秘密(10)
10
「私は人の心を感じる事が出来る様になりました。
私、セールスマンだったのですが、成績もパッとしなかったのですが、この能力を身につけてからは、お客様の心を見抜き、要望に応える事が出来て、セールスの成績が倍増しました。
それに、女性の心も読めるので、色々な面で嬉しい事がありました。でも・・・・」
と、言葉を飲み込んで言わない。
……石田純一さん、
気になるではないか!早く言ってよ。……
「人の気持ちを読めると、知らない事まで知ってしまうよな・・・
君には、辛い能力を与えてしまったな・・・」
と、デスラーは哀れむ様に言う
「そうなんです。私の友達に医師がいましてね。
その医師の心を読めたのですが、私は病に掛かっていて、もう直ぐ
寿命が尽きるみたいです」
と、言葉の響きが弱い。
「寿命が尽きる!?そんな事は無いだろう。きっとその医師は
ヤブ医者だな!間違いだよ。安心しなさい。ところで君は、
どこか、悪いところあるのかい?」
と、デスラー否定しながらも確認の為か、石田純一に聞いた
「そう言えば、悪いところは無いです。この前の健康診断でも大丈夫でした。」
少し声が明るくなった。
「きっと大丈夫だよ。知らんけど」
と、無責任なデスラーだ
……今度は人の心読む男か!気をつけないといけないな。
嘘をついてもバレてしまうのか?
石田純一、出来る男だ……
「君は、斉藤和義君だったね。確か君は予知能力だったね」
「そうなんです、デスラー様。私は未来が見えてしまうのです。
この能力は本当に辛いです。私、世界の、いや地球の終わりを観てしまいました。世界は終わります、地球は壊滅します。
怖いです」
その言葉は、全員に緊張を与える。
「世界が終わる!核戦争でも起こるのか?」
と、聞いたのはチャラい男だ。
斉藤は首を横に振る。「チャウ、チャウ」と、言いながら横に振る。
「だったら、地震!大きな地震が襲うの?いつよ」
と聞いてきたのは、いつもは無表情な女の雪村だが、今は興奮した表情だ。
「地震は当たってはいるが、もっとひどいことだ!私が観たのは50億年後の地球だ!」
と。優越感に浸る斉藤。
「そんな、50億年後の未来何て、この中の人達には関係無いですよ」
と、言葉をはさんだのが石田純一さんだ。
「50億年後!?50年では無くて、50億年後ですか?」
と、僕は驚き斉藤和義さんの顔を見た。
斉藤和義さんは、薄笑みを浮かべている。
「バカじゃ無いの!50億年も経ったら地球も崩壊するでしょ!」
と、強い言葉は、雪村さとみだ。
「馬鹿とは何だ!50億年後の未来が見えたのだから仕方無いじゃ無いか!」
と、怒って言った
「まあまあ、喧嘩なさらないでくださいね、
私の能力は、貴方とは違い過去が見える事です。」
と、優しい声で言ってきたのが、社交辞令の上手な稲垣ミカコだ。
……今度は過去が見える女が現れたのか?……
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