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天野修司『地政学だけではわからない「シン・国際関係論」』(イーストプレス)

9月22 テレビ体操、通算4,152日目。天野修司『地政学だけではわからない「シン・国際関係論」』(イーストプレス)を読了。電子書籍版はこちら↓

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 著書のお薦めで手に取った本。おそらく実質的な著書デビュー。実は東京都立大学の友好校である大阪府立大学(現在の大阪公立大学)の方で、東京都立大学同窓会の勉強会「八雲サロン」でも2月に講演して頂いている。まだ40歳くらいだが、実に破天荒な人生を送ってきた。大学在学中にプロボクサーとしてデビューして、引退後にコンテナの荷下ろしなどのバイトをしながら渡米。ジョージア工科大学で国際関係科学を学んだ後、日本に帰って長崎大学と慶大の教職を経て、日本医療科学大学の准教授となった。弁舌爽やかにして『世の中には、こんなすごい人がいるんだ❗️」と唸らせる人材だった。

 本書は3つの章で成り立っている。歴史事例が数多く引用されており、数字の裏付けもある。何より語り口もフランクで、とてもわかりやすい。これなら、300人以上の学生が受講する人気講座であることも頷ける。

 ただである、一つだけ『大丈夫か?』と思った箇所がある。それは『核抑止理論』によって「日本がアメリカの核の傘の下に守られている」という下り。もはや「世界の警察」役を下りたアメリカ。中国やインドに今世紀中盤には抜かれるアメリカ。ロシアや中国に侵攻された日本を果たして守ってくれるのか?それは、その時が来てみないとわからない。

1️⃣国際社会の中で、繰り返し起きる現象とは何か?

・ギリシャのアテネvs.スパルタの都市間戦争に発端した世界史における、勢力均衡の平和と、それが崩れた時に起こる戦争というサイクルの繰り返し。

2️⃣世界の動きが手に取るように分かる!5つの理論

◆5つの理論とは以下の通り

①バランス・オブ・パワー理論〜1️⃣と同じ

②核抑止の理論

・核兵器があるから全面戦争が防がれている

③デモクラティック・ピース論

・民主主義・自由主義の国どうしは戦争に至らない、そのような国では国民は戦争を望まない。反対に専制国家では君主がゲームのように戦争を始める。

④相互依存論

・輸出入の相互依存が高まると、お互いを攻撃できない。戦争は自国の経済発展のマイナスとなる。

⑤国際レジーム論

・植民地時代から現代へ至って国際社会の認識が変化した。他国への侵攻は否定され、一国独立の国際認識がある

3️⃣5つの理論を使って、世界の「今」と「未来」を分析する

・分析ケースは、以下5つの事例

①中国〜日本、台湾への脅威

②北朝鮮〜韓国との格差拡大、ソ連崩壊と中国との距離

③日韓関係〜米国と中国の板挟み、南北統一への挫折

④アフガニスタン〜9.11事件移行のアメリカが取った「世界の警察」路線

⑤ロシア〜ジョージアとウクライナ侵攻への経緯


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