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【短文レビュー/邦画新作】『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』阪元裕吾監督・・・監督の見せたいものとファンの見たいものが完全に一致している、非常に恵まれたシリーズ

トップ画像:(C)2024「ベイビーワルキューレ ナイスデイズ」製作委員会

監督&脚本:阪元裕吾
配給:渋谷プロダクション/上映時間:137分/公開日:2024年9月27日
出演:髙石あかり、伊澤彩織、水石亜飛夢、中井友望、前田敦子、池松壮亮

監督の見せたいものとファンの見たいものが完全に一致している、非常に恵まれたシリーズの最新作。アクションに関しては洗練の向こう側まで到達しており、特に至近距離からの銃弾を避ける動きのリアリティは、過去のあらゆるアクション映画よりも説得力があった。そうか、銃で撃たれそうになったらそうすればいいのか。できないけど。

主人公2人のキャラクターは1作目で確立されており、2作目と同様に本作でも基本的には狂言回しとして存在し、ファンムービーとして過不足のない掛け合いを見せている。気になるのはゲストのほうのキャラクターで、池松壮亮の「殺しに対して過剰に意味を見出してしまっている哀しきモンスター」的な狙いはわかるが、どうにもチグハグな印象を受ける。さらに前田敦子となると、なんとか類型にまで辿り着いた時点で力尽きているようだ。どちらも役者の力によって魅力は担保されているのであるが。

他の作品でも感じるのだが、まひろとちさとが奇跡的に成功しているだけで、意外にも阪元監督によるキャラクター造形には底の浅さが見える。それと関連して、本作で言えば『名探偵コナン』などのように、実在のエンタメ作品の名前が唐突に挟まる悪癖も、何かしらを誤魔化しているかのようだ。

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