仕事が楽しい、という人の爪の垢を煎じて飲みたい

わたしはとにかく仕事が嫌いだ。

まず人と話すことがこわい。会話が下手すぎる。誰に気を遣って、誰を立てながら、誰に媚びを売ればいいのかがまるで分からない。
加えて頭が悪い。最適な答えを出すまでにとんでもない遠回りをしてしまう。最適な答えに到達できることのほうが少ないのだけど。

入社当初、愛想だけで乗り越えられる自信があった。小さい頃から愛想だけはよかったし、それなりに可愛がられて育ってきたと思う。末っ子だし。
でもそんなものは必要なかった。必要なのは要領の良さと強い運。これらのどちらも、わたしにはないのだ。

そして最近気づいた。どうやら、仕事が楽しいと感じる人種がこの世には存在するらしい。
要領の良さと、強い運。加えてずば抜けたコミュニケーション能力。可愛がられる会話術。全てを持ち合わせて、着実に自分を数字を伸ばす人。

毎週金曜の夜を待ち焦がれ、日曜の夜は落ち込みながら眠りにつく。
3連休は死ぬほど嬉しい、嬉しいのに、終わる日のことを考えて既に憂鬱だ。
なんてことを考える自分とは正反対に生息する幻の生き物が、実はとんでもなく近くにいた。

そんな人の爪の垢を煎じて飲ませてもらいたい。
なんてことは、思わない。