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【台風15号の教訓】災害時のSNS向き不向き

2019年9月9日未明に関東付近を襲った台風15号ではたくさんの被害がありました。被害にあわれたみなさんにお見舞い申し上げます。

かくいう私も大きな被害のあった千葉県在住で、幸いにも自宅や車などに被害はありませんでしたが、実家や知人の家などに多くの被害がでました。私は富津っ子という地域メディアを運営していることから、普段から情報発信について注視しています。また、WEBエンジニアとして各種WEBサービスの特性についても調べていることから、実体験として災害時のSNSに利用についてまとめたいと思います。

マスメディアよりもソーシャルメディアのほうが情報が早いし確実

これは東日本大震災の時にも話されたことですが、テレビ・新聞などのマスメディアでは情報が遅いばかりか、偏りがあると感じました。この非常時に内閣改造を断行し、テレビでは台風被害をそっちのけで流していましたね。

停電や通信断絶により、現地からの情報も入りにくかったのですが、幸いにも幹線道路などは通行できたため、通信圏内に移動してきた人などから情報が入ってきました。その場合の連絡手段、拡散方法としてもSNSが最も効果的であったのは間違いありません。

拡散力の比較:Twitter>Facebook>Instagram

あえて、サービスを絞って記述しますが、災害情報の拡散力として効果があった順として、
1, Twitter
2, Facebook
3, Instagram
だったと考えています。いや、実際はInstagramはほぼ役に立っていないのでTwitter,Facebookの2強といっても良いでしょう。

東日本大震災でもTwitterによって情報を得たり、連絡の取れなかった人と連絡がついたりがありました。同じように今回の台風15号でも情報収集、情報拡散でもっとも効果を感じたのがTwitterでした。オープンなコミュニティで短文が前提となっているため必要な情報を端的に投稿、取得するという目的で大変スピーディーに情報がながれました。

次にFacebookですが、こちらは公開投稿も可能ではあるものの、基本的には友達関係やグループを介しての情報伝達となるため、拡散範囲が限定的である部分があります。ただし、Twitterと違って文字数制限なく伝えられるというメリットもあるため、普段Messengerなどを使っているコミュニティーなどでよく使われていました。

最後にInstagramですが、これは機能的な制限のためにほぼ役に立ちませんでした。TwitterにはRetweet、Facebookにはシェアがありますが、Instagramには公式に同様の機能がありません。サードパーティアプリでは普通に使われているRepostを公式が実装する噂もありましたが、いまだ実現に至りません。拡散機能が提供されない以上、有名人の被災地訪問報告くらいの用途しかなかったのではないかと思います。

余談ですがLINEについてもその有用性は間違いなくありますが、情報拡散のためのツールというより、直接の連絡手段やグループコミュニケーションのツールという認識なので外しています。
※東日本大震災の時はまだLINEが存在していなかったのは忘れがちな事実です(2011年6月サービス開始)。むしろ震災の影響でLINEが誕生したのは割と有名な話であるはず。

SNSもエンゲージメント優先タイムラインで不便に

当のSNSも良いことばかりではありません。情報過多が常態化したことにより、TwitterもFacebookも全ての投稿をユーザーに見せない事が基本となりました。たくさんのいいねやコメントなどリアクションがある投稿に価値があると認め、タイムラインの上位に表示されるロジックが組み込まれているため、全ての投稿も見られないし、そもそも時間通りにも並んでいないのです。

30分もしたら状況が変わるような非常時の情報収集としては、時系列でないタイムラインはかなりストレスフルだし、ライトユーザーには真偽の判断が難しい状況であると思います。

安易なシェアやスクショシェアで混乱は深まる

SNSに慣れている人の行動も災害には悪影響がでる場合があります。

大事そうな情報は「とりあえずシェア」すると、何か良いことをしたような気がする人が多くいると思いますが、例えば支援物資やボランティアの要請など日によって(状況によっては数時間で)需要が変化する投稿も、シェアされて上位表示されることで、さも今緊急で必要だと勘違いされてしまいます。

さらに、投稿画面をスクリーンショットして画像を再投稿する方法も一般的になっているかと思いますが、シェアと違って元投稿との関連が切れてしまうので、古くなった投稿を削除してもスクショ投稿が残ってしまったりして、不要にシェアされる状況もたくさんみました。

便利だからこそ気を遣って欲しい事

メリットもデメリットも感じた災害時のSNS利用ですが、多くの方が使い方に気をつけるだけで、情報精度を飛躍的に上げられると思います。

【投稿者に気をつけて欲しいこと】
■本人が書くか、情報元から直接確認できた内容を書きましょう
又聞きの情報がショッキングだったからと、投稿してしまうと間違っていたり古い情報だったりします。真偽確認は投稿者の義務です。
■5W1Hをはっきりと記述すること
特に日時は投稿日付に頼らず本文中に書きましょう(スクショ対策)また、依頼元や連絡窓口はハッキリ書きましょう。
■情報が古くなったら消しましょう
これはあまり運用されていないと思いますが、重要なニュースも日々更新される情報の中では、消費期限が非常に早いです。特に毎日更新される支援物資要求の投稿に古い投稿が交じるだけで確認作業が倍かかってしまう可能性もあります。記録として残したい投稿もあると思いますが、最新情報として見られる投稿の場合は終わったものは消すようにしてください。

【閲覧者・拡散者に気をつけて欲しいこと】
■その情報が最新か確認してください
災害時においては30分で状況が変わる可能性もあります。具体的なアクションを起こす前に、窓口があれば直接確認を取るなどしてください。
■スクショシェアはオススメしません
日付がわかりにくくなったり、投稿元が削除できないなどたくさんの不便な点があります。個人的にはこの方法を肯定する具体的な理由が見つかりません。やめましょう。
■デマや扇動でないか確認しましょう
シェア・拡散にも責任が伴います。投稿元の情報が正しいか、信用できる投稿者かなど確認するようにしましょう。

§

台風19号が強大な勢力のまま再び関東付近に直撃する予報がでています。まずは、台風被害を軽減するための対策をして欲しいですが、災害が起きても、より早く、たくさんの人が正確な情報に触れられるよう、ネットの使い方についても気をつけていただければ幸いです。

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