読売新聞の記事のおもしろさ(2)

   自民党憲法改正草案を読む/番外380(情報の読み方)

 読売オンライン(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200821-OYT1T50282)(2020/08/21 20:35更新)の見出しと記事、
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二階幹事長と菅官房長官が会食…評論家をはさんで2時間半

 自民党の二階幹事長と菅官房長官が20日夜、東京都内の日本料理店で会食した。安倍首相の体調不良説が飛び交う中、党と首相官邸を率いる要同士が、安定的な政権運営に向けて連携を強めている格好だ。
 会食は、評論家をはさんで2時間半続いた。両氏は6月17日と7月1日にも会食するなど、最近ではほぼ定例化している。
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 紙面(西部版14版)ではどうなっていたか。記事は変わらず、見出しはこう変わっていた。
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二階氏、菅氏と会合「定例化」/「幹事長続投・次期首相」思惑
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 「評論家」は見出しから消えていた。見出しから消すくらいなら、記事から消してもいいだろう。「前文」には書かれていないし、記事中も「会食は、評論家をはさんで2時間半続いた」と出てくるだけで、何を話したとも、ふたりとどういう関係があるとも書かれていない。
 しかし、それよりも大きな「変化」はデジタル版では「会食」という見出しだったのが、紙面では「会合」になっている。「食べる」ことが目的ではなく、話すことが目的だったのだろうから、もちろん「会合」でいいのだが、記事中には「会合」とはひとことも書いていない。
 書いていないことばを見出しにとるのは、きっと筆者(政治部?)から「会合」にしてくれ、という注文がついたのだと思う。そして、それは、

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幹事長続投・次期首相
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 という路線が、ふたりの「思惑」であるだけではなく、その「路線」を読売新聞が支持しているということだろう。支持とまでは明確に言えなくても、すくなくとも「麻生首相」には反対しているのだろう。麻生がこの記事に対して、どう反応するか、それを確かめるために書いた「アドバルーン(観測気球)」なのだろう。そうでなければ、
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 9月に想定される内閣改造・党役員人事を前にした両氏の緊密ぶりに、党内からは「二階氏の幹事長続投に向けた地ならし」(中堅)との見方がある。一方、菅氏を次期首相に推す声も根強く、「ポスト安倍レースに向け、二階氏と手を組もうという動きではないか」(党関係者)との臆測も呼んでいる。
</blockquote>
 とまでは、書かないだろう。「ふたりの思惑」を超えて、「自民党の思惑」を固めようとしている。
 と考えれば考えるほど、「評論家」が気になる。こんな「欲」がからんだだけの「会合」に同席するというのは、いったい、だれなんだろうか。
 読売新聞の記事は明らかにしていない。しかし、「評論家」と書くだけで、政治家周辺にはすべてがわかるのだろう。すべてをわからせるために「評論家」が同席したということは、記事に残したのだろう。


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