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あほやん 宝くじを拾う(3)



天井を見上げながら、僕は思った。
この宝くじが当たったがそのまま、換金しても良いのか?
もし、落とし主が宝くじの番号を控えてあり、警察に届けていたら、
僕は窃盗罪になるのか?
当たるかどうか解らない番号を控えてはおかないだろう。
と、僕は勝手に決めつけて安堵していた。

五億円!
僕はもう一生働かなくても良い。

だけど、そんな大金を手にしたら、僕は可笑しくならないかな?
今も可笑しな人間だけど、もっと可笑しくなるかも知れない。
そんな気がする。

人間は苦労もせずに、また働きもしないで得た
お金はどの様に使うのだろうか?

宝くじの高額当選者の人の中では人生を狂わし、
自己破産した人も居ると聞く。

僕の様な人間が五億円と言う大金を得たなら、
人生を狂わしても可笑しくは無い。
当たらない方が良かったのかも知れない。
だけど嬉しい。
もう派遣社員なんて懲り懲りだ。
正社員の上司は威張り、派遣と言って馬鹿にする。
時間外でも仕事を言いつける。
サービス残業は当たり前。
そんな会社から解放される!


そしてまた僕は落ちる様に眠りにつく。

あれだけ寝たのにと、不思議な思いだった。
どれくらい寝たのだろうか?

目覚めて、外を見るとまだ暗い。
今、何時だ!…と心の中で問いただす。
時計を見ると、21:54を示している。

また、よく寝たもんだ!
と、自分に感心しながら、トイレに向かった。
ふと、スマホをみると12月30日と表示されている。
…えっ、このスマホを壊れたのか?まだ新しいのに…
と、思いいつ時計の日付を確認すると12月30日を示している。
…そんな馬鹿な!…と思いテレビをつけて観ると、
今日は12月30日と言う事を知る。

…さっき見たのは現実では無いのか?夢か幻か?…
釈然としない想いで、見ていた新聞を探したが、何処にも無い。
…一体何だ!さっき見たのは夢か?
宝くじが当たっていたのは夢か!…

僕は、宝くじを急いで確認した。
宝くじは封筒に入ったままだった。
封筒も閉じられている。

…やはりあれは夢だったんだ…
と、失望のため息と、何故か少しの安堵のため息も混ざっていた。

https://note.com/yagami12345/n/ne119d24a964a

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