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岸田るり子「味なしクッキー」🍪

岸田るり子「味なしクッキー」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
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表題作を含む6つの短編集。どの作品もブラックにしてビターな大人の童話。男の浅はかさと、女の情念。そのかけ違いから起こる人生の破綻。間違いだからこそ伝わってくる当事者たちの真情。ため息を吐きつつ、人生の深淵を覗く。自らの愚かさを省みながら。
1️⃣パリの壁
パリで向かい合った男と女。親権を巡る争いの過程で明らかになったお互いの弱み。そして利害の一致と相反がお互いの立場を決める。
2️⃣決して忘れられない夜
京都のカリスマ美容師が捨てた女と最後の夜。郷里に帰ると言う彼女の押しかけ晩餐。料理学校に通って覚えたと言う料理は、男の冷たい仕打ちへの見返りであった。
3️⃣愚かな決断
犯行直後にかかってきた電話。それに出たことが計画の狂い始めだった。人にはどうしてもやめられない性癖がある。たとえそれが破滅への道であっても。
4️⃣父親は誰?
妊娠中の七菜代はウトウトした際に、高校時代に妊娠中に自殺した同級生・高田龍子が夢に現れる。その父親が誰かを巡って、15年後に謎が再燃する。
5️⃣生命の電話
自殺相談で頻繁にかかる間違え電話。さも本物のように受ける社長の前川の悪趣味。ある日の電話と極似した事件が勃発。事務員のサツキは事件に妙な疑念を感じる。
6️⃣味なしクッキー
浮気妻を絞殺した夫。しかし間男は三年前に死んでいる。しかも妻は若年性認知症。動機に納得できない刑事は夫の話を信じようとはしない。

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