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三つ子の魂百までも(15)


15

事務所に入って行くと、二人の女性がいた。
二人とも美人だが、私の好みのタイプでは無い。

「代表、こちら加藤修さんです」と青年が、壇蜜に似た人に、
私の名前を告げた。

私は壇蜜よりも、同じ顔の青年の方が気になった。

「加藤さんですね。こちらにお掛けください」
と壇蜜に言われ、ソファーに腰を下ろした。
青年は、先ほど壇蜜のいた場所に居る。
 
「私は、ここの代表をしています、飯島直美と申します」
と言って名刺を差し出してきた。

私は、少し興奮している。自分と同じ顔の人間が側にいるのだ。

そういえば、大学の入学式の時に、自分と似ている人を見かけたが、
あの時は、メガネをしてなかったので、ハッキリとは分からなかった。もしかすると、あの時の人かも知れない。

「あのーご用件は何でしょうか?」

私がぼーっとしてる様に感じて直美は、
「もしかして、三浦さんのことでしょうか?」
とさらに、聞いてきた。

私は気を取り直すかのように、
「ここは、女性限定と書いてありましたが、
男の相談には乗れないのでしょうか?」
と聞いた。

「女性限定と書いてはありますが、女性に限った訳でもございません」
と、代表は訳のわからない事を言った。
(限ってないのに、限定ですか)と聞きたい気持ちを抑えて
「では、男でも相談する事はできるのですか?」

「ご用件次第では、承っております。」

私は少し間をとって、
「私の実の両親の事を調べていただきたいのです」

代表は少し怪訝な表情を浮かべながら聞いてきた。

「実の両親とは?………どの様な事でしょうか?」

「実は、私は幼い頃、今の両親の養子になったと言われたのです。
私の実の両親事を聞いても、養父母は知らないのか、答えてくれないのです。でも、‥‥」

「なるほど、それで実の両親を探したいと言う事ですね?
貴方の戸籍謄本はどちらにありますか?」

「謄本ですか?知らないのです。養父に聞いて見ないと。
取った事が無いので、分から無いです。」

「先ずは謄本を取って見て、養父母との関係性を確認しては如何でしょうか?」

「確認とは何ですか?」
と、私は代表の言っている意味が理解出来ないので、聞いた。

「養子縁組も色々ありまして、普通の養子縁組と特別な養子縁組があるのです。普通の縁組なら、養子になっても、実父母の名前が、
戸籍に記載されますが、特別養子縁組なら貴方は養父母の長男と言う様に記載され、実父母の親子としての、関係は絶たれた形になります。」

「そうですか?複雑なんですね。もし、私が特別だったら、
実の両親の名前も判らないのですね。」

と、加藤修の心に冷たい風が吹抜けて行った。

懲りずに投稿。
Kindle販売予定です。

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