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キングダム59 趙の命運

原泰久「キングダム」第59巻。趙の要地である鄴を落とした秦軍。しかし兵糧が尽きた上に、撤退した趙軍に全て糧食を焼き払われて、飢餓に苦しむこととなる。窮状を聞きつけて、鄴に兵糧を送ろうとする秦本国だが、趙の李牧はロジスティックを水陸から断つ。しかし王翦は李牧の動きを事前に察知して、第三の手を打ってあった。いかに相手の裏の裏の裏をかくか。王翦は李牧の一歩上を行った。そのおかげで無事に鄴を手中におさめた秦軍は、更に橑陽と列尾のトライアングル地帯を占拠して、移民などで新しい領土の秦国化を進める。
 戦い終わって、趙の守護神であった龐煖を倒した信は、王墳や蒙恬と共に将軍に任命される。五千人将から、部隊は15千人と3倍になる。更に趙の首都である邯鄲を攻めようとする際に、趙国内で内紛が勃発。戦いに敗れた李牧に、趙王と佞臣・郭開は死罪を宣告する。李牧だけが趙の知恵であることを知る部下たちは、何とか李牧を救おうと試みる。英明な王子・嘉は王を毒殺して排して、功臣である李牧を救う。しかし郭開は先王の遺言を盾に、末子の遷に王位を継承すると逆襲。宮廷を追われた王子嘉と李牧。愚かな王族故に趙の命運は消えゆく灯火のように儚い状況に陥る。
 信の夢である「天下の大将軍」が「将軍」という具体的な形になってくる。思い続けて、自分を信じていなければ、夢は実現しない。姓を持っていなかった信は姓を李とし、李信となる。そして信は英明な君主・嬴政を持った。それに対して、李牧は愚かな主君を持った。栄達は自分自身の力だけではなし得ない。本人の努力や資質はもちろんだが、引き立てる者がいてこそ浮かばれる。
http://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-891659-0

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