見出し画像

豊昇龍㊗️大関昇進🎉

 豊昇龍の大関に昇進した。昇進伝達式の口上は「大関の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で努力致します」。「気魄一閃」がいかにも豊昇龍らしい。技の切れ味が素晴らしい。中でも2021年秋場所9日目の若隆景戦での一本背負いは息を飲むほどの鮮やかさだった。このような投げ技ばかりやっているとケガをするので、今後は自重して欲しいが、はず押しで攻めたり、速攻で寄り切ったりする正統派相撲の実力も身につけてきた。しかもまだ24歳と若いので、身体がより大きくなれば、更に破壊力が増してゆくことだろう。



 豊昇龍と言えば、常に叔父さんの存在がクローズアップされる。第68代横綱・朝青龍である。私が思うに、最も魅力的だった横綱は朝青龍だった(ファンとしては第51代横綱・玉の海だったが)。朝青龍の技の切れ味は、豊昇龍が未だ及びつかないレベルである。能町みね子氏が「記憶に残る一番」と挙げていた、2004年名古屋場所の中日の先代・琴ノ若戦。軍配は琴ノ若に上がったが、物言いの結果、取り直しに。その取り直しの一番で、朝青龍は取り直し前の一番における自らの勝利を裏付けるために、全く同じ形で完勝した。取組後のインタビューで、この動作が意図的であったことが明らかになった。非常に際どい取組を再現させて、かつ勝敗の白黒をハッキリさせた技のレベルの高さ。呆気に取られる実力であった。その他、非常に良い話題も悪い話題も多かった。度重なる暴言や暴力事件。最後は遂に暴力事件で引退せざるを得なかった。一方で類まれなるユーモアもあった。大阪場所で関西弁で優勝インタビューしたり、ファンタ飲料のCMで『本当はいいやつ、ファン太郎』。このCMは朝青龍の悪たれぶりを逆手に取ったジョークだった。引退時の実力から言って、白鵬が台頭して世代交代が進んでいたが、もう2〜3回は優勝できたのではないか。だからこそ口惜しかっただろう。それだけに朝青龍にとって、甥の優勝と大関昇進は感無量だったはずだ。



 豊昇龍は朝青龍のように暴力事件で引退されては困るが、優勝インタビューでは、その人間的魅力を十二分に発揮した。叔父さんの実力と愛嬌だけを受け継いで、次の高みである横綱を目指して欲しい。おめでとう、豊昇龍。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?