岩井俊二「ラストレター」
岩井俊二監督「ラストレター」。姉の未咲(広瀬すず)が亡くなったことを同窓会に報告に行った裕里(松たか子)は、人気者だった姉と勘違いされたまま、自分が妹であることを言い出せなくなる。居たたまれなくなって、早く会場を後にした彼女を、追いかけてきた同級生の乙坂鏡史郎(大人は福山雅治、高校時代は神木隆之介)。彼は未咲(高校時代も広瀬すず)をずっと思慕していた。二人はLINEだけ交換して別れる。その一方で、実は高校時代に乙坂を慕っていた裕里。祐里は未咲のままで、住所を明らかにせず手紙を送り続ける、一方的な文通を始める。思い余って未咲の実家に手紙を出した乙坂。未咲の実家に住む未咲の娘・鮎美(広瀬すず)と、夏休みで泊まりに来ていた裕里の娘・颯香(森七菜)は、これまた身代わりで返事を書き続ける。
岩井俊二監督は、最も好きな映画監督(特に「スワロウテイル」は最高)。テーマは「恋心」。身代わり文通で通い合う、過去の記憶と、その後の未来。逝ってしまった者も、遺された者たちも、思う心で繋がっている。前半は、お茶目な松たか子にクククッと笑いたくなるユーモラスな展開。そして後半は滂沱の涙。少年少女だから存在できる、あいも変わらぬ透明感の映像。どの出演者もピッタリはまっている。中でもキッパリとした広瀬すずの存在感が際立つ。森七菜も青春の不安定さと無邪気さに揺れる演技。主役たちだけでなく、脇役たちも豪華キャスト。庵野秀明、小室等、中山美穂、水越けい子、鈴木慶一、木内みどり。それぞれに、いい味出している。それにしても、都心でほとんど上映されなかったのは何故なのか?
https://last-letter-movie.jp
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