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作文:忙しいお父さん

僕のお父さんは、いつも
『いそがしい、いそがしい』
と言っています。

僕が学校へ行く前に、
お父さんは会社に行ってしまいます。
僕が学校から帰ってきても、
お父さんはまだ帰っていません。

夜の7時頃にようやく帰ってきます。
でも、そこからパソコンとかスマホとかをやります。

お父さんはいつもイライラしながら
『もうひとり自分がいたらなぁ』
と言っています。

お母さんも、お父さんをみながら
『私ももうひとりいたら家事がらくなのに』
と言います。

僕は、
僕がもうひとりいたらどうしようかなぁ。
そう考えてみました。

ゲームもしたい。
絵も描きたい。
冒険もしたい。
宇宙に行ってみたい。
戦車に乗りたい。
王様になりたい。
科学者になりたい。

まだまだ出てきます。

気がついたら、
お父さんもお母さんも寝ていました。

お父さんのスマホが
テーブルで光っていました。
僕はないしょでさわってみました。
するとスマホの向こうから声がしました。

『やぁ、ようやくきたね。
 僕かい?
 僕は君だよ。
 そして君は僕。

 君がやりたいことのひとつは、
 僕がやっておいたよ。
 なかなか楽しかったよ。

 僕がやりたかったことを、
 君がやってくれたんだね。
 ありがとう。

 他にも沢山、君がいるんだ。
 ざっと80億人だ。

 さて、全ての体験を
 ひとつにまとめる時がきた。
 このスマホでね。
 さぁ、サードアイを開こう。』

僕は、
エロいやつを開いてしまったと思って、
あわてて電源を切りました。

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