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玉鷲の奇手「合掌ひねり」

大相撲九州場所9日目に珍しい決まり手が採用された。玉鷲が宇良を「合掌ひねり」で倒した。「合掌ひねり」は相手の背中で両手を合掌に組み合わせ捻り倒す技。ちなみによく似た技に「とっくり投げ」があり、安美錦が2018年秋場所で2回決めている。こちらは相手の首を両手で挟み付け、左右に捻り倒す技である。どちらかと言えば自分には「とっくり投げ」に見えた。当初のNHKアナウンスでは「突き落とし」と言っていた。決まり手が発表されてから、北の富士が「あれが『合掌ひねり』と言えるのか?、片手だけしかかかっていなかったように見えた」と疑問を呈していた。逆に言えば北の富士が『合掌ひねり』を知っていたことに驚き。さすがは元横綱にして元審判部長。玉鷲自身は「危険な技なのでもうやらない」との弁。

 これまで珍しい決まり手と言えば、宇良が2020年九州場所5日目で旭秀鵬(引退)相手に「居反り」を決めたりしていた。今回は玉鷲がそのお株を奪う57年ぶりの奇手である。前回は1965年の九州場所9日目に大心が前田川に決めている。舞の海が「技のデパート」とも言われたが、どちらかと言えば「八艘跳び」のような戦術面。名場面と言われる取組の決まり手は「切り返し」が多かった。現役力士では宇良と豊昇龍が奇手の担い手だろう。九州場所5日目に切り返してきた翆富士に対して、右脚を相手の左脚をからめて河津掛けに討ち取った。河津掛けは10年ぶりの決まり手だったそうだ。力士の重量化で寄り切り、押し出し、叩き込み、突き落としと一瞬で決まる技が多くなりがち。しかし軽量力士たちの活躍で、業師たちの奇手連発にも期待したい。


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