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不思議な女(一分では読めない小説)➕追伸



ある日、初めて会った女から突然言いがかりをつけられた。

「貴方は、『私と初めて会う』って言ったけど
貴方は覚えてないのね!私が貴方に散々いじめれれていた事を」

「いじめていた!君を。いつ、虐めた。
今、会ったばかりなのに」
「そう、貴方は知らないのね?前世の事を!」
「前世だって?そんな事知るか! 
お前、頭が可笑しいのか?」
と、怒って言うが、女は薄笑いを浮かべ

「前世で、お前に虐めれ、
私は海に身を投げて死んだのよ。
お前は、覚えてないのね。
ところで、あんたの子供、
今 大変な病気になっているでしょう」

「何で、おまえは私の子供の事を知っているんだ!」
と、怒鳴る私を、無視するかの様にさらに女は続けた。

「可哀想に、坊や。
おまえの前世の行いの悪さで今苦しんでいるのよ。
本当なら、おまえが罪を負うべきなのにね。」
と、冷笑を浮かべた顔は、魔女にも妖怪にも見える。

「いったいお前は、何者だ!妖怪か?」

「妖怪? ふふふ😏  ある意味妖怪ね。
私は・・・。
前世で貴方にされた事を、今仕返しに来たんだから・・・」

「変なこと言うと、脅迫で訴えるぞ。
前世なんて誰も解らないんだぞ。」

「そうね、前世なんて、普通は解らないんわ。
でも、私は知っているのよ。
そして、貴方に起こる未来もね。
悪いことが起こるよ、これからは・・・」
と、にこやかに笑いを浮かべるが、目には怒りを表している。

「いったい、私に何が起こるんだ!
いい加減な事を言うな」

「信じたくなければ、信じ無ければいいわ。
貴方の息子さん、可哀想だけど、もう直ぐ死ぬわ。

今度会う時が、楽しみだわ。
貴方の落ちぶれた姿が、目に浮かぶわ。
では、さようなら」と、
女は去って行った。

「何だ!あの女は?いい加減な事を言いやがって」
私は、怒りをどこにぶつけて良いのか解らずに、
石を蹴飛ばした。

「イテ〜〜何するんだ、この野郎。
おい、お前俺に恨みでもあるのか?
石をぶつけやがって!」
見ると怖そうな、男。
私は、ボコボコにされてしまう。
あの、女の言う事が当たった。
…そんな事は偶然だ。…
と、直ぐに打ち消したが、私は気の小さい男、
悪い事を言われると、すごく気になる性格。

あの女、息子がもう直ぐ死ぬと言っていたけど、
確かに医師からは匙を投げらている。
でもまだ生きる可能性があるはずだ。
だが、俺の願いも虚しく息子は死んだ。

そして、妻から離婚を言い伝えられる。
「貴方、私を騙していたのね。不倫していたでしょ。
慰謝料、がっぽり貰うから覚悟してね」
俺は妻に慰謝料を払い、しかも家まで取られる。
何故、不倫がバレたのか?
訝しい思いだった。

不倫相手は、もう土の中なのに。
俺は完全犯罪を遂げたはずなのに。
もしかすると、以前出会ったあの女は、
ヒロミの幽霊か?
そんなバカな!
ヒロミに全然似てないし、足もついていた。
幽霊何てあるはずが無い。

私の不運はまだ続く、会社での成績不振の為
役職は下げられ、給料は大幅にカット。
みすぼらし姿になってしまう。
…あの女の言った通りだ。何て惨めな姿なんだろう。…

そしてある日、二人の男刑事が、私の元にやって来る。

ヒロミの事を根掘り葉掘り聞かれたが、
何も証拠は無い。
私は堂々と質問に答えた。
何の収穫も得られないまま、
二人の刑事は、すごすごと帰って行った。

次の日、私のアパートの前であの女に偶然会う。
不気味に笑いを浮かべているあの女。

「私の言った通りね。みすぼらしカッコだわ。
もう直ぐ貴方に最悪な事が起きるわよ。
私には見えるわ。貴方の姿が。」
と言いながら、女は歌を口ずさむ。
私に向かって口ずさむ。

🎵 探し物は何ですか?見つけにくい物ですか?
と不気味に歌う女。

…何を言っているんだこの女は!…
と、怒りを覚えるが、
もしかするとヒロミの事を言っているのか?
ヒロミを警察が探しているのか?

見つかる訳がない!
でも・・・・・。
もしかして、野犬に荒らされ掘り起こされている
かも知れない。
一度確認に行ってこよう。

その日の夜中に私はヒロミの埋めた場所に、向かう。
田舎の山道を車で飛ばす。後から続く車もない。
目的地に着くと、そこは不気味な静けさ。
一瞬、恐怖を感じるが、勇気を出して埋めた場所に向かう。
懐中電灯を照らし、ヒロミの埋めた場所を見つける
何ともない。何も変わってはいない。
野犬に掘り起こされてもいない。
俺はほっと胸を撫で下ろす。

だがその時、
自動車のヘッドライトに照らされる。
…何だ!これは?誰が居るんだ!……
見ようとしても眩しくて、何も見え無い。

「稲垣さん。この場所に何かあるのですか?
何でこんな所にいるのですか?」
と、この前に聞いた男の声だ。
あの時の刑事の声か?
俺は何も答えられない。

「黙ってないで、こちらに来てもらえませんかね」と、
横柄な言い方になる。
俺は渋々、ヘッドライトのついた自動車の前に行く。
俺の目に飛び込んできたのは、
あの刑事と、薄い笑いを浮かべるあの女。

「ここにヒロミさんが眠っているんだね」
と、確認するかの様に言う刑事。
「・・・・・」何も言えない俺。

「ヒロミ、やっと敵が討てたわ」
と、薄笑みに怒りを込めて言う女。

彼女は女刑事。
ヒロミの友達だと言う、女刑事。

俺は、聞いた、女刑事に。

「何故、俺と会った時、
あんたはあの様な不思議な事を言ったんだ」

「不思議な事?・・」訝しがる女刑事。

「あんた、言っただろう?
前世で俺に虐められたって。
覚えて無いのか?」

「あれね。あれは嘘っぱちよ、
ああ言えば少しは怯えるでしょ。
私の目的は、ヒロミの捜索よ。
ヒロミから聞いていたのよ、貴方のこと。
『遊ばれて捨てられた』ってね。
奥さんにこの事を話したのも私よ。
ふふふふ😏、案の定離婚されたのね。
お気の毒様。
息子さんの病気の事も聞いたわ。
可哀想に。
でも貴方みたいな父を持っている事の方がもっと
不憫だわ。でも、・・・・・。」

「でも、何ですか?」と、怯えて聞く俺。

「許せない、ヒロミを殺す何て!
一生恨んでやる、来世になっても!」
懐中電灯を下から灯し、怒りを現す女。

薄笑みを浮かべる表情は、正に悪魔の顔。

…来世でも俺は、呪われるのか?!
あの女に……

追伸
何故、男の来た場所について来られたかの疑問をお持ちでしょう。
それは、男の車に発信機を付けて置いたからです。
便利な世の中になりましたが、怖い世の中にもなりました。
貴方の行動がいつでも判ってしまう。

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