読売新聞の記事のおもしろさ

   自民党憲法改正草案を読む/番外379(情報の読み方)

 最近、といってもここ2、3日なのだが、読売新聞が奇妙である。
 私は、直近では2020年08月18日の読売新聞(西部版・14版)が、安倍の「日帰り検診」についての記事を批判した。しかし、その後、批判したいと思う記事がないのだ。いつもは、批判したいことが有り余っていて、困っていたのだが。

 どうしてだろうか。

 私は、安倍がらみで自民党がほんとうにどたばたしているのではないか、と感じている。どたばたしすぎて、読売の記者に「リーク」する内容、あるいは「こんな記事に仕立てて」と注文を出す余裕がなくなっているのではないか。

 そんなことを思っていたら、読売オンライン(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200821-OYT1T50282)(2020/08/21 20:35更新)に、こんな見出しと記事。
<blockquote> 
二階幹事長と菅官房長官が会食…評論家をはさんで2時間半

 自民党の二階幹事長と菅官房長官が20日夜、東京都内の日本料理店で会食した。安倍首相の体調不良説が飛び交う中、党と首相官邸を率いる要同士が、安定的な政権運営に向けて連携を強めている格好だ。
 会食は、評論家をはさんで2時間半続いた。両氏は6月17日と7月1日にも会食するなど、最近ではほぼ定例化している。
</blockquote>
 奇妙な点がふたつ。
①二階と菅の会談は「20日夜」。21日夜ではない。つまり、一日遅れ。夕刊に書くほどのことでもないから一日遅れになったのか。あるいは夕刊で書くはずだったが、掲載スペースがなくて朝刊掲載にしたのか。具体的な会談内容はまったく書いていない。それなのに、わざわざ一日遅れのことを書いてどうするのか。
 自民党幹部からの「レクチャー」がないので、「党と首相官邸を率いる要同士が、安定的な政権運営に向けて連携を強めている格好だ」くらいのことしか書けない。しかも、そう書いた後ですぐに、「両氏は6月17日と7月1日にも会食するなど、最近ではほぼ定例化している」と特別な事ではないと装っている。「定例化」している会食なら、わざわざニュースにする必要はない。
 何かあるのだけれど、だれも読売の記者に「リーク」してくれない、という状態になっているのか。
②見出しに「評論家をはさんで」ととっているが、記事にはその評論家のことが何も書いていない。「評論家」とだけである。「党と首相官邸を率いる要同士」であり、しかも「会食が定例化」しているなら、「評論家」が仲介する必要はないだろう。この「評論家」はだれなのか。なぜ、その名前を伏せるのか。何のために同席しているのか。
 安倍に報告するためだろうか。つまり、安倍が差し向けた人間なのか。もしそうだとすると、二人の会食はとても重要な問題を語り合うためのものということになる。
 ①②からわかる唯一の事は、読売新聞の記者は、その「評論家」がだれであるか書くことは「とめられた」ということだ。読売新聞の記者は、「評論家」がだれであるかを知っているけれど、それを書かない。だれかを書けば、「会食」のときの「会談」の内容も、たぶん推測できるはずである。だから、書かない。
 ①で、だれも読売の記者に「リーク」してくれない、と書いたが、逆に、「リーク」されているけれども口止めされていると考えた方がいいとも言える。

 ここに、「情報操作」がある。

 でもね。
 読売新聞の記者は、こういうとき、どうしても「ぼろ」を出してしまう。二階と菅が会食した、とだけ書いておけばなんでもない記事なのだが、「評論家が同席したことを知っている」と書かずにはいられないのだ。
 25日の自民党役員会延期、27日の首相在職最長祝いも延期を考えると、いろんなことが考えられる。
 安倍が日帰り検査をしたときは、読売新聞オンラインは検査に「7時間半」かかったと書いていたが、朝刊紙面西部最終版では「7時間半」の下りは削除されていた。「評論家」は最終的にどう書かれているだろうか。
 朝刊が楽しみだなあ。


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