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お客様の想いを表現するための最適な言葉とは?伝わる、響く、コンテンツづくり

どんなにすばらしい理念や想いがあっても、最適な言葉を選び、読み手が理解しやすい文章で表現しなければ、正しく伝わりません。宿木屋は、届けたい相手の「理解」に焦点にあて、より良い表現をお客様とともに考えていく会社です。

ときには、ヒアリングを通して、お客様が自覚していなかった強みや魅力を再発見することもあります。理解への歩みを言葉で支えるために大切なのは、本質を理解すること。宿木屋の代表・宿木雪樹のコンテンツづくりにかける想いをインタビュー形式でお届けします。

宿木雪樹(やどりぎ・ゆき)
1989年、北海道生まれ。大学では文化研究を学び、卒業後は広告関連の企画制作会社と、人材教育関連の会社それぞれでプランニングやプロジェクトマネジメント業務を経験。2017年、Webライターとして独立。2020年、株式会社宿木屋設立。採用系コンテンツの取材・執筆を得意とし、スタートアップの情報発信支援などに従事するかたわら、個人の活動として小説やエッセイを執筆。コンテンツプラットフォーム「note」で開催されるコンペで、特別賞、企業賞などの受賞歴あり。

「数字」だけでなく「人」にもっと向き合いたくて独立を決意

――独立して6年になるとのことですが、独立するまでのキャリアを教えてください。

新卒で広告関連の企画・制作をする会社に入り、クライアントの要望に応じたプロモーション企画の立案・具体化に携わっていました。主に担当していたのは、お客様の要望やお悩みを聞き、ゴールまでの道筋を企画書にまとめる業務です。その会社では「社会でお金がどんなふうに回っているのか」といったビジネスのイロハを学ぶことができました。

まだ形のないものを企画書に落とし込み、文章で輪郭を与えていく過程にはやりがいを感じました。しかし、全体像が見えるようになればなるほど、実際にかかるコストの何倍もの金額の見積もりをお客様に出すことに違和感を覚えるようになりました。それがビジネスだといわれればそれまでなのですが、私は売り上げの数字を追い求めることに面白さを感じられなかったのです。

次第に違和感から生じるストレスがふくらみ、専門学校を運営する会社に転職しました。そこでは学生の入学から卒業までのサポート、授業のカリキュラム作成、講師のアサインなどに携わりました。

人に向き合う仕事は私に合っていて、学生にも慕ってもらったのですが、能力を評価されて売り上げや予算の管理に関わる部署への異動を命じられました。キャリアパスとして見れば昇進ではあったものの、再び売り上げを伸ばすことに向き合わなくてはならず、給与が上がるのに反比例して自分のモチベーションはどんどん下がっていきました。その頃の正直な本音を言えば、学生のそばにいて、もっと話を聞きたかったんです。

組織で求められた仕事を嫌がってしまう。ビジネスのスケールにも昇進にも興味がわかない。「自分はとことん組織で働くことに向いていない」と感じたのが、独立のきっかけです。

――一社目も二社目も出版社や編集プロダクションではなかったのに、独立を考えたときにライターや編集の仕事を選んだのはどうしてですか?

組織に向いていないという理由で独立したので、一人でできる仕事であれば職種にはあまりこだわりがありませんでした。ただ何かスキルがなければ何もできないので、改めて何が自分の強みなのかを振り返りました。そして、一社目でお客様のお悩みをヒアリングして必要なアプローチを企画書にまとめていたこと、二社目の専門学校でも学生との面談内容を社内共有のために文章で記録していたことが、私にとっては価値を発揮できた役割だったと改めて感じたのです。

つまり、出版社や編集プロダクションにいなくても、人に取材して書くのと近しい仕事をしていたわけです。さまざまな業務の中でも、私は誰かに話を聞いてインプットしたものを、自分のフィルターを通して文章でアウトプットする仕事がとても好きでした。

全体を俯瞰してボトルネックを探り当てたり、本人も自覚していない想いをすくいあげたり、人の共感を得る言葉の連なりを肌感覚で選んだり……。どうやらそれが私の強みらしいと気づき、そうした能力を活かせればと考えてライターという仕事を選びました。

適正価格でお客様にきちんと価値を提供したい

――フリーランスとしてスモールスタートし、その3年後に「宿木屋」として法人化したのですよね。その経緯を教えてください。

独立したというと聞こえがよいですが、なんのコネもなかったので、最初はクラウドソーシングサイトを介してライティングの仕事を受注していました。しかし、クラウドソーシングで依頼される仕事はあまりにも低単価で、貯金を切り崩してなんとか生活ができるありさま。経済的に頼れるつてもなく、ほかに仕事の流入経路を作らなくては先がないと考え、知人に教えてもらった「Wantedly」に登録しました。

そこで、運よくあるスタートアップからスカウトをいただき、面接を受けることに。何とかこのチャンスをものにしなくてはと考え、一社目の経験を活かして「御社の今の課題はこういう部分ですよね。そこを解決するためには、こういうコンテンツの発信が必要だと思います」と、経営者視点に立った提案をしました。

それを社長がおもしろいと思ってくださったようで、「あなたは一ライターではなくもっとビジネスの上流から関わったほうがいい」と、フリーの業務委託という立場である私に「チーフエディター」と肩書きの入ったその会社の名刺を作ってくれたんです。その肩書きが、私を「文章を提供する会社の右腕」にしてくれたと思います。

プロダクトのユーザーインタビューや社員インタビューをすべて任せていただき、取材・執筆した記事は社内だけでなく社外でも好評でした。任せてくださった会社のメンバーが「あの記事はとてもよかった、誰が書いてるの?」と周囲から聞かれることもあったそうで、そのたびに私を紹介してくれたことで口コミでの依頼が増えていきました。

ただ、コーポレートガバナンスがきちんとしている企業からは、フリーランスという理由だけで断られることが何度かあったんです。スキル以外の条件も仕事に関わるのだと痛感しました。「会社にすれば仕事の選択肢が増えるし、上流から一気通貫で仕事を請け負える。それなら法人化してもよいかもしれない」と考えて、2020年に法人化しました。

――組織で働くのに向いていないと思っていた宿木さんが会社をつくったと聞くと不思議に感じるのですが、どういう心境の変化があったのでしょうか?

たしかに、最初は組織に向いてないというネガティブな気持ちで始めたフリーランスでしたが、案件を通じて文章を提供していくプロセスを重ねて、ビジネスに対する自信を取り戻すことができたんです。

適正価格で仕事を請けて、「すごくよい記事を書いてくれてありがとう」「オウンドメディアにコンテンツを増やしたらユーザーからのフィードバックが増えました」といったお客様からのお言葉を聞いているうちに、「ちゃんとお金を稼いでいいんだ」と思うようになりました。会社に所属せず一人で仕事をして初めて、自分の提供価値を自覚できるようになったのでしょう。

私は会社員時代から、割り当てられたタスクだけでなく、「この仕事の背景にはどんなニーズがあって、誰が何に対してお金を出しているのか」「自分の給与はどこから生まれるのか」を考えずにいられませんでした。物事の全貌を見たい・知りたいという欲が強いのかもしれません。

常にお金と自分の仕事との関係性を意識していたので、オプションをどんどん載せて儲けることに対する抵抗感は強かったものの、余分な業務を削ぎ落してお客様が真に必要とする価値を提供し、役に立てることは非常に嬉しかったんです。

価格に見合うものをきちんと提供できれば、一度発注してくれたお客様がリピーターになってくれたり、ほかのお客様を紹介してくれたりして、会社は成長していけます。そのサイクルを作れるようになった今、ビジネスに対してかつてのようなストレスはありません。

誰かが作った組織やビジネスにはなかなか迎合できなかった私ですが、自分が譲れなかったことを基盤として仕組みやビジネスを作れば、お客様、私、そして一緒に仕事をしてくれる人たちの三方良しの関係をつくれると思いました。

埋もれている想いを取り出してコンテンツにする

――あらためて、宿木屋はどんな会社なのか、どこが強みなのかを教えてください。

宿木屋の主な業務内容は「言葉」に関わるコンテンツの執筆・編集です。ただ記事を書くのではなく、依頼主はどんなことに困っているのか、本質的な課題は何かというところから逆算し、最も伝えたい方に伝わる言葉を見極めて、コンテンツをつくることを強みとしています。

手がけるジャンルは企業のコンテンツ全般で、とくに、経営者さんや社員さんに取材をし、その人ならではの言葉を変換して採用向けのコンテンツをつくることが得意です。

執筆・編集というとSEOライティングや作家性の強いエッセイなどの仕事も含まれますが、宿木屋ではこれらを業務範囲としていません。あくまでも、お客様の想いを文章にしていくのが宿木屋の役割です。

私は取材するとき、お客様が一通り話した後で「それってつまりこういうことですよね?」と確認します。すると、「そうそう、そういうことが言いたかったんです!」「あなたが取材してくれたおかげで自分が何を考えているのか気づけました」と喜んでいただけることも多く、そんな気づきのきっかけになれることを嬉しく感じます。

――お客様に取材するときはどんなことを意識していますか?
取材や執筆は、一本の丸太から木像を彫り出していく作業に似ていると思っています。無からつくりあげるわけではなく、すでにそこにあるもの(=お客様の理念や願望)が誰の目にも見えるように、周囲を削って取り出すわけですから。

とはいえ、自社の課題を正確に理解しているお客様ばかりではありません。むしろ、内側にいることで近視眼的になってしまっているケースもあります。Aという問題があるといって相談に来てくださったお客様が、話をしているうちに本当の問題はAではなく根っこにあるBだったと気づかれるケースも珍しくないのです。こういったお客様自身も気づいていないことを、言葉を介して無駄を削り取り、最適な形に彫り出していくことを意識しています。

丸太にしか見えないものの中に埋まっているものを彫り出すのは簡単ではありませんが、私にとってはおもしろくてやりがいのある作業です。ずっと私の中で燃えている「そこにあるものの全体像を見たい・知りたい」という気持ちが原動力になっているのかもしれません。

外の目線で、独自の魅力を最適な言葉にする

――最後に、「こういう人・会社であれば、宿木屋がお役に立てます!」というメッセージがあればぜひお聞かせください。

自分や会社の魅力を3つ、すぐに答えられないなら、宿木屋がきっとお役に立てます。どんな会社にも、その会社にしかない魅力や、そこで働いてる人たちが持っている魅力が絶対にあります。

あまたの会社に取材させていただいて、働く人たちが自社の素晴らしさを自覚していなかったり、取り組んでいることに自信を持てないでいたりするケースが多いと感じました。とても素敵なエピソードを話してくださっているのに、「こんなの、つまらないでしょうけれど」と付け足す方もいます。

自分(自社)の魅力を認識できていないから、採用向けのコンテンツにもせっかくの魅力を盛り込めないのでしょう。それは非常にもったいないので、「ぜひ外の目線をうまく使ってください」と伝えたいです。

私は正社員というマジョリティーのキャリアからは外れてしまった、いわばアウトサイダーですが、そのぶん内側の人からは見えにくい価値に気づけます。生まれ育った村から一歩も出たことがない人より、外から来た人のほうがその土地ならではの魅力に気づけるのと同じです。

宿木屋は、どんな会社でも魅力的なところを見つけようと努めますし、それを最適な言葉でしかるべき方々に伝わるコンテンツにできます。それを読んで共感した人が転職すると、入社後のミスマッチも起こりにくいのです。

私たちが提供するインタビューを中心とした採用向けコンテンツは、短期的な視点で売り上げをはじめとした数字につながるものではありません。しかし、自分の会社に本当に合う人に来てほしいと願い、組織を強く大きくしていくための投資をしたいと考えているのであれば、ストックコンテンツはじわじわと効力を発揮する武器となるはずです。

抽象度の高い状態のご相談も歓迎しますので、何かしら「言葉」を通じて伝えたい方は、お気軽にご相談ください。

https://yadorigiya.co.jp

(取材・執筆=ayan、イラスト=たいが

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