復習Tシャツ(1分で読める小説)(410字)
久しぶりにユニシロに顔を出した。
あまり知られてはいないが、ヘンテコな物を扱う雑貨屋である。
この店で以前「放課後ランプ」を購入した。
店の中をぶらついていると、店主が揉みてをしながら近づいてくる。
「お客様、このTシャツはお買い得ですよ。
なんとリバーシルになっていて
裏返しすれば、表とは違う別の絵が出てくるのです。
当店では、このTシャツを『復習Tシャツ』と名付けました。
一枚で二度美味しいですよ」
と、言われるまま、
僕はこの「復習Tシャツ」を購入してしまう。
確かに、表裏の絵が違う。
表は桃太郎、裏は鬼だ。
どちらの絵もダサい。
僕の欠点は、薦められると嫌と言えない。
買った以上は着ないと元が取れない。
ダサいと思いながらも、
僕は毎日このTシャツを着て暮らした。
1か月くらい経つ頃に、桃太郎の絵が影が薄くなり
今にも消えそうである。
それとは反対に、鬼の絵は鮮明さを増し、
色鮮やかで、生き生きしている。
なるほど、これが「復讐のTシャツか!」