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斎藤栄「白秋殺人行 魔性の女」

 小説家となった柏木太陽が、江戸川探偵長に、面白そうなネタを拾いに行く。江戸川は、今は亡き井筒オーナーについて語り始める。画家である井筒元警視の息子夫妻が合同作品展の最中、妻の玉美の死体が発見された。やがて夫である春緒も不審な死を遂げる。その陰には、井筒夫人かえでの妹である、貝塚山あざみがいた。姉妹の背負った不幸が、幸せになったはずの未来に影を差す。

 江戸川探偵長シリーズの影の主役である井筒オーナー。その井筒家に次々と襲いかかる災難の嵐。明らかにされる忌まわしい過去。影の主役がこんな目に遭っていいのか?という驚き。連続して起こる悲劇的な事件は、いずれも北原白秋ゆかりの地で起きる。この作品は、斎藤栄作品の中でも、最も難解である。読み終わっても、何かしっくりこない。著者が読者に本当の真相を謎かけしたまま終えているような気がする。
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