見出し画像

日本SF新人賞受賞作品の電子復刻

電子書籍アーカイブ、ようやく官能小説の長いトンネルを抜けた。今度はSF小説の取り組み。徳間書店では1999〜2009年に「日本SF新人賞」を実施していた。選考委員長も小松左京、筒井康隆、夢枕獏など錚々たる先生方だった。その受賞作が単行本化されており、現在では品切れ重版未定のため。自分の分担は、以下の8冊。いずれもウィルスや自爆テロなど、現代世界の抱える社会問題がテーマになっていることが多い。コロナ禍の中でカミュ「ペスト」がベストセラーに返り咲いた現象を鑑みれば、これらのSFアーカイブも、新装版に仕立て直して、適切なプロモーションをかければ、そこそこの売上を示す可能性はありそうだ。受賞後の活躍は、人それぞれ。三島浩司、八杉将司、片理誠、タタツシンイチは数十冊の刊行実績を積んでいる。北國浩二と樺山三英にも数冊の後続刊行がある。一方で受賞作だけで終わった著者も2人いる。ただ残念ながら、今のSFはかなりのマイナー分野。紙の本はほとんどが絶版になっており、KINDLEで読めるようになっているケースがほとんど。こうして見ると、現在もこれからも絶版本の救済のメソッドは電子書籍であろう。
①三島浩司「ルナOrphan’s Trouble」
②八杉将司「夢見る猫は、宇宙に眠る」
③片理誠「終末の海 Mysterious Ark」
④北國浩二「ルドルフ・カイヨワの憂鬱」
⑤照下土竜「ゴーディーサンディー」
⑥タタツシンイチ「マーダー・アイアン 絶対鋼鉄」
⑦樺山三英「ジャン=ジャックの自意識の場合」
⑧黒葉雅人「宇宙細胞」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?