生まれてきてくれてありがとう
18歳の誕生日のとき、独り暮らしを始めたばかりの松戸の六畳ワンルームで、当時交際したてだった彼氏から言われたひとことだ。
閉めたカーテンの隙間から春の陽ざしがぴんと筋を通し、真新しくて安っぽい白の壁と天井に一筋の直角を描いていた。埃がきらきらと輝いている。
その光景を、わたしは胸、腹あたりに密着する他人の体温と呼吸を熱く感じながら、不思議そうに眺めていた。
「生まれてきてくれてありがとう」
18年間、日数にして6,570日間。わたしは自分が生まれたことに感謝をされたこ