と難しいことになるのですが、それは一旦置いときます。

3. Nishikigoi NFTとは

上記の通り、山古志地域の有志が地域創生の目的をもって発行するデジタルアートです。デジタル村民になりたい人は、何らかの形で、このデジタルアートを購入し、保有している必要があります。山古志地域の名産である錦鯉をモチーフとしており、今回が第三作≒三回目の発行になります。過去二回の発行では、通算で2000個?(数え方が分からないw)程度の販売をしていますが、今回は、それも含めて10000個を販売しよう≒山古志デジタル村民を1万人にしようという大規模な募集になります。株式市場で言うところのIPOに近い位置付けだといえば、そちらに詳しい方はわかっていただけるかと。

4. デジタル村民の位置づけ

まず、上記した通りデジタルアートNishikigoi NFTの所有者を「デジタル村民」と呼んでいますが、これは何らかの法律的裏付けや契約行為があるわけではなく、発行する有志と所有者の間の(もう少しいうと、所有者間の)「緩い取り決め」によって定義されているということが前提です。

その前提の上で理解してほしいわけですが、Nishikigoi NFTを購入するのは「山古志デジタル住民票」あるいは「山古志地域創生を行う会社の株式」を買って保有するようなものです(ここが一時的な経済的支援である寄付やクラウドファンディング、ふるさと納税とちがうところです)。住民票保有者、あるいは株式保有者には、下で書く通りのそれなりの権利が(緩く)発生します。

5. 集まった資金はどう使われるのか

以前の募集も、今回の募集もそうですが、デジタルアートの発売によって集まった資金は基本的に山古志地域の地域創生に関する活動の為に使われます(一部はデジタルアートの作者に還元されると思いますが)。その用途・活動に関しては、中心となるチームが考えて実行するわけですが、そのプロセスの中で、デジタル村民の意見を取り入れたり、投票を行ったりと、できるだけ民主的⇒デジタル村民の意志を大切にしよう、透明性を確保しよう、という取り組みがされているように見えます。それをもって、最近デジタルとかメタバースとかの文脈でよく語られるDAO:Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)の萌芽だといわれることもあります。ここらへんは佐々木俊尚さんの著書 ”Web3とメタバースは人間を自由にするか”に詳しいのでご興味のある方はぜひ。

6. デジタル村民のメリットは何か

さて、ここでデジタル村民≒Nishikigoi NFT保有者は何が嬉しいかをリストアップしてみます。

(1) デジタル村民と名乗れる/デジタル村民と呼ばれるw 

よく考えると明確なルールがあるわけではないのですがw、勝手に名乗れるし、いきなり呼ばれたりします。意外と気分が良いものですw ついでにいえば、リアルで山古志に行くと「お帰りなさい」と言われたりしますw メイド喫茶的ではありますが、気持ちの良いものですw

(2) デジタル村民として、地域創生活動そのものに、あるいは意思決定に参加できる 

上にも書いた通り、中心となるメンバーがこのお金をどう使うかをネット上で、あるいはリアルに話し合っています。デジタル村民であれば、その議論に入ったり、自分の技量やできることを活かして貢献することが可能です。また、大きな意思決定の際には投票も行われるので、それに参加して一票を投ずることもできます。

(3) Nishikigoi NFTの価値が上がって大儲けできるかもしれないw 

一時、NFTは投機の対象になっていて、暗号資産との合わせ技もあり、国内外で、NFT成金が沢山出ました。今はその動きはすっかり収まってますが、NFT流通の仕掛けはまだまだ動いており、いわゆる二次流通も行われています。将来、例えばNishikigoi NFTが「NFTベースのDAOの仕掛けの先駆けとなった」とか評価されて、市場で大変な値段がついて大儲け、ということも無くはありません(逆に、紙くずならぬデータくずとなってまったく価値がなくなるリスクもありますが)

(4) 今後の拡大時に優遇策が受けられる 

この動きがさらに拡大して、第三弾、第四弾の募集を行うときに、過去のNishikigoi NFT保有者は優遇価格での購入ができる可能性があります。実際、今回の第三次募集でも、第一次、第二次に発行済みのNFT保有者は格安の値段で購入する権利が与えられています。

(5) 他のNFT-DAOへのパスポートとなる 

さて、この山古志Nishikigoi NFT⇒DAOによる地域創生を参考に、現在日本国内各地で似たような試みがなされようとしています。今回発行の目論見書を読んでみますと、Yamakoshi NFTは「世界各地で生まれるLocal DAOへのパスポートとしても使われるようになります」とあり、詳細はわからないものの、例えば、(4)で書いたように、他の地域のNFTが優遇価格で買えるとか、他のDAOの議論に無償で参加できる権利がもらえるとか、他の地域に行っても「お帰りなさい」と言ってもらえるとかw、いろいろな特典が用意されるのかと思います。実は、今回の募集の一番の目玉はここなのかなとこっそり思っていたりします。

7. Nishikigoi NFT、お幾らで、どうやって買えるのか 

NFTという仕掛けを作っていることもあり、Nishikigoi NFTを購入するときにはEthereum (イーサリアム)という暗号資産(ビットコインみたいなもの)を準備して購入する必要があります。暗号資産は外貨と同じで(というか外貨よりも激しく)日々価値が変動していますが、現在の取引価格は1ETH(イーサリアム)≒26万7千円ぐらい。

今回の公募価格を本日のレートで適当に換算してみると、

Nishikigoi NFT 保有者:公募価格0.01ETH≒2670円

Allow List(事前予約者):公募価格0.025ETH≒6700円

一般:0.03ETH:公募価格 0.03ETH≒8000円

筆者計算

あれ?安っ!こんなんでいいのかな?

まあ実際は取引ごとにやたら謎の手数料を払ったりするので、もう少しかかりますが、こんなもんで「デジタル村民!」と呼ばれる(下手すると一生!)なら安いもんのような気もしますなw ちなみに、Allow List(事前予約)の申し込みは今日(8/13)までなので、その気になった人はお早めに。

さて、購入です。暗号資産とかやったことある人は平気だと思いますが、経験のない人にとっては実にハードルが高い仕掛けかと思います。大まかにいうと、ETHの取引を行える業者に口座開設→そこに日本円を送金→ETHを購入(両替)→ウォレットなる謎の仕掛けをパソコンとかスマホで準備→そこから指定の代金を発行元に支払い→NFTの権利が自分のウォレットに移行(これでめでたくNFTホルダーに)ということになるわけですが、私も自分で説明できる自信がないので、興味のある方はYou Tube等で調べてみてください。いずれにせよ、すべてデジタルで完結する仕掛けではありますが。

ついでを申し上げると、まだハードルが高い世界であり、わけわからないままに権利が騙し取られたりすることもあります。実に間抜けな話ですが、私ももともと持ってたNFTをパクられており、現在、実はデジタル村民じゃなかったりします(苦笑)。

8.山古志デジタル村民の今後 

長々と書いてきましたが、なんとなくイメージは持っていただけたかと。

日本の地方での地域創生というのはこの数十年の大きな課題で、なかなか決定打がないままに過疎化が進んでいる地域も多いわけですが、ひとつの原因が経済的な規模が大きい地域の人間から見て、地方の悩みが「他人事」であるということではないかと思っています。当の私も表面上は「美しい地方の文化が守られるといいなあ(鼻ホジ)」などと思っていても、自分の払った税金がそちらに使われると思うと「ちっ」と思う質でしたし、そもそもケチなので寄付やらクラファンやらに金を出そうとも思わない人間でした。それが、今回のデジタル村民の仕掛けのおかげで、リアル山古志も何度となく訪れ、なんとなく「帰属感」みたいなものを得られて多少なりとも「自分事」として考えることができるようになったのは面白い体験だったなあと思っています。というわけで、山古志に限らず、これから出来てくる同様の取り組みも興味をもって見て、時には未知の地域に乗り込んでみる、みたいなことをやりたいと思っています。

さて、制度論的な話で考えると、今後の山古志の(および類似の)取り組みがどうなっていくかは多少不安もあります。改めて、上で整理してみると「規模が大きくなってきたときの運営形態や、キーパーソンへの報酬は考えなくていいのか」とか、「要はNPOじゃん」とか「(形態として)株式会社と何が違うのか(実際、今回から発行元が株式会社になっている)」とか「ところで税金は?」とか「行政は何やってるの?」、いろいろ疑問が出てきます。そこら辺は現在中心人物およびその周辺(いまや、行政とか、デジタル関係の政府機関も含む)で議論されていると思いますが、横でちらほら眺めていると、妙にカタカナの多い理念系に流れてみたり(いわゆる意識高い系)、DAOとかメタバースとかのデジタル妄想に流れてみたり、というのを若干危惧しております。

まあ、無責任な傍観者の一意見であり、皆さん充分に考えられていると思いますが「地域の再生を実現する、そのためにとにかく山古志のファンを増やして、有形無形の支援を貰う」が目的であることを忘れないでいただけるとよいなと思っています。また、参加する方としては、金出したから偉いとか一言申せる、ではなくて「美しい錦鯉のデジタルアートを買うと、大好きな山古志のために自分なりのご奉仕をして、楽しい体験ができる権利がついてくる!」ぐらいの意識でいるといいのかなとw。

ずいぶん長くなりましたが、この辺で。興味を持たれた方は、ぜひ、ご購入⇒山古志デジタル村民となることのご検討を!

詳細リリースはこちらから↓


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