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秘密(9)

9

「久しぶりだね。え〜と名前なんだっけ?」
と、親しげに言ってくるが、初めて会う人だ。

「あの〜どちら様でしょうか?」
と、不審な思いで聞いた
「そうだね。君は覚えてはいないね。私は・・・。
まあ、何だから、中に入るよ。みんな揃っているかな?」
と、言いながら、靴を脱ぎ、勝手に中に入ってくる。

……何て図々し奴だ!……と、怒りに似た感情が蠢いた。

「みんな揃っているね!嬉しいよ。元気だったかい?
君達とは一年ぶりだな。」
と、懐かしいんでいる
驚い事にみんなは、彼を知っているみたいで笑顔で迎えている。

「お久しぶりです。デスラー様。貴方様にお会いできて感激です」
と、言ったのが、あのチャラい男だ。
……あの図々し奴の名前はデスラーと言うのか?
見た目は日本人である。ニックネームか?デスラーと言う名は!……
と、僕は強い疑問に襲われた。

「みなさん。私の事を覚えていますか?」
と、デスラーは聞いてきた。

「もちろんですわ。デスラー様。私達全員、貴方様のことは覚えていますわ。」
と、稲垣ミカコが社交辞令の様に明るく言うが
私は全く記憶が無い。

「私も覚えているわ、忘れたくても忘れないわ」
と、愛想も何も無い無表情で、あの女が言った。

「私を知らない人、いますか?」
と、デスラーが僕の顔を見ながら
僕がデスラーを知らない事を、知っているのに聞いてくる。

「私は、知らないです。貴方のことを」
と、正直に答えた。

「そうでしょうね。君の記憶を消しているので、私の事を知らないでしょうね」
と、デスラーはあっさりと認めている

「他のみなさん、お元気でしたか?」

「もちろんですわ。デスラー様」
と、ミカコが笑顔で、デスラーを崇めているかの様に言う。

……これほど偉い人物か?このデスラーという男は!……

僕だけが、デスラーを知らないみたいで不安を感じた。

「君達に与えた能力が、一年が経つので開花する頃なのですが、最近の変化に気がついたかな?」
と、デスラーが言った。

「ええ、私は凄い能力を身につけました。こんな能力を持ったら
怖い物無しです。でも、この前、女風呂にテレポーテーションしたら、現行犯で逮捕されました。でも留置所からまた、テレポーテーションしたので、事無きを得ました。」
と、弾んだ声は、あのチャラい男だ。

「君は原田晃司君だったね。確か君には、テレポーテーションの
能力を与えてあったね。そうだろう、テレポーテーションは何処へでも瞬時に行ける。でもその能力を身に付けも、女風呂に・・・」
と、何故かデスラーは最後まで言わなかった。

「私は、消える女になったよ。俗に云う透明人間ね。
何で私を、透明人間にしたのよ!」
と、今度は無表情では無く、興奮して云う女は、
雪村さとみだ。
……透明人間だって!?……
私は、驚きを隠せない。
……この集まりは、超人達の会合か!……

「私は遠くまで見える様になりました。俗に云う千里眼です。
おかげで遠くの物は見えるのですが、近くが見えないので困っていたのですが、デスラー様からこの様なメガネを頂きありがとうございました。でもこの鏡は・・・・」
と、言ったのは千田太郎だ。
……今度は千里眼?近くが見えないだって。千里眼なのに老眼なのか?……
「私も迂闊だったよ。遠くが見えても近くが見え無い何て
考えもしなかった。地球人はこれだから困る」

……地球人だから、困るってデスラーは宇宙人か?!……

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