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不屈のカーネルおじさん

私は小学校の頃から、尊敬する人はカーネルサンダースだった。
なぜなら、ケンタッキー・フライドチキンが大好物で、誕生日は毎年パーティーバーレルでお祝いしていたぐらいだから。

そんなカーネル、よく見たら目が怖いと思ったら、やはり苛烈な人だった。コテンラジオSpotifyオリジナルの「涙の数だけ強くなれ!カーネル・サンダース65歳からの挑戦」を聞いて「なるほど」と思った。

たまたま今聴いたからこそジーンと沁みるものがある。

そして、カーネル(本名デービッド)おじさん、わりと私と属性同じ。

勉強はそんなに得意でもないけど、やる気モードになるとやりすぎるぐらいまでやるとか、レストランで提供されたたまごの焼き方が気に入らなくて皿もって厨房入ってコックに投げつけるとか。あの手に持つステッキは指導ステッキで、チキンの出来が気に入らなければ振り下ろすアイテムだそうだ。

なんか根底にある熱さと許せないポイントが同じな気がしてならない。

何より、ものすごく共感したのは、KFCの原点になっているのは、幼少期にパンを焼いてお母さんに大絶賛された思い出で、お母さんの職場の同僚もおいしいと喜んでくれたという成功体験にあるということ。

多くの職業を転々とし地に足着かないと周りに言われ続けてきたのも同じ。
でもその仕事の一つ一つを決していい加減にはしてないし、むしろそれなりの成果も出したり、めっちゃ真剣にやっていたのも同じ。
それでも世間の評価は「不安定な人生」なんだよ。
わかる、わかるわ、よく言われるし。

でもだからこそ、フッ軽なわけで、わりと人の提案もすぐに乗るし(※騙されることもあり)、方向転換も速い。

じゃなきゃ65で「うわ、やべー、年金足りねーし、働かないと詰むやんけ!」となってすぐ、秘伝のスパイス売りに出そうと決めて即行動なんてできないし、職を転々したことで培った「とにかくやるぜ!」の精神なければ動けない。

私もたぶんそうなる。年金で暮らしていけるとも思ってないし、引退して安定できるほどのキャリアの実績も財産の蓄積もない。

実際、今も給料がおろせなくなり、ほぼ無一文状態。

昨日の朝ごはん・・・となりからもらったパン
昨日の昼ご飯・・・となりからもらったパスタと畑のボスにもらった野菜
昨日の晩ご飯・・・となりからもらったおにぎり

ありがたいことに故郷の札幌から食糧支援してくれた人もいたり、こんな仕事もあるよと紹介してくれる人もいたり、お金貸してくれるって人もいた。

でも返すあてがなければ借りたくないってのもあり、連日バイト探しをしながら応募したり登録したりした。

島での仕事となると・・・畑か漁?

そこでみつけたのが「漁師」!

時間 4時~16時
休日 日曜、悪天候日

月収 20万~35万
年収 100万~180万 

あれ?漁師ってそんなにバカみたいに高収入じゃないんだな。マグロ漁とかじゃないから? まあ、これ期間が6月から10月みたいだけども。しかし朝早いし12時間だし、船酔いしそうだし、ぎっくり腰数回やってるし……

そんなとき、カーネルおじさんのラジオ聞いて、結局「原体験」が大事なのかと思った。

紆余曲折していろいろな仕事経験して、最終的に「おいしいものを作ってみんなに喜んでもらった成功体験」が、晩年のKFCの成功と結びつく。

そう考えると私の成功の原体験って何だろう?と考えた。

あれは小学校の時、クラスの授業をなぜか私がやっていた。

算数の時間に問題をわかりやすく解くために、私は絵を書いて、お話を作って、それをみんなの前で発表。「楽しく問題を解く」ってのが好評で、最初は私が作ったキャラクターだけで教えてたけど、そのうち参加したいメンバーも増えて、キャラクターが増えて、それでアンパンマンみたいな感じに「算数の問題を解いて敵をやっつける」みたいなのやってたなぁ。

小学校低学年の頃の話だ。

思えばそこから休み時間にコンサートとかやるようになり、中学では演劇部に入ったり、お笑いのオーディション受けたり、数年前は紙芝居師やったりの流れ。

高校のときはずっとバンド活動に明け暮れて、「世界のミュージシャンに俺はなる!」とオーディションを受けまくり、わりといいところまでいったけどデビュー育成直前で話はなくなる。

まあ、とにかく人前で表現するのが好きだったんだろうな。
でもこの頃はどちらかというとイキリ十代にありがちは自己顕示欲のかたまりで、家庭環境のせいか「親戚全員見返してやる!」という承認欲求が強かった。

やるだけやって、ミュージシャンの夢をすっぱりあきらめた後は、自己探求と旅の日々だった。この辺から職業転々とするんだよな……。

五年前、ひょんなことから中国行くことになり、いきなり大学で講師になった。でもやってみると向いていたのか、授業評価も高く、学生からの人気もうなぎのぼり。

もともと人前で表現することが好きだったというのはあったけれど、そもそも原点は小学校低学年の時の「クラス全員参加の楽しい授業」の成功体験な気もする。あの根底にあったのは「自分が目立ったこと」でもなんでもなくて、みんなが喜んだこと、楽しみにしてくれたこと、最終的にはみんなで楽しさを共有したことだった。

それはカーネルと同じで、結局「自分のしたことが誰かの喜びになる」ことが自分にとって何より大切なことなんだろう。

そう考えたら私にとっては漁師じゃないのかもしれない……。
※もちろん世の中の漁師さんはおいしい魚をとってくれて喜びを提供してくれてます!

人からはよく「教える才能がある」と言われる。
確かに。私はもともと自分がポンコツだし最初からできるタイプではないから、できない人にもわかるようにわかる言葉で教えるというのは得意かも?

だから数々やってきたバイトでもわりと教育係になることも多く、どんなポンコツでも日本語拙い外国人でも、「戦力となる人材」に育ててきた。でもまあ私もバイトなんで、それで昇給するわけでもなんでもないんだけども。

でも結局自分が人の成長をみるのが好きなんだろうな。そしてその成長を共に喜ぶのが好きなんだろう。松岡修造気質もあるので、人を応援したくなるんだよな……。

それはともかく、私はカーネルおじさんと同じく、常にケツに火がついている状態というか「とにかく働かないと!」とその時できることややれることに全力投球するわけで、私もなんやかんやで一生働いてるのかもなんて思ってしまう。

なんにしても現金がおろせないというこのピンチの時に、クビになっても大けがしても店がつぶれても、年金も貯金も財産もなくても、エネルギーとバイタリティで65歳からKFCをやり始めたカーネルおじさん見習って、腐らずがんばろうと思う。




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