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誘惑銀杏(410字)(1分で読める小説)


街を一人歩いていると、看板に「ユニシロ」とある
…「ユニクロ」か?…と、思いつつ入店する
雑貨屋みたいだ

店員が笑顔を振り撒きながら、私の元にやってきた
「お客様は、初めての方でいらっしゃいますね」
と、馴れ馴れしい
「そう、今日初めて来ました」
「当店は初めての方に粗品をプレゼントしております」

と、缶詰を私に差し出して来る
「これは、誘惑銀杏と申しまして、お湯に溶かして飲むと
誘惑されるかの様に、その人の虜となってしまうのです。
これは凄い物ですよ。貴方の想い人にこれを飲ませると、
媚薬の如くに貴方に恋焦がれるのです」
と、嘘の様な事を言われたが、只なのでもらって帰った。

誰にこの「誘惑銀杏」を飲ませるか?
私には想い人など一人も居ない。
誰にするか迷った挙句に自分で飲んでみる事にした。
飲んでみても体には何の変化が無い。

だが、不思議な事に足がユ二シロに向いてしまう。
今日も来てしまった、このユニシロに!

ヘンテコな物を買わされてしまうのに!

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