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日本統治時代の家屋をリノベーション、14席限定のファインダイニング「樂埔薈所Lepu Lounge」

都市更新」が進められ、素敵なアパートや建物がどんどん取り壊されるなか、日本統治時代の建物の一部はリノベーションされ、商業空間として経営されるのが近年の流れでもあり、都市の文化遺産をつないでくれています。

民間団体が発起した文化遺産保存運動を受ける形で台北市政府文化局が2022年9月にオープンした「榕錦時光生活園區 Rongjin Gorgeous Time」は、このエリアに残された20棟余りの台北刑務所の官舍や浴場をリノベーションしたものです。ぶらぶらするのにぴったりの新スポット。

日本統治時代の家屋をリノベーションしたカジュアルファインダイニング「樂埔薈所Lepu Lounge」が5月にオープン

そのすぐ近くに、1940年前に建てられ、日本統治時代には上記と同じように台北刑務所の高官の官舎として使われ、1947年以降は台北監獄の副典獄長の宿舎として使用されていた家屋が、民間企業の手でリノベーションされ、カジュアルファインダイニング「樂埔ラープー薈所ホイスゥオ Lepu Lounge」としてソフトオープンしました。

「樂埔薈所Lepu Lounge」の外観。中正紀念堂のすぐそばです
温もりを感じるインテリア。テーブルは台湾の手作り家具ブランド「Liipo studio」、照明は台南の「伏流物件」のものだそう。
レイアウトはその時によって変わるようですが、合計10〜14名程度の席数なので、少人数での食事にぴったりです。(提供:樂埔薈所)
夜の雰囲気も良さそうです!(提供:樂埔薈所)

シェフの王正岳(Josh)さん

とても丁寧に対応してくださったシェフのJoshさん。
生まれ故郷の雲林北港の料理もインスピレーションにされているそう。

台北101に入っていたミシュラン三ツ星レストラン監修によるフレンチ「STAY by Yannick Alleno」、ミシュラン常連店の「RAW」の勤務を経て、現在の飲食グループ「時藝多媒體」に入社。新竹にあるリノベダイニング「132糧倉 新竹州警務部部長官舍」、伝統的な酸っぱ鍋専門レストラン「酸民拾味」を手がけた後にこちらのシェフに就任されたそう。

全9品のディナーコースをいただきました

メニューは昼、夜それぞれコース一種類のみ。今回は全9品のディナーコースをいただきました。

カリッと焼かれた筒状のチュイルの中には、カリフラワーのピューレが添えられています。
Joshさんの生まれ故郷・雲林北港の名物「鴨肉冬粉」をオマージュ。冬粉(春雨)を揚げた中には鴨肉が入っています。
季節の魚(この日はハマチ)に素麺を合わせ、そこにムース状に仕立てたもの、凍らせたもの、サルサソースという、“玉女トマトの三重奏”が組み合わさったメニュー。(提供:樂埔薈所)
香ばしく焼かれた北海道産のホタテに、旨みたっぷりの蛤スープをかけたもの。思わず飲み干したくなります。
山芋のチップスと泡の下には、マッシュ状にされた山芋を添えた、夜市で売られているような濃厚な味付けがされたイカが隠されています。とても台湾らしい味わい!(提供:樂埔薈所)
Joshシェフお得意の酸っぱ鍋に、フレンチのブイヨンを合わせた一品。この時期ならではの「水蓮菜」で酸っぱ鍋風の豚肉を巻き、そこにニンニクの芽が添えられています。(提供:樂埔薈所)
白身魚を二種類のソースで。上に乗っている白いものはマカダミアンナッツ。オレンジ色はピリッと辛めのからすみソースで、これはソースだけ販売してほしいほど美味でした!(提供:樂埔薈所)
鮑が贅沢に乗せられた龍葵(野菜の名前)のリゾット。お米には台湾の冠軍米を使用。(提供:樂埔薈所)
台湾産の鴨ムネ肉(時期によって産地は異なる)に、「分心木(クルミの内膜で、中医薬にも用いられるほど栄養価が高い)」や龍眼を煮詰めたソース、ポップコーンのようなサクサク食感のハトムギを添えて。(提供:樂埔薈所)
マスカルポーネのスポンジケーキに、台湾らしい烏梅風味のソルベを乗せ、上からなんと台湾料理に欠かせない「五印醋」という独特の風味のあるお酢をひとかけしたデザート。(提供:樂埔薈所)

以上、台湾らしいさまざまな要素が散りばめられ、目にも舌にも楽しめるコースでした。

ワインのペアリングも丁寧に紹介してくださいました。細やかなサービスも台湾では貴重です。
片倉真理さん、陳靜宜さんなど、台湾のグルメ系ジャーナリストの皆様とご一緒させていただきました。

「樂埔薈所Lepu Lounge」基本情報

(2024年6月18日時点)

住所:台北市大安區愛國東路3號
電話番号:02-2782-0678
Facebookページ:https://www.facebook.com/lepulounge/
予約サイト:https://inline.app/booking/lepu/lepulounge

メニューは昼、夜それぞれコース一種類のみ。価格には別途サービス税10%が加算されます。

平日ランチコース(全6品)一人1,680元〜
休日ランチコース、ディナーコース(全9品)一人2,580元〜

姉妹店「楽埔町 Leputing」

徒歩3分ほどのところにある「 楽埔町ラプディンLeputing」は同じグループが経営する姉妹店。「樂埔薈所Lepu Lounge」は、「楽埔町」よりもちょっとリーズナブルに楽しめるのに、こじんまりとして雰囲気が良いので、穴場だと思います。

姉妹店「楽埔町 Leputing」

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