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安達瑤「私人逮捕!」

安達瑤「私人逮捕!」。刑事訴訟法第213条。現行犯人は、何人でも、逮捕状なくそて、これを逮捕することができる。整体院を経営する榊鋼太郎。街の正義に反することを見つけると、ついつい注意せずにはおられない50歳のおじさん。信号無視、イヤホンの音漏れ、痴漢に無銭飲食。注意するだけで飽きたらず、柔道と合気道で腕に覚えがあることも手伝って、数々の刑事訴訟法第213条の私人逮捕に乗り出す。電車で集団痴漢に遭っていた女子高校生たちを助けたことがきっかけで、彼女たちから次々とトラブル案件が持ち込まれる。学校内の教員虐め、秘密のSNSサイトの美少女盗撮、飲食店への意図的な集団キャンセル、女児監禁。
 なかなか動かない警察、地縁関係で手が出せない腐敗、他人には口を出し辛い親子関係。そういう障害をももともせずに、女子高校生たちから「おっさん」から「師匠」に昇格した鋼太郎に、彼を慕う家族友人知人たちが続々と集まって、智恵と力を貸し始める。困っている第三者に冷淡な社会に対して、熱い心で奮戦する「おっさんずラブ」。主人公の鋼太郎は名前から、俳優の吉田鋼太郎を思い浮かべてしまう。そのユーモラスな痛快さに、読んで笑顔、笑って爽快。著者の安達瑶は、元映画助監督の安達O(男性)と活字中毒の安達B(女性)の合作作家という変わり種。
http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198945411

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